良いものを真似ることのすばらしさ/山本正次先生の授業論

〈人真似ではだめだ〉という言葉があります。何となく男性文化に多い様な気がしますけど、それは単なる勘違いなのかもしれません。いずれにしても、何か真剣に学ぼうとすれば、それがいかに薄っぺらな言葉なのかわかります。

 暮らしに残った古くからの伝統、広く見れば〈文化〉そのものが、先人たちの残してくれた大切な知恵を真似ているのです。

「真似ているとばかり思っていたのに周りの人たちと違っていた」というのがその人の個性なのだと思います。そしてたまにその個性が有効に作用することがあって、それがそれまでの技や文化を発展させていくものになっていくのでしょう。

 それは生物の進化の過程とも似ています。
 同じ生物でも長い年月の中で進化していきます。それは同じ遺伝子情報を伝えているはずのDNAの変異によるものです。
※〈突然変異によって進化した〉という説明には異論がいくつも出されていて、私自身も突然変異で進化したという説は腑に落ちません。ここでは大きな変異ではなく、とても細かい揺らぎの様な変異を意味しています

 その変異の有効なものたちが残って累積していく中で次第にそのものが進化していったという流れです。

 

 私たちの技や行動も長い歴史の中で有効な進化をしていきます。しかしそのために大切なことは、周りと同じことをしている〈基盤〉です。

 そもそも〈たのしい教育〉そのものが従来の教育の中から進化して来たものですが、たのしい教育はこれまでの教育の手法の大部分を踏襲しています。
 その中から、子ども達の笑顔と賢さとがより輝くものを集積したものが〈たのしい教育〉です。

 今はその〈たのしい教育〉を学ぶ人たちがRIDE(ライド)に足を運んでいます。そこで同じ様に、たのしい教育の技・プランを真似ていくことになります。

 独自に〈たのしい教育〉を生み出そうとするのではなく、これまで蓄積されたたのしい教育の財産を真似ることの方がずっと多くの笑顔を生んでいくでしょう。そしてそのための時間は何十分の1、何百分の1どころではなく、もっと早くたくさんの効果を生むでしょう。

 それに関連して、たのしい教育メールマガジンに書いた記事を紹介しましょう。
 このサイトはメルマガの購読者の方たちも読んでくれています。その方たちにはあまり意味がないかというと、実はそうではありませんでした。読者の方たちからも「こうやってメルマガの少しの部分を取り出して読むことも、新鮮で、新しく発見することがいろいろあります」というメールが届きます。メルマガを購読していない方たちに〈たのしい教育〉のエッセンスを届けようと思って綴っていた記事は、予想を超えた効果をもたらしてくれています。

 (たのしい国語)山本正次先生の遺してくれた言葉から

 授業の評価--成功か失敗かを決めるのは子どもです。

 子どもがたのしいと感じ、もっとつづけてほしいとねがう授業は、あきらかに成功です。
 そして、先に述べた形で自由に子どもの思いを語らせる授業に、ほとんど失敗はありません。子どもたちはみなよろこんでくれます。
 これはすでにたくさんの先生方の実践によって証明されているところです。

●結果を大切にする
 だれが、どこでやっても成功するということは、何でもないことのようで、実はたいへん重要なことではないでしょうか。
 このことは「結果に注目する」「結果として出てきた事実を大切にする」という、科学研究の基本にならったのではないかと思われます。
 わが国に於ける「教育科学」というものが、いつまでたってもかけ声ばかりで、いっこうにはっきりしたたものを生み出せないのは「結果を重くみる」という考え方が確立していないからだと思います。
 とくに国語科「よみかた」の指導では、今だに〈子どもがどう思おうと、だいじなことはきちんと教えこまねばならない。苦しくても耐えさせる。それが子どものためだ〉とする考え方が根深く残っています。そしてそれは〈授業の結果を大切にしよう〉ということ、つまり「子どもたちがその授業をどう評価したかを重く見よう」という私の主張と激しく対立することになります。

 私は「苦しくても耐えて・・・」などとはまったく思いません。
「大事なことであればあるほど、子どもたちがたのしく受けとめたかどうかを重視しなくてはならない」と考えます。
 それだからこそ「感動」を真ん中にすえて、読み、そして語るという、あまりにも単純とも見えるこのやりかたを、いよいよ大切にしようとするのです。

 私は「このやりかたをまず真似てみてください」といいたいのです。
 ところが今だに〈ひとまねはすべきでない。ひとまねでは大成しない。己れ自身のものを持て。そのために刻苦勉励せよ〉という風潮が、教育現場には生きのこっているようです。

 人真似はナマケモノのやること-と非難されそうです。
 しかし私はそう思いません。たとえ、大学新卒の先生であっても、先に挙げたはたらきかけ(※メルマガの授業の章在)で、子どもに対してみたらよいのです。
 たぶん授業は成功するでしょう。
 だから、まねたらよいのです。
 まねるべきです。

毎日たのしい教育に全力投球、たのしい教育研究所(RIDE)です。みなさんの応援クリックをお待ちしています➡︎この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉への「応援の1票」が入ります☆いいね➡︎もっと深くたのしい教育を味わいたい方は〈有料メルマガ〉をどうぞ!

出前児童館でたのしい教育/評価感想が決定的に大事

 たのしい教育研究所は月に5日間、地域の5ヶ所の公民館で出かけていって〈たのしい教育〉を実施しています。
 つまり一つの公民館に行くのは月に一回だけです。
「また来週の◯曜日ね!」と言えればよいのですけど
「また来月の◯◯日にね!」は、子ども達にとって遠い日々で、スケジュール感覚へのマッチングも困難です。

 そういう中でもしっかり月に一度の授業をたのしみに待ってくれている子ども達、保護者の方たちがたくさんいます。

 これは10月の一コマ。
 休憩でいろいろなところに広がった子ども達も、次のプログラムが始まると次第にスタッフの元に集まり始めます。


 はじまったのは〈まきゴマづくり〉です。

 つまようじに色画用紙を巻きつけると、子ども達もしっかりとしたコマを作ることができます。

 これはリーダーゆかり先生の話をとても真剣に聞いてくれている様子です。

 みんなしっかりコマが出来上がりました。
 3歳のYくんも、お母さんと一緒に作っていました。

 これはコマ回し大会の様子です。
 しっかり回っています。
 

 逆立ちゴマができる子もでました。

 最後は必ず、今日のプログラムの〈たのしさ度〉と感想を丁寧に書いてもらいます。
 これが決定的に大切です。

 RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )に学びにくる先生たちにも、このルーティーンを勧めています。

 大人の感覚で「今日はよかった」「これはまずいのではないか」と決めつけては行けません、絶対。

 子ども達のためにやっているなら、子どもに問いかけなくてはいけないのです。

 この当たり前のことが、当たり前にできる先生たち、そして保護者の方たちが増えていく様に、力を注いでいきたいと思います。

 

毎日たのしい教育に全力投球、たのしい教育研究所(RIDE)です。みなさんの応援クリックをお待ちしています➡︎この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉への「応援の1票」が入ります☆いいね➡︎もっと深くたのしい教育を味わいたい方は〈有料メルマガ〉をどうぞ!

 

本格的な授業はストリーリーがとても大切/びっくりさせる授業と感動を生む授業

 親子科学授業の反響が続いています。数回前に紹介した子ども達の評価感想にあった「〈人生に関わる実験〉というのはどういうものですか」という質問も届いています。


  「それはこうこういう実験ですよ」と書くことはできますけど、書いてもそれは伝わりません。

 なぜか?

 たのしい教育はゲームから本格的な科学の内容に関わるものまでたくさんのジャンルがあります。今回の様に本格的な科学の内容に関わるものは〈全体のストーリー構成〉が決定的に大切です。

 一時期流行った〈科学ショー〉の様にびっくりさせる実験や器具などを見せるものは科学の入り口としては有効でも、本格的な科学の感動を伝えることはできません。そこには〈腑に落ちる思考の流れ〉が不可欠だからです。

 興味関心を引きつつ、参加者の認識をゆっくり高めていく過程そのものが大切です。

 当然のことですけど、科学者たちは、正しい答えに行き着く〈予想チャレンジ〉の過程で、その何十倍何百倍の〈うまくいかない予想〉をたて〈うまくいかない実験〉を繰り返しています。

 それを感動的に学ぶ為には授業全体のストーリー構成が決定的に大切です。

 どうしてその様に考えたのかを丁寧に聞いていくことで、全体の思考も高まっていきます。

 そして、真剣に考えたくなる授業には、ストーリーがとても重要になるのです。

 以前も書きましたが、今回の親子授業は小学校の単位時間では3時間くらいの長さがあります。
 脈絡の切れた内容を単発で見せても3時間じっくりたのしんでくれるでしょうか?

 映画ですら無理でしょう。

 たのしい教育は大々的な広報活動を一切していませんが、それを受けた人たちの口コミでゆっくり広がって、今はその要望に応えるのが難しいほどになってきています。

 そんな中でも、私いっきゅうが出向いていろいろな人たちのたのしい笑顔を生む授業は大事にしています。

 興味のある方はお問い合わせください。

毎日たのしい教育に全力投球、たのしい教育研究所(RIDE)です。みなさんの応援クリックをお待ちしています➡︎この〈いいねライン〉をクリックすることで〈たのしい教育研究所〉への「応援の1票」が入ります☆いいね➡︎もっと深くたのしい教育を味わいたい方は〈有料メルマガ〉をどうぞ!