板倉聖宣〈不況と教育〉/最新メルマガへの反響

 たのしい教育を学ぶ本格的なツールが〈たのしい教育メールマガジン〉です。その最新号に、さっそく反響が届いています。数回前から実験的に水曜日発行にしているのですけど「長い一週間が終わる日ではなく、中間の日に読めるのはとても嬉しいです」という感謝の言葉も届いています。

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◎たのしい教育の発想・思想・哲学「不況と教育」 板倉聖宣 2002-03-26

 最終章の〈板倉聖宣:不況と教育〉の一部をお届けします。

 

この章でとりあげることの多い板倉聖宣(仮説実験授業の生みの親)は、生前数々の文章を書き、その講演もいろいろな人たちが記録を残しています。講演に関しては東京弁の速さと癖に加えて、独特の発想、いろいろな知識内容が重なり合い、そのまま文章に起こしても文意をとるのが難しい部分もたくさん目につきます。
 そこでこの章では、私が30年以上板倉聖宣の文章を編集してきた経験を活かし、板倉先生本人から直接頂いた本や大会などで入手してきた講演記録などを中心に〈大胆に校正して〉お届けしています。〈板倉聖宣本人はこう語りたかった〉という内容になっているはずですし、すでに同じテーマの別資料を読んでいた読者の方からも「この編集はとてもわかりやすい」と好評を得ています。
 また、これまで執筆してきた板倉聖宣について私のガリ本などを板倉先生自身が高く評価して下さっていて「原子論者の人生論」の執筆取材の時「自分(板倉)の書いたり語ったりしたものなら、仮説関係の他の人ができるだけ傷つかない様に配慮してもらえば紹介してもらってかまわない」と許可をもらっています。
※ここで取り上げるものは古い原資料からの電子化が多く出典をたどる事ができないものも有りますのでご了承ください。

 

 

いっきゅう筆
 経済のことお金のことはよく分からないことがたくさんあります、しかしそれは〈たのしい教育〉にとっても、どうでもよいことではありません。「衣食足りて他人の笑顔」です、経済が悪くなり、衣食足りなくなると〈子どもたちの笑顔〉がそっちのけになってしまうことが十分予想されるからです。
 今回の板倉聖宣の話は2002年、バブル崩壊後の不況(平成不況)の話からとりあげます。この章のタイトルに続く説明にも書いてありますが、板倉先生の話は、いろいろな知識が折り重なって、あっちにいったりこっちに来たりします。1時間くらいの長い話を、今回の〈不況と教育〉というテーマに沿って編集しました。
 20年前のことだから関係ないかというと、そうではありません。このまま世の中の仕組みが変わらなければ、また大きな不況の時代に入っていくことが予想されます。いや既に不況に入っていると指摘する経済学者もいますし、今回の消費税10%がその大きなトリガー(引き金)になるという人たちもたくさんいます。
 そんな中、教育に何ができるのか、そういう視点でお読みください。
 

たのしい教育の発想法
「不況と教育」 板倉聖宣 2002-03-26

尼崎たのしい授業フェスティバルにて

 

借金をするとどうなるか
 私が国立教育研究所にいた時に、ある高等学校の化学の先生が株を買い始めて、その株がすごく好調なのでうれしくて銀行から借金をしてドンドン金をつぎ込んだ人がいました。
 しだいに「株の方がず-っと儲かっていい」というので高等学校の先生を辞めてしまって、株を専門にするようになりました。そのうちバブルが弾けて大変なことになりました。
 私のところにも電話をかけてきて「ニクソンがケシカラン!」とか「誰々がケシカラン!」とかいうのです。
「ああ、私の近くにいい実験台がいたなあ」と思いました。

 銀行から借金をして株を買うとどういうことになるかがわかる。
 株が全部で1000万円だとすると、銀行から1000万円借金しているわけです。
 銀行から借りたお金の担保はその株なのですね。

 株が値下がりをしたとする、たとえば元々1000万円の株が800万円に下がったとする。
 株が下がった時には売りたくないのです、上がった時に売れば差額が儲けになるからね。

 ところが銀行には1000万円の担保が保証されていなければいけないのです。株が下がって担保の1000万円が800万円になってしまうと、株を売って補填しなくては、銀行の担保をまかなえなくなるのです。
 つまり売りたくないのに売らなければならない。
 結果として株を200万円分売ることになるから、自分の持っている株が減ることになる。
 また株が下がるとまた売らなければならない。
 株がドンドン下がると、株を売りたくないにもかかわらず売ることになる」・・・
 そういうのが社会の仕組みなのですね。

 それで彼は結局、学校の先生も辞めているものですから日常的な収入もなくなって、すごく悲惨なことになってしまいました。

 そういうようなことが日本の銀行を初めとするゼネコンなどでも起こっています。
 今、ゼネコンは不況だからすごい赤字なのか?
 確かにそれもあるはずですが、それ以上に、たくさんのお金を投資しているので「その投資したたくさんのお金がみんなパーになった」ということなのです。
 それで、国家が救いに出るというわけでしょう。

 本当は国家が救いに出なくても、優良な、そういうバブルに弾けても影響のないような企業が結構あれば、おかしな会社は社長に責任を取らせて、会社をつぶしてもどうということはないのです。
 ところが今の日本ではそれが出来ないのです。
 全てが国家に依存をしているような形になっていて、全部の銀行が「皆でおかしなことをやれば恐くない」とい感じで動いているからです。
 問題は「そういうエリートの人間を作ったのは誰だ!」ということです。

 それは日本の教育です。

 

不登校の原因は明らか
 日本の教育を見た時、不登校の子どもがこう増えてきているでしょう(グラフ掲示)。下がってきた時期もあるのですが、この1975年からまた上がってきた。今はこの1975年から、だいたい25年ぐらい、ずうっと上がってきていて1回も下がったことがないのです。
「今に日本の子どもたちが全員登校拒否になるか」というと、それはありません(笑い)。そんなことはありえないから、どこかで止るのです。

ここまでにしておきましょう。

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山はどうしてできるのか?

 どういう流れだったかのか細かくは覚えていませんけど、以前アウトドアワークをしている時、参加してくれた先生に「野口五郎岳っていう山があってですね、」と話し始めたら、「またいつもの冗談ですね」と言われたのですけど、本当にあるんです。
 しかもあと80mくらいあれば3000mクラスの山になっていたほどの高い山です。ちなみに日本にある3000m級の山は富士山や槍岳、奥穂高岳など20くらいしかありません。

 私が好きな番組〈グレートトラバース〉でプロアドベンチャー田中陽希が登るのがちょうどその〈野口五郎岳〉でした。

 

 これは「向こうが野口五郎岳だよ」と示された道しるべ。


 さて最近、ある先生から「子ども達から〈山はどうしてできるのか〉っていう質問があって、うまく答えることができませんでした」という話がありました。

 みなさんはどうでしょう?

 学研のキッズネットには〈溶岩が吹き出したもの〉と〈地面が両方向から圧力を受けてしわがよって山になる〉の二つがあげられています。

1.

 

2.
 しかしそればかりではなく、一方のプレートが下に潜っていくことによって上に乗った側が高くなっていくことや、侵食といって、周りの柔らかい地質が削られていって、結果的に硬い部分が山として残ったことなど、いくつかの理由が考えられます。

 ただし、そういうことよりも〈この地球の大地が動いている〉ことの方が、子ども達にとっても、それから私たちにとってもイメージしにくいことのような気がします。

 理科の時間に何度も「え、先生、この地面が動いているっていうことなの」というような言葉を耳にしてきたからです。

 けれど実はこの大地が動かないことの方が不思議なのです。数えられないほどの隕石がぶつかり、内部には6000℃のどろどろに溶けた金属をたたえているこの地球の内部・大地がゆっくりと動いていることの方がふつうのことで、逆に動かないでじっとしている理由の方が見つからないのです。

 この宇宙にある物体は、外から何か力が加わらない限り、止まっているものは止まり続け、動いているものはそのままの運動を続けるのが科学的に明らかにされている原理です。

 どうして山ができるのか、それは〈この地球は表面ばかりでなく内部から動いている、力が加わっているから〉という根本的な話をしてあげてから、はじめに書いた様な説明をした方が、ずっとダイナミックですし、科学的な説明なのです。

 いつかそういう質問が来たら、ぜひこの話をしてあげてください。

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参加無料/出前児童館12月は〈たのしい折染め〉12月16日~20日です/たのしいブレイン・ミーティングの様子をご覧ください

 RIDE( ライド:たのしい教育研究所 )は毎月一週間、地域の公民館などに出向いて〈出前児童館〉を実施しています。今月は12/16~20日です。誰でも無料で参加できます、遠くの方はお問い合わせください。今回はいよいよ〈折染め〉を実施します。RIDEの折染め講座は大人気で、遠く福岡から学びに来る人たちもいるほどです。

 これはスタッフと学校の先生たちも含めたブレインミーティングの様子、染められた実物もたくさん並んでいます。

 RIDEでは毎回こういう会議を開催します。その中で新しい工夫、改善だけでなく、たくさんの個性あふれる子ども達の動きの様子を予測してもらって、安全面などでもスーパーバイズしてもらうことができます。

 2~3才の小さな子たちが来ることもあるので、実際に子どもたちに試してもらいなが工夫できるアイディアを試していきます。

 折染めの染料も、万が一、口に入れても大丈夫なものに変えてみました。

 これは手に折染めの色がうつらない様にクリームなどでその効果を試しているところです。

 複数の子ども達が試してくれています。

 たのしい教育研究所は実際の授業だけでなく、ブレイン・ミーティングからたのしさに包まれています。

「学校の先生たちにもっとゆとりができてきて、教材研究もこういうカンジでできるといいのだけど・・・」
 招聘した先生たちからも、こういう声が上がります。
 本当にそうだと思います。

 たのしい教育研究所の活動を着実に広げていきたいと思います、みなさんの応援、よろしくお願いします。

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学校で子ども達が〈もっと学びたい・やめられない〉と感じる教育を提供しよう/たのしい教育が突破する

 RIDE(ライド:たのしい教育研究所)に来る先生からの相談でこういう話をしたことがあります。
 たのしい教育、つまり〈子ども達が先生もっとこれ勉強したい・やめられない〉という教育をすすめていくなら学校は子ども達にとっても教師にとっても魅力ある素晴らしいところになるけれど、〈テストの点数を高める〉〈絵が上手くかけるようにする〉〈何でも食べることができるようにする〉etc.何かの訓練校であるかの様になっていくと、苦しいものになるでしょう。

 訓練校、例えば車の運転免許が欲しいということで自動車学校に通う人たちには、その目的がハッキリしてしています。料理学校もそうですし、職業訓練校もそうです。
 しかし例えば小学校に通うほとんどの子ども達にはそういうことはありません。そこでいつの間にか全体目標が設定されて、その方向に頑張らなくてはいけないという様に拍車をかけられる。それに乗っていける子どももいます、優等生はそうです。ところがそれに乗れない子どもたちもいます。言葉では教師に負けてしまいますが、賢い身体と丈夫な頭はそれに乗ることができないのです。関係がこじれていくと、前に書いた様に〈学級崩壊〉の流れも生むでしょう。

 学校というのは、子ども達が「先生これいいね、もっと勉強したい」というものをどんどん提供していくところであって、「あなた達はこれをやることになっているのです、従ってこれこれこれを達成してもらいます」というところではありません。

 法律論で語りたい方向けには「教育は人格の完成を目指す(教育基本法)もの」であって「これこれを達成する様に」というハードルを設定するされるところではない、ということです。

 それでも指導要領に〈これこれを教える様にと書いてある〉と思う先生もいると思います、しかし指導要領は法律ではありません。法律の下、〈人格の完成を目指すために学校では何をするの?〉という時に〈学校ではこういうものを取り上げてください〉ということを文科省の省令として書いているのです、省令は法律ではありません。状況によって変化していくものです。

 人格の完成とは何か?
 人格を英語の〈パーソナリティー〉とイメージするとわかりよくなるかもしれません。
 子ども達一人ひとりのパーソナリティー、その子一人ひとりが自分らしく豊かに生きていくために教育がある。

 としたら「先生、こういう勉強をもっとしたい」という内容を提供できるところが学校でなくてはならないでしょう。

 少なくとも〈子ども達が無力感、無能感を感じるところ〉が学校であってはならないということを教師一人ひとりがしっかり考えていく必要があります。

「君たちはかけ算九九ができる様に!」ではなく「ねぇねぇ、かけ算九九ってすごいんだよ~」というのが学校なのです。できない子が無能感を感じるのではなく、今はちゃんと覚えられなくても、のちのち覚えていると便利だな、と感じてくれるのが本来の教育なのです。

 現実の学校は〈あれをやらなくては、これをやらなくては〉に満ちていて、そういう本質的なものに立ち返るゆとりすらなくしてしまっているかもしれません。
また教師が、あれをやりなさい、これをやりなさいという圧力に立ち向かうのは簡単ではありません。
 しかしできることがあります。
 たのしい教育、子ども達がもっと学びたいと感じ、賢くなっていく教育方法を学び、子ども達に少しずつ提供していくことです。はじめの一歩が肝心です。それは難しいことではありません。

 例えば〈週に一回はたのしい教育〉という目標を立てるところからはじめてみてはどうでしょう。

 たのしい教育研究所は、子ども達が「もっと学びたい」と思ってくれる教材を提供しています。12月29日には、その本格的な講座を開催します。まだ募集は始まっていませんが、早くも申し込みの打診が来ています。興味のある方は、このサイトをチェックしていてくださいね。

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