授業プラン〈卵と塩とサトウ〉の様子 たのしい教育Cafeもりあがる!

 S先生の〈卵は海水に浮くのか〉というレポートはとてもおもしろいので、授業プランの様に進めようと思っていると、さらに興味深い問題が頭に浮かびました。

① 卵の中身とカラの浮き沈み…卵の中身とカラを別にして、浮き沈みを調べる
② 塩で卵が浮いたら、その塩と同量のサトウを入れて混ぜると 浮くのか沈むのか?

これについては、しっかりとプランにまとめたいと思っています。
ご期待ください。

 これは私が授業をしている様子。

たのしい教育〈卵と塩とサトウ〉 さぁ、塩で浮いた卵はサトウで浮くの?
 とかいいながら授業をすすめているところです。

 たのしい教育Cafe、毎回とてもたのしいものがいっぱいです。
 来月は2月8日(水)にオープンの予定です。

 近づいたらこのサイトに案内が出ます。
 十名少しの人数しかはいりませんので、興味のある方は、早めにチェックして申し込んでください。

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たのしむことはとても大切/そして学ぶことはとてもたのしい

 中部の小学校の「学力推進発表会」の中で「たのしく学ぶ」をテーマに講演会を依頼され、保護者、子どもたち先生方向けに講演会をして来ました。

 親子・先生で総勢 500人を超す数です。

 もりあがりました。

 はじめのうちは静かに話を聞いていた子ども達も、しだいに前に前ににじりよってきて、こうやって身を乗り出すシーンも満載の時間となりました。
 ※個人情報保護で画像加工させていただきました

たのしくサイエンス3

 実験ショー的に盛り上げたというわけではありません。

「賢くなるには、〈予想〉を立ててから〈確かめる〉ことがとても大切」という話を丁寧に確認してから、科学の重要な基礎である〈ガリレオの落下の法則〉について予想してもらいました。そしてその予想を確かめる、という科学の流れを本格的にたどると、こういう様に盛り上がっていくのです。

 たとえばこの子は一年生の子です。
 わたしが、立てた予想にたいして「どうしてそうおもいましたか?」と問いかけると、とてもしっかりと自分の考えを語ってくれた時の一コマです。たのしくサイエンス4 授業後に中学年くらいの女の子が私の処にやって来て
「いっきゅう先生、たのしすぎて頭がイタイかんじだったぁ〜」
と話してくれてました。
 初めての表現系です。

 また当初、対象の子ども達は1〜6年生だったのですけど、今朝「幼稚園児もぜひ」ということで参加したとのこと。
 授業後、幼稚園の教頭先生がやってきて
「いっきゅう先生、とてもたのしかったです(^-^
 幼稚園に帰る道すがら、こども達が口々に〈宇宙飛行士になりたい〉〈科学者になりたい〉〈理科の先生になりたい〉話していましたよ!」
とうれしい話をしてくれました。

 今回の授業には、研究所によく来てくれるYさんが同行してカメラ担当をしてくれました。
 わたしの公開講演をはじめて体験してもらったのですけど、終わってから
「たのしくてたまらなかったです。あっという間の一時間でした」
と感激して語ってくれました。
 「これだ!」と感じるものがあったらしく「自分もこんなかんじで、子ども達が身を乗り出してくる様な授業、一時間があっという間に感じる様な授業をはやくしたい」と目をキラキラさせていました。
 その人物の凄さを一番知らないのが家族、という様に、身近な人ほど人物評価はきびしいものですから、身近なYさんの高評価は嬉しいことです。

 近々、子ども達の評価も届きます。
 たのしみでなりません。

 こういう仕事が、たまらなく好きです。
 やっている私自身が
「こんなにたのしいことさせてもらっていいのか」
「いいんだ」
 と自答しながらの、たのしい教育研究所の日々です。

 夕方からは「たのしい教育Cafe」で、今度はいろいろな先生達が集まっての、たのしい時間です。

 たのCafeの様子も、後日、お伝えいたします。

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溶ける量の たのしい不思議(2)理科の問題・採用試験の問題を解く

  前回の「溶ける量のたのしい不思議」の原子論的見方、つまり科学的な見方で実際の理科の問題(教員採用試験・高校入試レベル)を解いてみましょう。「科学、特に化学が大の苦手です」という方からの質問内容です。

 みなさんも一緒に考えてみませんか。

問題 
以下の物質の中で、60℃で溶けていた物質を20℃に下げた時、結晶として出てくる量が最も少ない物質は何か?

たのしい溶解問題

 

考え方
[硝酸カリウム]
 グラフを見ると、硝酸カリウムは60℃の時110g 近く溶けています。それが20℃になる30gくらいしか溶けません。
 とすると、溶けきれない80gは結晶として見える形で現れます。
 硝酸カリウムの結晶は針の様な形をしているので、それがどんどん重なっていく様に見えます。

たのしい溶解 硝酸カリウム
[ミョウバン]
 ミョウバンは60℃でほぼ60g、20℃では10gくらいしか溶けませんから、50gくらい結晶として出てきます。硝酸カリウムが30gほどでしたから、かなりの量です。
 ミョウバンの結晶は正八面体です。糸を垂らして結晶をつくると、正八面体の宝石の様な結晶がどんどん大きくなっていくので、自由研究などでも定番のものの一つです。コップをそのままにしておくとこんな感じで結晶が見えてきます。

たのしい溶解 ミョウバンの結晶

 この様な形でグラフを読み取っていくと、食塩が最も少ないことがわかると思います。⇦答え

 はじめはまどろこしい感じがするかもしれませんが、一回はこうやって丁寧に考えて解いてみてください。
 そのうちに「グラフのカーブがゆるやかなものだ」ということもイメージできると思います。だからと言って、子ども達に「ほら、カーブがゆるやかな方が答えなのよ」という様な教え方をすると、苦手な子や嫌いな子は、ますます・・・、ということにもなりかねません。

 

  教員採用試験の合格を目指して方達向けに、少し関連することを書きましょう。

=食塩は塩化ナトリウムか?=

 

「〈食塩〉は科学的には〈塩化ナトリウム〉といいます」
という様に説明されることもあるので、混同してしまう人が多いのですが、化学的にいうと「塩化ナトリウム」という場合は、その純粋な物質です。「食塩」という場合はカリウム、マグネシウムなど、他のものも混ざった混合物です。
 ですから厳密には違うのですけど、食塩の主成分(そのほとんど)は「塩化ナトリウム(NaCl)」なので、「ほぼ同じだ」という様に扱うこともある、ということで理解してください。

 

=アルカリ性物質と中性物質とを中和させてできるものは食塩か?=

 違います。
 中和させてできる物質を「塩」と書きますが「しお」とは読まず「えん」と呼びます。実にまぎらわしいですね。日本語を少し進化させて別な名称にした方がよいと思う一つです。
 学校では酸性物質の代表として「塩酸」を使い、アルカリ性物質の代表として「水酸化ナトリウム」を使うので、結果として〈塩化ナトリウム〉ができます。つまり食塩の主成分なので、当然舐めると塩の味がするわけです。今では危険だということでなめされることはしませんが、わたしは何度も舐めたことがあります。
 酸性の〈硫酸〉とアルカリ性の〈水酸化バリウム〉をちょうどよい割合で中和させると〈硫酸バリウム〉という「塩(えん)」ができます。これは食塩とはぜんぜん違う物質ですね。胃の検査でX線撮影する時に、苦しい思いをして「バリウム」を飲んだ人もいると思いますが、あれです。

 「塩(えん)」といってもいろいろあるのです。ですから、「酸性とアルカリ性を混ぜて中和させると〈食塩〉ができる」というのは間違いです。

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溶ける量の たのしい不思議(1)

 この宇宙はすべて原子・分子の世界です。お砂糖も塩も水も空気も、原子・分子でてきています。科学の歴史は原子論の歴史であるということもできます。科学は、この世界が原子・分子の世界である、ということを発見し、その原子論の元でいろいろなことをイメージできる様になってから、どんどん発展していきました。最近わたしのところに「いっきゅう先生、科学が苦手で特に化学が意味不明で、高校の授業が苦痛です」というお話がありました。今日はその方を中心に化学が苦手で苦手で、という方達向けの、原子論を基にしたお話です。一般の方達にも読んでいただける内容になると思います。

 さて、ここにAB二つのコップがあって同じ量の水が入っています。Aのコップに砂糖をBのコップに塩を入れてかき混ぜます。同じ量の水なら、塩も砂糖も同じ量とけるのでしょうか? それともどちらかが多く溶ける、ということがあるのでしょうか?

たのしい原子論予想
 ア.塩がたくさん溶ける
 イ.砂糖がたくさん溶ける
 ウ.ほぼ同じくらい溶ける
 エ.ぴったり同じ量溶ける

どうしてそう予想しましたか?

 

==== 実験すると ====

簡単に家で実験できますから、やってみましょう。
砂糖がはるかにたくさん溶けます。たとえば25度くらいの水なら砂糖は塩の4倍くらい多く溶けます。
実は、物質が水にいくら(何グラム)溶けるかし正確にわかっています。

 表とグラフを見ていただきたいのですが、その前の予備知識として二つ。 
1) 砂糖を科学的には「ショ糖」と呼んでいます。砂糖というと「砂状の糖」という意味になりますから、ショ糖というのは科学的・化学的な成分を意味した言葉だと思ってください。
2) 塩は科学的には「塩化ナトリウム」といいます。書くと長いので「NaCl」という書き方をすることがよくあります。

 ではこの表とグラフを見てください。表にはいろいろな物質が書き込まれていましたが、砂糖・ショ糖と塩・塩化ナトリウム(NaCl)だけ切り取ってみました。少数第二位までで止まっていますが、詳しく書けばもっと長い数字になります。しかし、これくらいの数字でほぼ、他の物質との違いがわかるので、長くても第二位くらいでおさめている表が多いのです。 たのしい化学2 そのいろいろな物質が溶ける量をグラフにしたものが下です。砂糖・ショ糖は黒で、塩・塩化ナトリウム(NaCl)は青で描かれています。

たのしい化学 たとえば〈20度Cの水が100g〉あれば、砂糖・ショ糖は197.62g 溶けます。これが、アメリカではそうだけど日本では196gだなんていうことはありません。
 実は物質が水に溶ける量は〈気圧〉も影響するのですが、それはとても小さいので、一般に表にすることはありません。
 塩・塩化ナトリウム(NaCl)は35.83g溶けるのです。

 ここのxy二つの物質があります。
 xは砂状で、yは2-3mmくらいの四角い粒で、見た目が違います。
 その二つを40℃の水100グラムに入れて溶かしたところ、どちらも36.33g溶けました。すると、このxとyは同じ物質だといって間違いありません。しかも、上の表から、見た目の大きは違っていても、それは塩・塩化ナトリウム(NaCl)だと言って100パーセント間違いありません。

 それが科学です。
 実際に科学者たちは、目の前にある物質が何であるのかを特定するために、この溶解度をよく利用するのです。
 純粋な○○なのか、混ざり物があるのかも、この溶解度を調べればわかります。

 では、この性質を利用して、実際のテスト問題を解いてみましょう。(2)に続く。

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