たのしい教育の広がりと研究所の大忙しの日常/この日々があってこそのたのしさの広がり

 自由研究や授業特訓、各種団体からの依頼の授業などが控え、教育研究所は大忙しの日々です。「連休に入り、少しはのんびりと仕事をしているでしょうか。さて…」という前書きのメールが届いていますが、たのしい教育研究所は休日ほど忙しい日々です。〈たのしい理科〉というテーマでの教材づくりもすすめているので、たくさんの仕事が同時並行で進んでいます。

 今回は、そのたのしい教育研究所の日常をお届けいたします。

 今日の研究所のテーブルの上には、授業の予備実験をしている素材や、〈試料:顕微鏡でみる素材〉の工夫など、たくさんのものが広がっています。ラミネーターは透過式の試料づくりに使えるかということでスタッフが予想をたててチャレンジ中です。


 その後ろでは〈たの式顕微鏡〉のフレームをカットしてくれている人。

 別なテーブルでは、レンズの〈替え球〉を作ってくれている人。


 別のチームは100均を回って、手頃な教材素材が無いかリサーチして、使えるものを仕入れに行ってくれています。研究所の授業は一斉にかなりの数の人たちが受けることが多いので、数をそろえるのがけっこうたいへんです。何ヶ所も回ってくれているのですけど、まだ全員分はそろっていないとのこと…

 たのしい教育が着実に広がっているのは、こういう地味な地道な活動があってこそです。

 たのしい教育は〈どっかの誰かがやってきて、なんだかめずらしい実験などを見せてくれた〉というテレビに出てくる様なものとはかなりかけ離れています。
 興味関心が出てきたら、子どもも大人も〈自分自身〉で試したり、更に深く研究することができる様に、できるだけ身近なものをそろえるのがたのしい教育のスタイルです。学校の先生たちの中には、たとえば理科なら理科セット、図工なら図工セットを買うのが便利だと思っている人たちがほとんどかもしれません。しかし、そういうものよりも喜んでもらえるのは、自分でもそろえることができる様なものを使った時です。それは〈たのしい教育研究所〉で実施した約5万人の実験結果だけでなく、これまでの長年の教師生活での実験結果を加えて確信していることの一つです。

 そんななか、ピンポンという音が響いて、「みなさんを激励しに来ました」という声と、おいしい差し入れが届きました。
 研究所にいる人数がもっと多い日だと勘違いしたそうで、ケーキの数がずいぶん多く、みんな更に喜んでいました。

 研究所で学び、学校現場に入っていったA先生です。
 うれしいことです。

 たのしい教育研究所は応援してくれるみなさんのお陰で、その活動を確かなものにしています。このサイトを熱心に読んで下さっている皆さんも、その応援団の一人だと思っています。「このサイトいいよ!」と周りの人たちにもアドレスを送っていただけると嬉しいです。その輪が広がると、さらにたくさんの笑顔に繋がっていくのは間違いないと思います。ご協力よろしくおねがいします!1日1度のこの「いいね」で〈たのしい教育〉を一緒に広げましょう➡︎ いいね=人気ブログ!=ジャンプ先でもサイトをワンクリックすると尚うれし!

親子で〈予想チャレンジ〉をたのしめるすばらしさ

 おかげさまで〈沖縄県グッジョブフェア〉の余韻が続き、那覇で受講した方が、沖縄市の公民館講座に顔を出してくれたりと、いろいろ嬉しいことが続いています。


 沖縄県グッジョブフェアでは、事前の申込み人数がすでに定員を超えていたのですけど、当日さらに参加者が増し、うちのスタッフはそれを予測していて、教材の数はしっかり足りていました。

 これは親子が真剣に、つまり子どもも大人も〈対等〉に〈予想・チャレンジ〉をたのしんでいる様子です。※顔がはっきりしないように加工してあります

 こうやって大人も子どもも一緒に真剣にたのしめるのはなぜか? 
 それには教材のグレード・程度の問題が関わっています。

 わたしが教師を始めた頃、当時 文科省の教育研究所の室長をしていた板倉聖宣(仮説実験授業研究会代表・日本科学史学会会長)から学んだ1つが〈教材のグレード・程度〉についです。

 その言葉は衝撃でした。板倉先生を沖縄に招いた時に、直接こういう話をしてくれました。

「程度の低い内容だから、優等生には簡単で、勉強が得意でない子ども達には難しい、ということになるです。たとえば科学者達が長い年月をかけて問い続け解決して来た様な問題を出せば、勉強が苦手な子も得意な子も、みんな真剣になりますよ。それが仮説実験授業の〈授業書〉です」

〈対象の実態に合わせる〉ということがよい授業である、という話は、教師時代に何度も何度も耳にし、読んできたことです。
 しかし対象にあわせるのではなく、遥か高いグレードの教材を創れば、子どもも大人も一緒にたのしめるのです。高いグレードの教材とは、枝葉末端的な内容ではなく、そのものの根幹に触れる様な教材です。
 仮説実験授業の授業書は、かなりの人たちの知恵と時間をかけてきているので、そのグレードには簡単に到達することはできません。
 しかし、目指しているのは間違いなくそこです。

 大人が役割として子どもに合わせて授業に参加しているのではなく、一人の人間として真剣にのめり込んでいく。もちろん子ども達も前のめりになっていく、そういう授業です。

 この一枚はアイス・ブレイク的にとりあげた教材です。
 〈いきいきサッカー〉といって、沖縄県のグッジョブ運動の予算で開発させていただいた〈たのしいグッジョブプラン〉に取り上げたチームゲームです。
 子どもが大人に勝ったり、大人が子どもに勝ったり、いろいろなことが起こります。大人もたのしみ、ひっしになっている姿はいたるところで見ることができる教材です。

 おかげさまで、たのしい教育はゆっくり着実に広がってきています。8/1と4日には〈りゅうぎんキッズスクール〉で授業をさせて頂きます。56年生が対象で、小さな世界の魅力をたっぷり味わってもらえる授業です。
 興味のある方はお申込みください。申し込み先はりゅうきゅう銀行⇒こちら。もしも満杯で入れない、ということになっていたら、すみません。1日一回の「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-〈人気ブログ〉いいねクリック⬅︎ジャンプ先のページでもワンクリックお願いします

たのしさを元にするともっと深く知りたくなる(理科教育・自由研究)一円玉はなぜ浮くのか?

 今回も理科教育と自由研究に関わる内容を書かせて頂きます。二回ほど前に週一回のメールマガジンの話を紹介しましたが、その後、さっそく反響がありました。その中に「息子にメルマガの内容を紹介すると、とても興味を持ってくれ〈自由研究で予想チャレンジしたい〉と言っています。ところで息子は一円玉が進んでいくことに興味を持ってくれているのですけど、実は私自身が〈そもそも一円玉はなぜ浮いているのか〉がよく分かりません。いっきゅう先生からお話を伺えたらとメールいたしました」という便りがありました。
 親子でたのしんでくれている様子が伝わってきて、ますます嬉しい気持ちです。

 さて「どうして一円玉が水に浮くのか」については、幾つかの学校で授業させて頂いた時にも質問が来て、話をさせてもらったことがあります。シンプルにイメージしていただくと〈水の表面がお互い同士がんばって引き合い、それがビニールの膜(まく)の様な感じとなって一円玉を上にはじいている〉ということです。この水の表面がお互いに手に手をとって引き合う力を〈表面張力〉という言い方で説明することもあります。

 たのしい教育研究所の兄貴的組織〈 ku-ma(子ども・宇宙・未来の会)〉の教材「宇宙の学校/水上のスケーター アメンボの秘密」の中では、こういう様にふれられています。

 〈予想チャレンジ〉はいろいろなたのしさが広がり深まります。いよいよ夏休み、自分のたのしさを広げるとてもよいチャンスです。みなさんの賢さとたのしさを応援します。1日1度のこの「いいね」で〈たのしい教育〉を一緒に広げましょう➡︎ いいね=人気ブログ!=ジャンプ先でもサイトをワンクリックすると尚うれし!

たのしい理科教育と自由研究と雲の魅力/ながめるだけでたのしい自由研究

 理科教育は、たとえば〈進学のために理数系が必要だから〉ということで学ぶというより、〈それを学んだことで自分の人生がより豊かになる〉から学ぶ、というのが本来の姿です。すべからく教育というのはそうです。それが人生を豊かにしないというのなら、教育の本来の姿に立ち戻って新しく構築していく必要があると思います。
 もちろん自由研究も自らのたのしさ感・価値観ですすめるものです。なになに作品展で表彰してもらおう、という様な進め方もあります。しかしそうではなく、子どもも、そしてわたしを含めて大人も、自分の〈楽しさ感〉つまりは〈価値観〉で周りのいろいろなものごとを見つめていくのがおすすめです。またそういう、自分の価値観を元に研究をすすめていった人の中から、よりたくさんの人たちが認めてくれるような研究が生まれるのです。

 今回は私が大好きな〈雲ウォッチング〉に関連して書いてみましょう。
 雲を学んだところで人生の豊かさとは関係がないのではないか、というようにも思えるかもしれませんけど、少しお付き合いください。

 雲は〈太陽の熱〉で暖められた海や大地の〈水・H2O〉が上空に登っていて集まった状態です。〈水滴〉であったり〈氷のつぶ〉の状態になって浮かんでいます。
 上空でそれがどんどん集まって、自分の重さにたえられなくなったら、地球の引力に負けて〈雨〉〈雪〉などとなって地球上に降りて来ます。
 つまり水・H2Oが地表・海面と上空とをぐるぐるめぐっているわけです。

 雲の種類はいくつかに分かれています。
 雲の種類を〈ニックネーム〉で分けるととんでもない数になります。「雲の本」という様なタイトルでいくつも本が出ています。そこには、聞いたことのない様な雲の名前がたくさん出ています。
 それらは科学的な分類ではなく、いろいろな人たちが自分の感性で名づけたものも多く、同じ雲の形でも、いくつかの呼び方があったりします。それはニックネーム的、文学的な雲の名前です。

 理科教育的に整理するには、まず理科年表で整理してくれている〈雲の種類〉を基本にするといいでしょう。国際基準にのっとって10種類に整理されています⇨こちら

まずすべての雲を、そのおよその雲底高度により上層雲中層雲下層雲の 3 つに分類します。さらに上層雲を巻雲 Cirrus )、巻積雲Cirrocumulus )、巻層雲Cirrostratus の 3 種類に、中層雲を高積雲 ( Altocumulus )、高層雲 ( Altostratus )、乱層雲 ( Nimbostratus の 3 種類に、下層雲を層積雲 Stratocumulus )、層雲 Stratus )、積雲 ( Cumulus )、積乱雲 ( Cumulonimbus の 4 種類に分類します。

 

 国際的な基準を一読していただいたところで、下の写真のこの真ん中あたりに写っている雲をみてください。〈積乱雲〉です。

 ある会議に行く時に空にこの雲が見えたので、道端に停めて撮った写真です。

 

  しばらく見つめて、ほれぼれしていました。

  わたしの目には、その積乱雲は、ゴジラのような怪獣が、空に向かって両手を開いて「なんて素晴らしい空だ」とでも叫んでいる様に見えたのです。無理してその様にみているのではなく、そうにしか見えないのです。

 少し体勢は違いますけど、こんな感じのポーズです。

この方が近いかな。

 この雲の写真はわたしの宝物の一枚です。
 そういった宝物になるような写真を自由研究としてまとめることができたら、たとえば
「小学校◯年生の時に、ゴジラの様な雲を見つけてまとめたんだよなぁ〜」という様に、とてもよい思い出にもなると思います。

 こういう雲の写真は、作品展などの表彰からは遠いかもしれませ。けれど、わたしの様に、晴れた空があれば、どこにいても感動できる様になるかもしれません。するとそれは一枚の賞状よりもっともっと大きな一生ものの宝物になると思うのですけど、どうでしょうか。

 また、わたしの様に〈雲が好きで好きでたまらない〉という人の中から、例えば富士山の山頂で雲の研究を熱く続ける、ということにもなると思うのです。そしてそういう人が、これまで解き明かされていない〈雲の秘密〉を解明してくれるようにもなると思うのですけど、どうでしょうか。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!