学力とは何か、学力が高まるとは何か。

時々、学力向上について尋ねられることがあります。
私たちの「学力」に対する考え方ははっきりしています。

「感動」が学ぶ対象への興味関心を呼び、知識・技能が高まる。
それがあって思考力・判断力・表現力を身につけていく。
それを「学力」と呼んでいます。

人間は目的意識的な生き物であって、コンピュータの様に指示命令型で暮らしていく生き物ではないのです。

たのしい教育研究所では、たとえば「ガリレオの落下実験」を例にして「予想がもつ決定的な重要性」を伝える授業をしたり、「将来の夢」をテーマにして「協力するたのしさ」を伝える授業をしたり、いろいろな活動をしています。

しかしそういう大きなものだけではなく、たとえばある試験問題を解く中で、感動的にわかる授業が成り立つこともあるのです。
そういうエピソードを一つ紹介させていただきます。

最近、ある先生と教員採用試験の数学の問題を解いていました。
こういう問題です。

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下の図で △ABCで∠Aの外角の二等分線と∠Cの外角の二等分線の交点をDとします。∠B=50° のとき、∠ADCは何度か?

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角度が1つしか分からないのに、どうやっと求めたらよいのか?
教員採用試験だと、飛ばしてしまうような問題の一つです。

幾つかの解き方のパターンがあるのですけど、
「さっぱりわからないなら勝手に数字を代入しちゃえ」というのが私の数学の解法の一つです。
こうです。

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このXとYに勝手に数字を入れちゃう。
例えば、X=60° とする。
するとY=70°です。※三角形の内角の和が180°だから

するとXの外角○1つは 60° です。 ※直線は180°だから

Yの外角✖︎ は110°➗2=55° です。

すると、角Dはどうか?
△ADCで考えてみます。
70°+60°+角D=180° という関係があるので、∠D=180°-60°-55°=65 °
答えは ∠D=65° となります。

めでたしめでたし。

では、Xを90°だと勝手に当てたらどうなるか?
やってみましょう。
△ABCをみると、90+50+Y=180 ですから Y=40°です。
Xの外角○は 45°です。 ○二つで90°だからです。 ※直線は180°だから
Xの外角✖︎は 70°です。 ✖︎二つで140°だからです。 ※直線はⅠ80°だから

すると、45°+70°+∠D=180° の関係があるので、
∠D=180-45-70= 65  つまり65°です。
ほらね。
勝手に当てはめても、答えは出るのです。

Xを10°だと考えても同じです。
興味のある人はやってみてください。

実は「勝手に当てはめる」といっていますけど、「恐るべし三角形の内角の和の法則」からは誰も逃れることができないからこその解法です。
図形の妙、素晴らしさなのです。

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さて、話を計算の前にもどします。
私のやり方で解いた若い先生が「え〜、本当にそうなってる!」と感動の声をあげたのです。
そして、その思いをわたしに直接伝えてくれました。

たとえば、その先生の様に数学の解き方に感動できたら、これは強い。
これを「学力」と呼びたい。

この一つの思い出があるだけで、この後、数学に痛めつけられても、ああいう解き方もあるのだ、ということがしっかりと心に刻み付けられているのです。

そして、何か問題が起きてからカウンセリング的な手法で、というのではなく、授業の中で、こういう感動を子ども達と一緒に体験することができたら、これは強いのです。

私たちの「たのしい教育研究所」は、〈おもしろおかしい教育〉ではなく、感動を伴った教育を目指しています。
何かを批判しているのではなく、確かなものを一歩ずつ広げていくのが「たのしい教育研究所」です。

たのしい絵画教室開校

キミコ方式のインストラクター小禄さんが研究所で「たのしい絵画教室」を開校しました。
今日はエノコログサを描いてたのしみました。
明後日日曜日は「絵の指導をたのしもう」という講座があります。
おかげさまで定員に達しましたが、どうしても、という方はあと一人くらいはなんとかなります。ご希望の方はどうぞ。
スクリーンショット 2015-01-16 11.45.12この絵、準備から一時間弱で生徒さんたちが描いたものです。
うまい人たちだから、というのではありません。
色づくりや描き方を教えてもらっているうちに、こういう作品ができてしまうのです。
スクリーンショット 2015-01-16 11.45.20 スクリーンショット 2015-01-16 11.45.29沖縄で、たのしい教育活動、たのしい教師育成、たのしいキャリア教育に全力投球のたのしい教育研究所です。

「たのしい教育」とは何か

rp_ffd588bdc702a97676d95e78089050d6-150x15011111111.png某月某日、沖縄県北部で教育関係の重要なポストにいる方をはじめとして、草の根で教育を応援したいと真剣に考え取り組んでいる方、学校の管理職の方など、まる一日、たくさんの人たちにお会いして、たのしい教育を巡ってお話をさせていただきました。
わたしの教師のスタートはこの地区です。
いつか恩返ししたいと思っている場所です。
そこでいろいろな方達に話をしたことの中心を書かせていただきます。

「知的好奇心」という言葉があります。
本来、人間は学ぶことが好きなのです。
未知なものを探りたいのです。
知らないことを知らないままにしておきたくないのです。
そして子ども達は、その知的好奇心に溢れるものたちです。
しかし「無味乾燥」に感じられるものに関しては、知的好奇心はわかないのです。

教師はすべからく、子どもたちの学ぶ笑顔を求めて、その道を選んだ人たちです。
いろいろ言われているけれど、これだけ優秀な集団で勤勉な集団はなかなかない。

その教師と、大きな知的好奇心を抱えた子どもたちとが合わさって、たのしい教育が実現できないわけがない。
必要なものはまず、「真似ができる魅力的な教材」と「教師の興味関心を高めること」だと思います。

幸い、たのしい教育研究所の取り組みは、確実な成果を上げてきました。
私たちは何かを批判するのではなく、それを可能にする具体的な方法を携えて「夢」とともに語りたい。
その中で、元気な笑顔がゆっくり広がっていくに違いない。
確かなことを元に、それを大切に育てていくのが私たちの研究所です。

『ひつじちゃんみんなにいいおかお』きむらゆういち作 (ポプラ社)/たのしい読み語り

ひつじちゃん
ひつじ年にちなんで今回は羊の出てくる
『ひつじちゃんみんなにいいおかお』きむらゆういち作 (ポプラ社)という絵本を紹介します。

ひつじちゃんは、いつも友だちの気持ちを優先して、
自分の本当の気持ちはがまんしてしまいます。

どんなしつもんにも、にこにここたえるし
トイレに行きたくなくても一緒に行ってあげるし
たのまれたことはことわりません
その他いろいろ・・・だから時々とてもつかれてしまいます。

ある日、音楽会がひらかれる事になり、ひつじちゃんは、
うしくんにも、いのししくんにも、ねこさんにも、他、
何人にも隣に座ろうとさそわれました。

そして、みんなに隣に座る約束をしてしまうんです。
大変な事になってしまいました。
さて、どうするんでしょう・・・

眠れないまま朝を迎えますがいいアイディアを思いつきました。
この事をきっかけに、ひつじちゃんはちょっとづつかわっていきます。

自分の気持ちをちゃんと言えるようになるって
たのしく生きるためには必要なことですね。

この絵本は「12支キッズのしかけえほん」シリーズのひつじちゃんの絵本ですが、
ねずみくんが出てく る「ねずみくん ぼくもできるよ!」もよかったです。
(  by  hina )

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