「たのしい昆虫入門」前回の続きで〈完全変態〉と〈不完全変態〉はどちらが進化したシステムか、というお話です。前回の問題に予想を立ててから呼んでくださいね。
さて、昆虫の進化の過程で〈さなぎ〉はどういう意味を持つのでしょう。
古い時代に〈さなぎ〉の状態をもっていて、それが進化していくうちに、そういう状態をもたいな昆虫たちが出てきたのでしょうか?
それとも、もともとは〈さなぎ〉という段階はなく、進化の過程で、それが出てきたのでしょうか?
お話
今回お届けしたメールマガジンに仮説実験授業研究会の西村寿雄さんが「がくゆう」という雑誌に書いた〈昆虫のお話〉を紹介しました。
雑誌そのものは30年くらい前に廃刊になっていましたが、仮説実験授業研究会の大会で入手した資料に、それが掲載されていました。
子どもたち向けに、分かりやすい文章で書かれていて、わたしも理科の時によく利用させてもらっていました。
その中にこういう文章が出てきます。
はじめの昆虫の多くは〈卵⇨幼虫⇨成虫〉という変態の形をとっていましたが、約2億3千万年前ごろ、地球の気候が寒くなってきたころから、幼虫の脱皮の最後に成虫にならないで〈さなぎ〉になってしまう昆虫があらわれました。 まわりの気候がかわってきたので、さなぎになって、じっと力をたくわえることをおぼえたのでしょうか。〈卵⇨幼虫⇨成虫〉だけでは、寒気での〈うえ:食べ物がすくない〉を十分のりきれなかっただろう、と思っている科学者もいます。
さなぎというのは、進化の過程で誕生したシステムだと考えられているようです。
進化の中で、よりシンプルに変化していったのだろう。つまり〈さなぎ〉というややこしい段階がなくなっていったのだろう、と予想した人も多かったのですが、どうもそうではないようです。
この問いかけは、雑誌にあるわけではなく、わたしのオリジナル問題です。興味のある方は、昆虫の授業の時に、利用してみませんか。
たのしく賢く感動する教育、それが「たのしい教育」です。