必要性も知らず計算するような人間ではいけない

 最新号の〈たのしい教育メールマガジン〉に書いている記事を少しUPさせていただきます。仮説実験授業研究会代表・日本科学史学会会長 板倉聖宣が語った内容です。数学教育協議会(数教協)で語った内容ですが、相変わらず迫力満点です。

 たとえば、クラスの平均身長をわり算でだしなさいという問題が出されたときに、なぜ平均身長をださなければならないかわからなければ、平均値の計算をしない方がよいのです。
 もしクラスの平均の身長を出して、そのあと座高を出してイスの大きさを決めるというなら、これはクラスの平均を出す意味がありません。全員が同じイスに座るわけではありませんから。クラスの平均値を出して、その平均値に合ったイスを揃えるなどという発想がおかしいわけです。イスを揃えるなら〈どういう区間に何人の子どもがいるか〉という統計をとらなければいけないのです。
 そのことを知らないですぐに〈わり算〉をしたり〈かけ算〉をしたりして答を出してしまう人がいる。これは困ったものです。
 そういったことをはっきりさせてやれば、こういう場合にはこういうことをしなければならないということがわかってきます。そういう様に、子どもたち自身が「ああ、学んでよかった」ということが授業の途中でわかってくるような、そういう内容をとりあげて教える必要があるのです。
 ところがその点、数学教育というのは、昔から教えることがだいたいきまっているような感じがするのですからいけません。なんとなく教えていて「昔からオレも教わって知っているんだから、これからの子どもも知っている必要がある、どうせ入学試験にも出るんだからなあー」ということになってしまう。

 子どもたちがわかるに値すると思ってこれることを教える。そのことをはっきりさせなければなりません。

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たのしい〈楽描きコンテスト〉のすすめ 

 たのしい教育研究所の講座やたのしい教育Cafeなどで何度か取り上げてきた〈たのしく描く〉⇨〈楽描き〉をたのしんでいる様子がメールで送られてきました。五味太郎の「らくがき絵本」を利用して簡単にたのしむことができます。このサイトでも何度か紹介しています。たとえば ⇨ こちら 「らくがき」は普通「落書き」をイメージしますが、たのしい教育研究所では〈たのしく描く〉⇨「楽描き」という表現をオススメしています。描くこともたのしく! です。

 今回送られて来たのは、その中の〈アイスクリームパフェをかこう〉というページに挑戦している時の様子です。

 写真からも集中している様子が見えてきませんか。

 アウトドア派の元気な少年たちも、とても熱心に描いていたそうです。担当の先生は、その姿に感心したとのこと。

 この楽描きコンテストは、何しろアイディアが勝負ですから、絵が上手だという子が上位にのこるとは限りません。きっと子どもたちのたのしいアイディアに感心することと思います。1日1度の「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!

 楽描きコンテストを全校で実施して〈グランプリ賞〉まで選出しようと取り組んでいる学校もあると聞き、ますますたのしい教育活動が広がる春を感じている、今日この頃です。

 みなさんも、たのしい授業の様子をどんどんお届けください。個人情報に配慮して、必要に応じて加工した画像を掲載します。
 

 

 

 

たのしいということは程度が高いということ、応用範囲が広いということ 板倉聖宣

 板倉聖宣の発想法を読みたいという方からのお便りがいくつも届いているのですけど、なかなか書くことができませんでした、すみません。今回は、たのしい教育は〈おもしろおかしいもの〉ではなく本格的なものである、ということに関連して、板倉聖宣が語ったことを紹介させていただきます。数回前に、わたしが先生方に〈原子分子〉の話をした記事を載せましたが、そのこととも関連しています。最新号のメールマガジン「たのしい教育はやめられない」に書いた内容から少し抜粋したものです。タイトルにあるように、たのしい教育とは「程度が高い」ことであり、「応用範囲が広い」ことである、という内容です。

 今の子どもたちは学校の勉強というのが嫌いじゃないのです。高級なこと、程度の高いことを教わるのが大好きです。
 ボクは小学5、6年生のころに〈原子や分子が見えるメガネがある〉というウソの話を読んで感動しました。それで大学に入っても、ずっと原子や分子が見えるような錯覚におちいっていました。ボクの頭の中では原子や分子が動いて見えるんです。
 そこでボクは。子どもたちに向けて『もしも原子がみえたなら(国土社)』という絵本を書きました。ボクが〈原子や分子が見えるメガネがある〉ということを学んだのは小学5、6年生のころです。ですから、そのくらいの子どもが読んでくれたらいいと思って書きました。
 ボクが子どもの頃に読んだ本よりずっといい本です。なにしろ私が書いたんですから(笑)。それはなにも私が優れているんじゃなくて、人類全体が進歩したんですね。私が読んだ本が出たときにはまだ原子模型なんかの研究が進んでいませんでしたから、その後の研究成果を受け入れれば、もっといい本が書けるわけです。
 教科書に出てくる単元と重なるわけではありませんが、仮説実験授業のかなりの方が、その授業をやってくださっています。小学5、6年生で教えるだけじゃなくて3、4年生で教えたり、1、2年生で教える、幼稚園で教えるーーというふうになってきています。
 原子分子なんていうのは見えないんです。だから、やり方によっては押しつけです。だけど私たちは社会的に確かだということは受け入れる能力があるのです。
 子どもたちが「ウソだい」と思うことを無理に教えたら押しつけになります。しかし子どもたちが学びたいと思うことなら、逆に〈教えないぞ〉といういことが押しつけになります。それで私たちは小学校1、2年生でも原子分子を教えちゃうんです。

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自由研究は感動的 モンシロチョウは何を食べるの? モンシロチョウとキンレンカ(その2)

 小学校の頃「モンシロチョウはキャベツしか食べません。みんなはなんでも食べる子になりましょう」と教わって、それを信じていた私の話を書いてきました。そして〈モンシロチョウはキャベツの葉しか食べない〉というのは間違いで、アブラナ科の植物が大好きだということを知りました。今回はアブラナ科ではない植物〈キンレンカ〉です。キンレンカは〈ノウゼンハレン科〉の植物です。モンシロチョウの幼虫は〈キンレンカ〉の葉も食べるのでしょうか。

 これがキンレンカです。沖縄でもそうめずらしくなく、庭先や公園などでも見ることができます。 前回、その卵とアオムシを載せましたが、研究所のスタッフが「そういえば、研究所のベランダにもキンレンカがあります」と気づき、調べてくれました。研究所のベランダはそんなに広いわけではありませんが、沖縄の貴重やドングリ数種、ハワイのジンジャー、サボテン、クワズイモ、アロエ、発芽実験中のタネなどいろいろ置いてあるので、うっかりしていましたが、たしかに小さいのですけど一株のキンレンカがあります。

 確認してみると・・・

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 卵はありませんでしたが、アオムシがいました。
 サナギも見つかりました。

 

 〈灯台下暗し(離れたところはよく見えていても、自分の足元は暗くて気づかない)〉でした。

 サナギも明らかにモンシロチョウのサナギに見えます。

 そのままモンシロチョウになるか待つのもよいのですけど、そろそろ調べてはっきりさせておきましょう。

 インターネット上で多用されている辞典ウィキペディアの「モンシロチョウ」の項には

 幼虫の食草はキャベツ、アブラナ、ブロッコリーなどのアブラナ科植物なので、それらの農作物の栽培に伴って分布を広げてきた。 
       ウィキペディア「モンシロチョウ」から

とあります⇨こちら

 しかし、もっと広く調べてみると「キンレンカを食べるモンシロチョウの幼虫」の様子はいろいろ見つかります。その一つに「モンシロチョウの幼虫をナスタチュームから見つけた」という記事がありました。沖縄県浦添市の方たちが書いたものです。※ナスタチュームはキンレンカの別称です

 確かに、モンシロチョウはキンレンカに卵を産み、その葉を食べて成長します。研究所のキンレンカのサナギも、しばらくしたらモンシロチョウになるでしょう。

 ずいぶん以前、たのしい教育研究所のメンバーの一人、M先生がサークルで〈センダングサばかりしかみつからないところでモンシロチョウをたくさんみつけた〉という発表をしてくれたことがありました。モンシロチョウはセンダングサの蜜を吸っていたのです。センダングサでもモンシロチョウの卵がみつかるとおもろしいな、と思います。


「モンシロチョウの食べ物(食草)」について調べると、たのしい発見があなたを待っているかもしれません。こちらの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-いいねクリック=人気ブログ!-⬅︎ジャンプ後のページに表示された記事もクリック!