自由研究こそ本物の研究「二十日大根・ラディッシュの実験」その後/名前通り20日で大根になるか?

 さて、5月初旬に始まった〈二十日大根は名前通り20日で大根になるか?〉という実験の結果を報告させていただきます。皆さんの予想したものと比べてみてください。
 これが約24日たったハツカダイコンです。20日後にあたる日に紹介できずにすみません。

 根本がふくらんできた様子はみられません。数本調べてみましたが、同じです。
 「20日大根」というと名前がついてはいても、24日たってもまだこういう状態です。二十日大根なのに二十日では収穫できないのです。

 沖縄の5月は、降水量も、気候も、野菜の成長にとって好条件がそろっています。
よその県の夏と同じでしょう。陽の光もたっぷりで、水も十分なのに、その名にある〈20日〉という日数では20日大根(ラディッシュ)に成長するまでの日が全然足りていないのです。

 ちなみにこの結果は、今回一回だけのものではなく、これまで教師生活の中で子どもたちと20回以上試してきた結果と同じです。
 わたしやわたしの教え子たちが特に栽培が下手だということはありませんが、念のため、植物好きの友人たちにお願いしてためしてもらった結果も同じでした。※もしも「いや自分がやると20日で大根が収穫できる」という方がいたら、ぜひお知らせください。首をながくしてまっています

 これは実は、〈七色の虹〉と言われているけれど実はどう見ても7色には見えないということと似ています。重要かつ、人間の認識のたのしい問題を含んでいると思うので、もう少し書いてみます。

 実は二十日大根を収穫するには一ヶ月とか一ヶ月半くらいはゆうにかかるのです。つまり〈40日大根〉といった方が名が体を表していると思うほどです。

 しかし、大人も子どもも「二十日大根・ラディッシュは20程度で収穫できる」と思っている人達がたくさんいます。

 それなのにweb上ではこういう説明がいくつも見つかります。

 わたしがよく利用するウィキペディアにもこうあります。


 巷にあるwebの説明は明らかに実験結果と一致しない説明にあふれていることになります。

 多くの人達は〈予想を立てて確かめる〉ということをしないので、何が正しいのか見えてこないのでしょう。webで二十日大根について書いている人達も、自分で確かめたわけではないと思います。もしも確かめたにしても、自分の育て方が悪かったのだろう、くらいに思って、まさか〈名前がへんだ〉とは思わないのでしょう。
 きっと農業を専門にしている方たちは気づいているのでしょうけど、ことさらそれを〈人間の認識の問題〉として重視することもなく、「まあそういうものだ」という様にしてあえて取り上げずに気にせずにいるのではないかと思っています。

 わたしが、いぜん問題としてかかげた「20日大根は何日くらいで収穫できるでしょうか?」という問題に予想してもらったところ
「だって〈二十日大根〉なんだから20日くらいではできるとおもう」
 という話が多数でした。
「沖縄ならもっと早く収穫できるのではないか」という方もけっこういて、
「20日以上かかる」という方も少数でしたけど、いました。

 多くの人達が間違ってしまったのです。間違いを間違いだと簡単にいうよりも、それを元にして、いろいろたのしい学び方ができると思います。

・沖縄の真夏なら20日で大根になるのか?
 →しかしもしそうだとしても、日本全体で〈二十日大根〉というのは無理があると思うのですけどどうでしょうか。ある特殊な状況ならそうだ、ということをもって、一般的な名前にしてしまっていることになりますから

・いつから「二十日大根」という様になったのか? 
 海外ではラディッシュ(赤かぶ)と呼ばれていて、二十日という名前はついていません。日本で〈20大根〉というネーミングで売り出したおかげで、タネがどんどん売れる様になったかもしれません

・「800の野菜」は並んでいなくても「八百屋」と呼ぶ様に、大げさないい方なのかもしれない、ということです

・二十日大根は実は四十日大根、という様な知識が広まるまでにどのくらいかかるだろうか、予想を立ててみる  というのもよいかもしれません

 自由研究として、そういうところも考えてみるとおもしろいと思うのですけど、いかがでしょうか。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!

沖縄の未来と宇宙と子どもたちを語る/10年来の友 琉球放送 上村さんと

 つい最近のこと「喜友名先生の活動のことがずっと気になっていて、沖縄に戻って落ち着いたのでやっと連絡致しました」という元気な声で電話をかけてくれた方がいます。琉球放送の上村さんです。

 上村さんとのつきあいは10年前に遡ります。
 その頃は私もまだ現職の教師で、仲間たちとすすめてきた「たのしい授業in沖縄」がどんどんグレードアップしていきました。
 わたしがNASAで開催された宇宙探査教育者会議で授業させていただいた時に知り合うことができた宇宙博士の的川泰信先生(今でもたのしい教育研究所の応援団長をしてくださっています)とのジョイント授業、固体燃料ロケットの森田泰弘先生とのジョイント授業、宇宙飛行士の古川聡さんとのジョイント授業という様に、超一流の方達と一緒に沖縄の親子向けの授業を推進していくことになりました。
 そうしてとうとう〈宇宙ステーションにいる若田光一さんと交信授業をする〉というところまできました。JAXAとNASAが全面協力してくれて沖縄と宇宙とを結んで授業するわけです。

 それを知ったいろいろなメディアから数々のアプローチがありました。当時の様子は、たくさんのテレビや新聞で取り上げてくれました⇨こちら

 そういう中で「喜友名先生をテーマに番組を作りたい」と熱心にアプローチして下さったのが琉球放送の上村さんでした。
〈ひとりの教師の夢が宇宙への扉をひらいた〉というタイトルで番組を作成したいというのです。

 具体的な予算案もできていて、会議も重なり、積極的に話がすんんでいたのですが、〈なるべく目立ちたくない症候群〉の私は、その時の上村さんの熱き思いをどの程度、どの様に受け止めていけばよいのかわからず、アメリカのNASAの宇宙ステーション運行スケジュールで、期日の確定が先延ばしになっているうちに、上村さんは突然、県外で仕事をすることになりました。

 上村さんは、その時のことが十年間ずっと気になっていて、やっと沖縄に戻って落ち着いた今、私に電話してくれたのが冒頭の言葉です。
 嬉しいことです。

 10年を経て、お互いいろいろな役職を経験する様になった今、沖縄の未来、宇宙への魅力、そういった、あの頃の熱い思いが変わらずにいるお互いを確認する時間になりました。
 たのしい教育で沖縄が日本一元気でたのしい県になり、世界に発信できる教育を推進する、という私の活動は、上村さんが放送という場で〈沖縄の魅力を県外、国外に発信する〉ことをテーマに推進して来た取り組みと重なるところがとても大きく、放送の世界で志を同じくする方がいることに、とても嬉しく感じたひと時になりました。

 何より、そして10年経った今も、お互いがとても生き生きと活動していることがとても嬉しく、途切れることなくたくさんのことを語り合っていました。上村さんからの具体的な番組の提案もありましたが、私の多忙さと、若い実力ある教師を育てるワークショップへのウェイトのかけ具合、そして〈めだちたくない症候群〉の症状との兼ね合いもあり、すこしゆっくりと語り合っていきましょう、ということになりました。
 実現できるできないは別にして、放送局で上村さんの様な夢と元気を伴った方がいることがとても嬉しくてなりません。きっと上村さんの周りにも、そういう方達がいるのだと思っています。

 上村さんが「顔を出してもよいです」というので、熱く語りあった時のワンショットを掲げます。書類なども入っているので水彩画調にしておきます。

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マツバボタンはポーチュラカと同じものか? 植物図鑑(たのしい教育研究所)

 前回紹介したマツバボタンについて、ポーチュラカと同じものでしょうか、というお話がありました。生物の分類と関係があるので、少し書いてみようと思います。お付き合いください。
 スタッフが調べてみると、web上では〈同じ〉〈違う〉の両方が混在しています。

 これがマツバボタンです。

 そしてポーチュラカと呼ばれている植物はこれです。

 似ているようにも見えますし、細かい部分を目にすると違うようにも感じます。

 混乱する時にまずたどりたいのは、その植物なり動物の分類です。何度かこのサイトにも書いてきましたが、分類のキーはそれが〈何科の生物か〉です。

  学名を整理してみしましょう…   wikipediaより

: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナデシコ目 Caryophyllales
: スベリヒユ科 Portulacaceae
: スベリヒユ属 Portulaca
: マツバボタン P. grandiflora

 スベリヒユ科>スベリヒユ属>マツバボタン です。

 スベリヒユのことをポーチュラカ(Portulacaceae)といいます。日本ではそれをスベリヒユとも呼びます。
 その知識をもってもう一度学名を整理したものを見ると…

スベリヒユ科 Portulacaceae
スベリヒユ属 Portulaca
マツバボタン P. grandiflora  です。

 リンネの整理してくれた学名は〈属名+種〉で表します。
 マツバボタンを P.grandiflora と表記してありますけど、そのP.は ポーチュラカのP、つまりマツバボタンの学名は Portulaca.grandiflora ⇨ ポーチュラカ・グランディフローラ です。

 マツバボタンはポーチュラカの仲間なので、その意味から〈ポーチュラカ〉という場合もあります。

 

 さて、一般的にポーチュラカと呼ばれている植物は「スベリヒユ」とも呼ばれています。

 スベリヒユ

: ナデシコ目 Caryophyllales
: スベリヒユ科 Portulacaceae
: スベリヒユ属 Portulaca
: スベリヒユ P. oleracea

 ここも、「種」をよく見ていただくと スベリヒユ の P. oleracea は
 Portulaca oleracea ⇨ ポーチュラカ・オラレシア です。

 ですから、マツバボタンもポーチュラカも両方とも学名で読んでいれば間違うことはありません。マツバボタンは〈ポーチュラカ・グランディフローラ〉で、スベリヒユは〈ポーチュラカ・オラレシア〉です。

 しかし〈花〉はこういう分類が整理させるずっと前から私たちの生活と深く関わってきたので、ニックネームをはじめとしていろいろな呼び方があって、学名よりずっと慣習的な呼び方が一般的です。

 マツバボタンをポーチュラカと呼ぶ人たちは、グループとしてみる、あるいはマツバボタンの学名の前の部分 Portulacaを示してそう呼んでいるわけです。

 マツバボタンとポーチュラカは違うものです、という人たちは、慣習的(あるいは園芸的)な呼び名を重視しているというわけです。

 

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植物図鑑(たのしい教育研究所)マツバボタン

 今回はたのしい教育研究所第三ラボの植物を紹介するコーナーです。今回はマツバボタンです。ごらんください。カマキリもそばにいます。

 マツバボタンは日中花開き、日が傾きだすと花をとじます。これが花が開いた状態です。  子ども達と観察するのもたのしいですし、育てるのもとても簡単なので、学校で目にすることも多いと思います。

 挿し芽でも簡単に広げていくことができますから、先生にお願いして、少し茎を切ってもらって、家で土に挿しておく、とよいと思います。

 さてこのマツバボタンの話を研究所でしていると、スタッフから「喜友名先生、マツバボタンとポーチュラカは同じものですか、違うものですか?」という質問がありました。
 とても似ている植物なのですけど、何しろ名前が違うわけですから別なものなのでしょうか。次回、少し分類のお話をさせていただきます。おたのしみに。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!