今回はたのしい教育いっきゅうofficeで出しているメールマガジンの以前の記事の中から紹介しましょう。
板倉聖宣先生は〈たのしい教育研究所(RIDE)〉の前身、伊良波さんと私が中心にすすめていた「仮説の会」や「沖縄仮説サークル」の招きで20年以上にわたって遠くの私たちの処まで来てくれました。
私は板倉先生をサポートするために、たいていつきっきりだったので、本当にたくさんのお話を聞かせてもらうことができました。膨大な音声データが残っているのですけど、その大半は整理するゆとりのないままストックされています。
ある時、私が大学を卒業する年に刊行された「月刊 たのしい授業(1983.11)」に板倉先生が書いた〈理解と習熟〉について質問したことがあります。
私が質問したことの前に、板倉先生が書いた原文を読んでみてください。
板倉聖宣
分数の割り算の場合「分母と分子をひっくりかえしてかければよい」と教わっただけでは、子どもたちは「どうしてそんなことをしていいのかわからない」と疑問をもって、そんな計算方法を覚えるのもいやになるであろう。
しかしだからといって「分数の割り算の原理」をくわしく説明しようとしたら「そんな面倒なこと、わからない」と反発する子どもがでてくることもあるだろう。
問題はその理由を完全に理解させることにあるわけではない。
「分数の割り算は分母と分子をひっくりかえして掛ければいいなんて、ふざけたみたいなやり方でやると、ふしぎと合う」ということを、二三の具体例でたしかめるだけで満足できれば、それでもいいわけである。
板倉先生は〈分数の割り算は分子と分母をひっくり返して掛け算にする〉ことで答えが出せるということを、なぜそうなのか理解させることが重要なのではない、と語っています。
それをはじめに読んだとき私はしっかりその文脈を読み取っていなかったのでしょう、こう質問しました。
いっきゅう
今、学校の様子をみると学力向上主体で〈どうすれば周りの学校より点数が上がるか〉に全力の校長先生たちもたくさんいるようです。
随分前に、板倉先生が「分数の割り算は、分子と分母をひっくり返してかければよいというのをいくつかの例で確かめればよいのだ」と書いてあったのですけど、それは
〈計算はこうやれば不思議とあうんだ〉だから
「とにかく先生のいう通りやりなさい」ということにもなると思います。
今の沖縄のドリル主体の授業がいっぱいの状況をみると、その話は違和感があるんです。
板倉先生は「いや、そういうまとめをしたわけではないよ」と話し始め、「子どもたちがたのしいと感じてくれるかどうかだよ」と力強く答えてくれました。
後日、その雑誌を取り出して再読した時、その中には
板倉
理解と習熟のどちらを先にするか、というのは元来どうでもよいことである。
問題はそれぞれの教材について「どちらを先に立てたら子どもの興味をより高めることができるか」ということだけである。
とありました。未熟な読み方をしたから、その後しっかりそれが頭に入ってきたとも言えるでしょう、〈どっちに転んでもシメタを探せ〉です。
たのしい教育研究所はその板倉聖宣の発想を受け継いで「子ども達がたのしいと感じてくれる授業の開発」に全力投球しています。そしてその財産は着実に増えてきています。興味のある方は、「小学校の○年生でつかえる算数の教材はありませんか」というようにお問い合わせください。
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