授業で大切なこと/子どもたちの心をつかむ方法(教師教育)

 若い先生たちと授業トレーニング(ワークショップ)をしています。実際に授業をしてもらいながら、子ども達の心に響く言葉かけなのか、内容は魅力的だったのか、声のスピードはどうなのか、実践的なトレーニングを重ねていきます。この写真はその時の様子です。

 授業にかかわる要素はいくつもあります。
 声掛けや内容の提示、めあての設定、子ども達の状況の把握から、あたたかい雰囲気づくり、身だしなみといったものなど、書き出すと100では止まらないのではないかと思います。そういう中で〈授業で最も大切なのは・・・です〉と言い切る人たちもいます。

 ある講演の中で先生たちに「〈授業に最も大切なことは・・・です〉の中の〈・・・〉に入る言葉は何でしょう?」と問いかけたことがあります。
 教育者ではない、という方も、これまでいろいろな授業を受けたことがあると思いますから、みなさんも考えてみませんか。

考え中

考え中

 答えが驚くほどたくさん出てきました。
 曰く〈基礎基本〉
  〈日頃の積み重ね〉
  〈めあての設定〉
  〈教材〉
  〈情熱〉
  〈支持的風土〉
  〈多様な考えを認めること〉
  〈アイディア〉
  〈信頼関係〉etc.
「たのしい教育研究所」という名前を知っているからでしょう「たのしさ」と答えた方もいました。

 これだけたくさんの答えがあるということは〈最も〉と限定することは難しいということでもあります。
 つまり〈最もこれが大事〉と提示されると〈それよりもっと大事なことは・・・〉という様な考えも出て来るということです。

 「食育基本法」という法律があります。その前文はこうです。

子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。

 子どもたちの〈豊かな人間性〉〈生きる力〉を身につけていくためには《何よりも食が重要》だというわけです。そう言い切るのは勇気のいることです。「本当に?」という異議を唱えたくなる方もいると聞いています。

 「もっとも重要」とか「一番重要」というのはとても難しいと認識しつつ、若い先生たちのためにあえて〈授業で大切なこと〉についてアドバイスしていることがあります。

 どれだけ子ども達の心をつかむか。
 子ども達が「今日の授業たのしそうだ」と思ってくれるか。
 知的好奇心をどれだけ高めてあげられるか。

 つまりそれらは〈導入部〉にかかっています。

 子どもたちはしつけがだいじだから、姿勢を正して、授業の道具を揃えて、〈めあて〉を掲示して、〈教科書〉を開いて、という様に、いつも通りの流れですすめていけばよい、と考える先生たちもけっこうたくさんいます。
 たとえば社会科で「自動車生産の伸び」について授業する時、
「今日は自動車生産の伸びについて勉強しましょう。教科書の27ページを開いてください。めあてを書きますから、先生について写してくださいね、いきますよ・・・」
 というように、どういう内容でも、そう授業すればいい、と考えです。

 たのしい教育研究所では〈どうすれば子ども達の心をつかむことができるか〉に教師の知恵をしぼる必要があると思います。
 その教材に子ども達が身を乗り出して来てくれる様な〈つかみ〉の部分、それが「導入」です。逆に導入をおろそかにしたために、せっかくの教材がうまく効果をあげないことがたくさんあるのです。

 実はそのことは、一つの授業だけでなく、一年間の学級づくり全体にも言えます。言葉では言わないまでも
「みなさんがちゃんと○年生らしくおちついて先生のお話を聞ける様になったら楽しいことをしましょう」
というタイプの先生たちもいます。
 そういう先生たちは〈ルール・規律や態度的なもの〉〈いいつけた課題をちゃんとこなしてきたか〉という様なものをはじめにしっかりと指導してから、ゆっくりたのしいことをしよう、という様な学級指導を組み立てていきます。

 つまらないものはつまらないと行動に表す子ども達は早い段階で反発をはじめ、先生についていこうと思っていた子どもたちも、次第にクラスそのものに期待しなくなり混乱が生じる、そういう場面は、じつはたくさん生じています。

 一時間の授業を成功させる秘訣、それは一年間の学級指導を成功させることにもつながります。

 ではどういう様にして、子どもたちの興味関心を高めてあげられるのか?
 それはぜひ〈たのしい教育研究所〉の講座などで実際に体験していただけたらと思っています。先日の〈りゅうぎんキッズ〉に教育関係の方達が何人も参加してくださっていました。子どもの保護者という立場で、たのしい教育研究所の授業を一緒に体験してくれて「とても感動しましたた」という感想を話してくれました。
 いろいろな方たちの〈たのしい教育〉が広がっていくことを期待しています。みなさんの応援をよろしくお願いします。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!

 

問題:象の重さをはかる 答え編

 前回の問題の続きです。まだの方は1記事戻ってからこのページをお読みください。
 さて、巨大な象の重さはどの様にしてはかることができるのでしょう?

 実はこの話は中国の三国志に出てくるエピソードの一つです。残念なことに私はそれを読んでいたので、答えを知っていました。
 ですから〈考えるたのしさ〉を味わうことができませんでした。答えを知っているというのは概ね残念なこともあるのです。

 さて、はかり方はこうです。

1.象を船にのせて、その時の水面の位置に船のヨコにしるしをつける
2.船の象を下ろして、今度は、さっきしるしをつけた水面まで下がるくらいの石をつみあげていきます
3.船の中の石の重さをは一つ一つはかっていって、足し算していく

 石を一個ずつというのは時間がかかりますが、コツコツ足し算ていけば、象の体重と一致します。

 いかがだったでしょうか。
 同じアイディアになりましたか?
「自分のアイディアの方がもっといい」というものがあったらぜひお知らせ下さい➡︎こちら

 ところで〈重さをはかる〉というのはいつ頃から出てきたのでしょう。
 三国志が2000年ほど前の物語ですから、それ以前からあったことになります。
 みなさんは、人間が〈重さをはかる〉様になったのは、今からどれくらい前のことだと思いますか?

 私がプラン化しようと思って調べている物事の一つですから、いろいろ資料が揃っています。機会をみて、「重さを測る」について書かせていただきます。たのしみにしていてください。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!

 

問題:象の重さをはかる 親子で考えてみませんか

 わたし、いっきゅうは、なぞなぞが大好きで、それが伝わるのか、教師をしていた時も、フリーとなって教育活動する今でも、講座で出会う子ども達からナゾナゾ的な問題を出されることがあります。時には先生たちから出題されることもあって、今回は研究所に来てくれた先生から出題された一つを紹介させください。少し脚色して出題しましょう。

                           ※

 ある国の王様のところに遠い国から〈象〉が送られてきました。
 これまで象をみたことがなく、そのあまりの大きさに、見たもの全員が驚いてしまいました。


 王様はこの巨大な生き物の「重さ」が気になって、家来たちに、はかるように命じましたが、「それはできません」という答えが帰ってくるばかりでした。
 その頃の〈はかり〉は人間くらいの重さをはかりとるのがせいぜいで、こんな巨大な物体をはかるのは無理だったからです。

「誰かよい知恵があるものはいないのか。
 〈重さをはかることができるものにほうびを与える〉というおふれを出して、ひろく人々にも聞いてみるように」
王様は家来たちに、そう伝えました。

巨大な象という生き物の〈重さ〉をはかることができる者に王様から褒美が与えることとなった。
よい考えがあるものは申し出る様に。
ただし、象は生かしたままはかるように

 

 その話が街全体の広まったある日「自分は象の重さをはかることができます」と申し出る人が出ました。

 実際、その人はどうやって象の重さを測ったのでしょう?

 みなさんのアイディアを聞かせてください。答えは次回!

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自由研究で大ヒット:たのしい教育研究所式顕微鏡(TVで放映-画期的です)

「夏休みの自由研究のニュースにいっきゅう先生が出ていました」という知らせが入り動画を入手しました。たのしい教育研究所が開発して高い評価を頂いている〈たの式けんび鏡〉でロバート・フックさんたちの切り開いた〈小さな世界〉の授業をした時の様子でした。 作り方はサイトにありますから、ぜひ検索して御覧ください。100均の素材で簡単につくることができます。
 これだけの倍率と画像が簡単にたのしめるというのは〈画期的だ〉という評価をいろいろな方たちから頂いています。
 教育関係者の中では、オリジナリティを無視してしまう方も多いので、利用する際には〈たのしい教育研究所式けんび鏡⇒たの式けんび鏡〉という名称を忘れずに利用してください。
 「こんなの簡単だよ」と感じる方がいるかもしれませんが、ガリレオが大きな玉と小さな玉が同時に落ちるというとても簡単な実験結果を明らかにするまで、だれもその重大さに気づいていなかったのです。
 人びとが〈小さな世界〉を簡単に知ることができる、ということもそれと同じことで、このけんび鏡の開発は、たのしい教育研究所の長年の成果の1つとして誇りをもっています。

 この「たの式けんび鏡」を利用してたっぷり4時間(学校時間)、子ども達や参観の保護者のみなさんと〈小さな世界〉の魅力を味わいました。子ども達の評価・感想には、その感動がたんさん刻みつけられていました。
 予想チャレンジという科学の根本的な手法も味わってくれているので、この子たちがいろいろなところで活躍してくれるものと思います。ノーベル賞が出るのも難しいことではないと思います。

 単におもしろおかしいもの、不思議なことを体験したというのではなく、科学者達が切り開いてきた宝物を、自分自身がドキドキしながら味わい、科学者たちと同じように間違い、あるいは正しい予想を立てながら、どんどん小さな世界の魅力を味わっていくわけですから、大きな財産になったに違いありません。

 これからもたのしく賢くなる教材づくりをどんどんすすめたいと思っています。8/19(金)は〈親も子も先生〉も一緒にたのしめる自由研究講座があります。単なる自由研究を超えて、大人も子どもも学ぶたのしさを体感する講座になります。
 わたし、いっきゅうもいよいよその準備のラストスパートに入っています。ご期待ください。1日一回の「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-〈人気ブログ〉いいねクリック⬅︎ジャンプ先のページでもワンクリックお願いします