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子ども達に課題・問題を発見させるという試み

  面接スーパーバイズ(SV)での一コマです。

「わかる授業とはどういうことだと理解していますか?」
という質問にA先生は
「子ども達が課題を発見し、その解決に向かう活動の中で成立するのがわかる授業だと思います」
と答え、その後のスーパーバイズで
「それはかつて文科省が総力を上げた〈問題解決学習〉の取組の中で、うまく行かないという結果が出ている」という話をしました。

 いい問題を発見することは、とてもむずかしいことの一つです。

 たのしい教育の研究をすすめている私も「これはいい問題だ」と思える場面に出会えることは、そんなに多くありません。

 教師が仕組んで〈子ども自身がいい問題・課題を発見したつもりになってもらう〉ことは可能でしょう。しかしそれは「子どもが問題・課題を発見したこと」にはなりません。

 それを子ども達に求めるのは無理とはいいませんが、多大な時間といくつもの偶然、その他にも重要なファクターが重なる必要があるでしょう。

 子ども達が自ら考えて解決していくに足る問題を発見する、しかもそれが限られた時間と物理的環境の枠内で達成されるものにする仕組みはなかなか構造化できないでしょう。

 板倉聖宣はそうではなく「子ども達に〈目のつけどころ〉を教えることが大切だ」と語っています。

 私もそう思っています。

 A先生はシャープに考える力も感受性も高いので、きっと伝わったことでしょう。

 〈目のつけどころ〉なら、限られた授業の時間と物理的環境の枠内で達成することができます、それは「たのしい教育プラン」としてもまとまっていますし、モデルとする「仮説実験授業」は〈授業書〉としていくつも提唱しています。

 絵本「空気と水のじっけん」1984年国土社 のあとがきでこう語っています。

 お読みください。

板倉聖宣
 この本は、子どもたち自身が、自然のなかから、おもしろいことがらま見つけだせるように「自然をみるときの目のつけどころ」を教えることをねらっているのです。
 子どもたちにいくら「自然をよく観察してみなさい」とか「いろいろ工夫してみなさい」などといっても、子どもたちはなかなか自然の中かからおもしろいことを見つけだせるものではありません。

 おなじ自然をみるのでも、ある観点をきめて、系統的にみていってはじめて「それまで、まったく気がつかなかったようなおもしろいこと」が、いろいろと見つかるようになるのです。

 この本は、子どもたちが、自然についていろいろなナゾをもってしらべていく、いわば「探求の精神」を養うことをねらっているのです。

 

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