たのしい古典・古典に親しむとして少し書かせていただきます。たのしい教育研究所は何しろ「たのしい教育」に関する森羅万象を対象にしていますから、古典も十分にその範疇です。
研究所に熱心に通うA先生からこういう便りが届きました。
読解の苦手な私は、以前きゆな先生が「無人島に持って行く一冊なら高校の国語の教科書だ」といっていたのを思い出して、高校の国語の教科書を手に入れました。
とてもたのしく読んでいます。ゆっくりですけど、以前より苦手意識が薄らいできた感じがしています。さて、古典や漢文もこの調子で力を高めたいと思うのですけど、高校の古典や漢文を入手した方がよいですか?
残念ながら「古典漢文を高校教科書で、というアイディアはNo-Goodです」と答えました。古典・漢文は、その人の苦手度合いがかなり大きく影響するので、その方には、具体的に話を聞きながら、アドバイスしてあげることにしました。
ところで、かなり苦手な人から、ある程度親しんでいる人たちまで、おすすめの作品があります。本ではありません、DVD作品です。
映画(DVD)「ちはやふる(上の句・下の句/二本)」です。
以前、メールマガジンに詳しく綴りましたが、このサイトにも少し書かせていただきます。
パッケージを見ると、ちゃら系の作品に思えるかもしれません。
しかし騙されたと思ってレンタルすることをお勧めします。ちなみに私は20年以上前から「1日一本映画マラソン」をスタートさせ、教師を辞職して研究所を立ち上げてからは、さらにその数が増えています。もちろん20年以上まえから映画を観て来ていますから、軽く数えても1万本は下らない数の作品をじっくり観ています。さらりと観た数を入れると、その数はもっと多くなります。その中から「古典に親しむ」というフィルターにかけても、この「ちはやふる」を越す作品は見つかりません。
この作品には和歌(百人一首)がいくつも出て来ます。
その一つが今回のタイトルにある
「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢むとぞ思ふ」です。
はやき川の流れが岩に引き裂かれるように二つに別れてしまうけれど…
でもいつか再び出逢いましょう
そういう歌です。
その歌が肌感覚の様に感じられる経験がいくつか重なるうちに、きっと古典への苦手意識は薄れるはずです。
〈サ行変格活用〉とか〈係り結びの法則〉とかに惑わされて嫌いになるのではなく、心から湧き出でた思いを表現するには、この言葉しかない、そういう優れた作品たちが長い歴史の試練にも耐えて「古典」として残ったのです。私たちの感動にもきっと重なるものがたくさん見つかるはずなのです。