たのしいということは程度が高いということ、応用範囲が広いということ 板倉聖宣

 板倉聖宣の発想法を読みたいという方からのお便りがいくつも届いているのですけど、なかなか書くことができませんでした、すみません。今回は、たのしい教育は〈おもしろおかしいもの〉ではなく本格的なものである、ということに関連して、板倉聖宣が語ったことを紹介させていただきます。数回前に、わたしが先生方に〈原子分子〉の話をした記事を載せましたが、そのこととも関連しています。最新号のメールマガジン「たのしい教育はやめられない」に書いた内容から少し抜粋したものです。タイトルにあるように、たのしい教育とは「程度が高い」ことであり、「応用範囲が広い」ことである、という内容です。

 今の子どもたちは学校の勉強というのが嫌いじゃないのです。高級なこと、程度の高いことを教わるのが大好きです。
 ボクは小学5、6年生のころに〈原子や分子が見えるメガネがある〉というウソの話を読んで感動しました。それで大学に入っても、ずっと原子や分子が見えるような錯覚におちいっていました。ボクの頭の中では原子や分子が動いて見えるんです。
 そこでボクは。子どもたちに向けて『もしも原子がみえたなら(国土社)』という絵本を書きました。ボクが〈原子や分子が見えるメガネがある〉ということを学んだのは小学5、6年生のころです。ですから、そのくらいの子どもが読んでくれたらいいと思って書きました。
 ボクが子どもの頃に読んだ本よりずっといい本です。なにしろ私が書いたんですから(笑)。それはなにも私が優れているんじゃなくて、人類全体が進歩したんですね。私が読んだ本が出たときにはまだ原子模型なんかの研究が進んでいませんでしたから、その後の研究成果を受け入れれば、もっといい本が書けるわけです。
 教科書に出てくる単元と重なるわけではありませんが、仮説実験授業のかなりの方が、その授業をやってくださっています。小学5、6年生で教えるだけじゃなくて3、4年生で教えたり、1、2年生で教える、幼稚園で教えるーーというふうになってきています。
 原子分子なんていうのは見えないんです。だから、やり方によっては押しつけです。だけど私たちは社会的に確かだということは受け入れる能力があるのです。
 子どもたちが「ウソだい」と思うことを無理に教えたら押しつけになります。しかし子どもたちが学びたいと思うことなら、逆に〈教えないぞ〉といういことが押しつけになります。それで私たちは小学校1、2年生でも原子分子を教えちゃうんです。

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自由研究は感動的 モンシロチョウは何を食べるの? モンシロチョウとキンレンカ(その2)

 小学校の頃「モンシロチョウはキャベツしか食べません。みんなはなんでも食べる子になりましょう」と教わって、それを信じていた私の話を書いてきました。そして〈モンシロチョウはキャベツの葉しか食べない〉というのは間違いで、アブラナ科の植物が大好きだということを知りました。今回はアブラナ科ではない植物〈キンレンカ〉です。キンレンカは〈ノウゼンハレン科〉の植物です。モンシロチョウの幼虫は〈キンレンカ〉の葉も食べるのでしょうか。

 これがキンレンカです。沖縄でもそうめずらしくなく、庭先や公園などでも見ることができます。 前回、その卵とアオムシを載せましたが、研究所のスタッフが「そういえば、研究所のベランダにもキンレンカがあります」と気づき、調べてくれました。研究所のベランダはそんなに広いわけではありませんが、沖縄の貴重やドングリ数種、ハワイのジンジャー、サボテン、クワズイモ、アロエ、発芽実験中のタネなどいろいろ置いてあるので、うっかりしていましたが、たしかに小さいのですけど一株のキンレンカがあります。

 確認してみると・・・

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 卵はありませんでしたが、アオムシがいました。
 サナギも見つかりました。

 

 〈灯台下暗し(離れたところはよく見えていても、自分の足元は暗くて気づかない)〉でした。

 サナギも明らかにモンシロチョウのサナギに見えます。

 そのままモンシロチョウになるか待つのもよいのですけど、そろそろ調べてはっきりさせておきましょう。

 インターネット上で多用されている辞典ウィキペディアの「モンシロチョウ」の項には

 幼虫の食草はキャベツ、アブラナ、ブロッコリーなどのアブラナ科植物なので、それらの農作物の栽培に伴って分布を広げてきた。 
       ウィキペディア「モンシロチョウ」から

とあります⇨こちら

 しかし、もっと広く調べてみると「キンレンカを食べるモンシロチョウの幼虫」の様子はいろいろ見つかります。その一つに「モンシロチョウの幼虫をナスタチュームから見つけた」という記事がありました。沖縄県浦添市の方たちが書いたものです。※ナスタチュームはキンレンカの別称です

 確かに、モンシロチョウはキンレンカに卵を産み、その葉を食べて成長します。研究所のキンレンカのサナギも、しばらくしたらモンシロチョウになるでしょう。

 ずいぶん以前、たのしい教育研究所のメンバーの一人、M先生がサークルで〈センダングサばかりしかみつからないところでモンシロチョウをたくさんみつけた〉という発表をしてくれたことがありました。モンシロチョウはセンダングサの蜜を吸っていたのです。センダングサでもモンシロチョウの卵がみつかるとおもろしいな、と思います。


「モンシロチョウの食べ物(食草)」について調べると、たのしい発見があなたを待っているかもしれません。こちらの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-いいねクリック=人気ブログ!-⬅︎ジャンプ後のページに表示された記事もクリック!

 

自由研究はたのしくてたまらない/モンシロチョウとキンレンカ 

 モンシロチョウの話を書いたところ、読者の方から「我が家にキンレンカが咲いているのですけど、その周りにモンシロチョウがたくさん飛んでいて、青虫もいるんです」というお話がありました。別なチョウなのかもと思いましたが、問い合わせてくれた方は、まちがいなくモンシロチョウだといいます。そして直接、キンレンカの葉を食べているアオムシと、葉の裏に産み付けられたアオムシを直接持ってきてくれることになりました。

 モンシロチョウは菜の花畑にたくさん飛んでいます。アブラナ科の植物の葉に卵を産み付けて、青虫はその葉を食べて成虫となります。

 以前書いた〈ブロッコリー畑を飛び交うモンシロチョウ〉でも、触れましたが、わたしの小学校の時の先生は「モンシロチョウの幼虫のアオムシはキャベツしか食べません。偏食性の強い生き物です。みなさんは、モンシロチョウの様にではなく、なんでも食べる子どもになりましょう」と指導していました。その話を何度も聞かされていたからでしょう。特に調べることもなく、それをそのまま信じていました。

 教師になって、子どもたちとフィールドワークする中で〈モンシロチョウはアブラナ科が大好きだ〉ということを知りました。➡︎ 関連記事

 「ブロッコリーもキャベツも同じ〈アブラナ科〉の植物」です。
 モンシロチョウの幼虫はキャベツばかりを食べるわけではないのです。
 知らないことがたくさんある人は、それを感動的に知るチャンスがたくさんあります。そしてそれはすばらしいことです。

 さて、今回は〈キンレンカ〉です。キンレンカはアブラナ科の植物ではありません。モンシロチョウはアブラナ科の植物でないものも食べて成長するのでしょうか?
 みなさんはどう思いますか?

 これがキンレンカです。サラダで活用にしたり、漢方で利用したりと多用されている植物です。

 
  持ってきてもらったキンレンカを見ると、アオムシがムシャムシャと葉っぱを食べています。卵も産み付けられていました。

アオムシです。たしかにモンシロチョウのアオムシそっくりです。

 葉の裏側には卵もたくさん見えました。たしかにモンシロチョウの卵そっくりでした。  その上、周りにはモンシロチョウがたくさん飛んでいるというわけです。

 モンシロチョウはアブラナ科以外の植物も食べて成長する、のでしょうか。
 みなさんはどう思いますか? 
 つづく。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!

〈本の値段〉と〈生きて動き始める絵〉 安野光雅さん(つづき)

 前に紹介した安野光雅さんの〈子どもの季節〉を注文しました、という方からお便りがきました。2000円くらいするのですね。私が学生の頃手に入れた頃はいくらだったんだろう?
 わたしのお金の単位(まとまり)は学生の頃から〈映画館の料金〉です。たとえば本なら、〈この本を買う代わりに映画を観ることができる〉とか〈映画一本分より高いけど買っておきたい〉とかいう様な思考回路が働きます。
 今でも映画の料金を超える本を買うのは勇気が要りますから、学生の頃はなおさらだったと思います。それでも2000円近くする本を買ったのだろうか。もう35年くらい前なので、それよりけっこう安かったのだろうか?

 貴重な本なので今は年に数回しか開かないのですけど、棚から取り出してみました。大切にしていても、これまで何百回も開いてきましたし、部屋に入り込む紫外線で焼けたりしています。しかしこの表紙をみるだけで、わたしの中には、1日中、なんどもなんども繰り返し開いた、あの頃の感覚が蘇ってきます。

 裏を見てみました。

 〈岩崎書店 定価980円〉とあります。

 35年の月日というのは、本の値段を二倍にしてしまうほど長い年月なのでしょうか、驚いてしまいました。そういえば新書版の本は、学生の頃300円代がほとんどだったのに、最近は700円とかがざらになっていますね。少し研究したいテーマです。

 話を戻しましょう。
 前に紹介した時にこのはじめのページにある〈さくら〉が描かれた作品を紹介しました。わたしが大好きな絵の一つです。
 これはその終わりのページです。「やまのはる」というタイトルです。

 竹馬にのった男の子が、女の子二人と話をしています。
 わたしにとっては一枚の絵ではなく、開くたびに〈里山の暮らし〉が生き生きと目の前で動き始めるすばらしい絵で、声さえ聞こえてくるほどです。実はよくよく目をこらすと、ランドセルを背負って、きっと本を読みながら歩いている男の子も見えます。薄くわかりにくいので、わたしの想像なのかもしれませんけど…

 安野さんの作品は、絵だけではありません。文章も魅力的です。また関心をもっているどなたかからたよりが届いたら、書かせていただきます。こちらの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-いいねクリック=人気ブログ!-⬅︎ジャンプ後のページでもワンクリックお願いします