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今回最も多かったのは、わたしの〈ことばの重み〉について、でした。
中には「とても感動したので、自分の家族にも読んで聞かせました」という声もありました。
書いている者として、こんなに嬉しいことはありません。
はじめに〈ことばの重み〉
学生の頃、言語学の講義で「人間の思考は言葉を利用する、つまり言語が人間の思考に重大な影響を与えるのだ」と教わった時
「それは二次的に複合してきたことで、本来的にはまず〈そこに暮らす人間の思考や感覚が言語をつくったんだ〉」と思った。
それらが次第に統一されてきて〈日本語〉という大きな体系になったにしても、成り立ちはそうなのです。
たとえば寒い地方には〈雪〉を用いた表現がたくさんあります。・雪の中から顔を出すふきのとうの姿をみると春が間近なことを感じる
・淡雪の様に散った想い
・雪灯りに浮かぶ木々
・雪の様に白い肌
・積雪の様なおおきな壁
etc.その感覚を文学作品や映像などで感じることはできるし、冬の寒い地を旅して、ふきのとうが雪の中から顔を出す愛らしさを感じることができるものの、その表現を生み出すことは南の暖かいところに住む私たちはにはできないでしょう、そもそも雪が降らないのですから。
そこに暮らす人間の思考や感覚が言葉を生み出し、それを受け継いできたわけです。だから、その人々の守り育てて来た言語をみれば、その人たちの〈大切にしてきた想い〉を知ることができると、私はずっと考えてきました。
「子は鎹(かすがい)」という言葉があります。
〈家族の中での子どもの大切さ〉を感じる私たち日本人の想いを知ることができる言葉です。
特に日本人という必要はなく〈どの国でも子どもは大事にしただろう〉と感じる人がいるかもしれません。
けれど日本人は「建物の骨格をつなぎ止める鋼」だと表現したのです。かすがいがなくなったら、家の構造が崩れ倒れてしまうことすらあります。
「別にそれは自分がつくった言葉ではないんだけど」と思う人もいるでしょう、もちろんそうです。
けれど日本人の多くがその感覚に同感し、その表現を大切に次代に受け継いできたということ、今の私たちもそれを違和感なく受け入れている、それが決定的に大切なことなのです。
私の生まれ育った琉球にもすてきな言葉がたくさんあります。
私は子どもの頃、おとなしい子では無かったので、いろいろなことを自分でやっていたのでしょう、もちろん大人の様にできるわけはありませんから、たくさん失敗して叱られたことも多かった様に思います。
その時に祖父がよく「なんくる ないさ」とかばってくれたことを覚えています。
「しだいに良くなっていくんだから大丈夫だよ」という想いの詰まった言葉です。
今でもその言葉を聞くと胸がじ~んとしてきます。
南の島の琉球の人たちが残して来た大切なことばです。
言葉それは〈文化そのもの〉であるとも言えるでしょう。
そういうこともあって、私は辞書も大好きです。また旅をすると、おじいちゃんやおばあちゃんたちの話を聞くのが大好きです。メルマガの読者の方から
このメルマガの読者のMさんがTVで放映されていた映画作品をDVDに焼いて届けてくれました。
去年、私がこのメルマガで絶賛した韓国映画「タクシー運転手」を観てMさんも感動してくれて、その脚本を担当したオム・ユナが監督・脚本をつとめた作品だから、きっと私も興味があるだろうと思ったとのこと、嬉しいことです。
オム・ユナ監督、女性だったのですね、しかも俳優としても十分すぎるルックスです。
重い歴史を描く重厚な作品からイメージできませんでした。
ありがたいことに読者の方たちから「おすすめの映画」の情報がいろいろ届き、とても嬉しく思っています。相変わらずの忙しさで全てみるゆとりはありませんけど、生きているうちには必ず挑戦しますね。マルモイ ことばあつめ
この作品は、日本軍統治下の朝鮮(現在の韓国+北朝鮮)で、日本語・日本文化を押し付けられた朝鮮の言語界の人たちが自分たちの辞書を編纂して後世に残そうと闘った記録です。
映画の章は、ここから本筋にきすります、引用はここまでにしておきましょう。
予算の関係か、この〈マルモイ〉は画像のスケールが小ぶりで、テレビドラマの様なつくりになっています。しかし、そこに描かれているドラマは、感動以外のなにものでもないと思います。
韓国の人たちが自分たちの大切な想いのつまった言葉を守ろうとした素晴らしさだけでなく、文字を読み書きできる様になることのたのしさ素晴らしさも体感できる秀作です、ぜひごらんください。
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