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ここまで。

板倉聖宣 仮説実験授業研究会代表の「正義と民主主義の問題としてのいじめ」で読解特訓

 私が教師になった頃、板倉聖宣(仮説実験授業研究会代表・日本科学史学会会長)の「正義と民主主義の問題としてのいじめ」という話を読み衝撃を受けました。雑誌「たのしい授業」の1985年3月号に掲載されています。

 さて、研究所には「国語の読解の力を高めたい」という方達がやってきます。読解力を高めるには、感動を伴った上質な文章を読むことが不可欠です。そこでさっそく、その方達向けの読解プリントとして、板倉聖宣のその文章を準備しました。教員採用試験の特訓でも利用しています。
 これです。

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 少し書き抜いてみましょう。

正義と民主主義の問題としてのイジメ
たのしい授業公開編集会議にて
                 板倉聖宣1985年1月26日

イジメというのは昔からあったわけです。
 近年は新聞とかテレビなんかでも社会的な大問題として取り上げられますが、はたしてそれが「雑誌 たのしい授業」でもとりあげるほどの問題であるのかというと、じつは「イジメの根本をはっきりさせないままに、あるいはまるで見当違いな診断をもとに現象だけが大問題扱いされること」が大問題なのです。そういう意味では明らかに「雑誌 たのしい授業」でとりあげてもいい問題だと思います。

 正義のあるところにイジメあり
 イジメる側には必ず何らかの正義感-〈汚い奴をきれいにしてやろう〉とか〈勉強できない奴を向上させてやろう〉とかいうことがあってシゴくと思うんです。それは多かれ少なかれ「自分自身はかつてそのようにシゴかれて向上した」という経験があるからでしょう。たいていの人は「あの時はつらかったけど、あのおかげで現在の自分がある」と思い当たる。だから「たとえ本人がいやがっても、どうしても教えてやらなきゃならないことがある」ということを否定できる人は少ないんです。イジメが発生する根底には、そういうことがあると思います。
 生まれてから一度も叱られたことがない人がいたとしたら、そういう人の対応はちょっと普通と違ったものになるかもしれませんけどね。

 教育というのはたえずシゴキになる危険性があるわけです。

 文章はプリントにして4ページ続きますが

 最近の子ども達がおかしくなったのではない。いじめというものは昔からあった。 《いじめを許さない》という対策は「いかにいじめのサインを早急にキャッチするか」という議論になるが、もっと根本的なことがある。
 教育というのは〈鍛える・高める〉という名の下に、たえず「いじめ」に陥る可能性が潜んでいるのだ。だから
教師の授業そのものが、いじめに陥っていないかを考え、子ども達が喜んで学ぶ、たのしくい授業に転換していくことが、いじめの根本的な解決に結びつくのである。

 というその内容について、迫力をもって伝えてくれています。

 たのしい教育研究所は、その思想・発想を確かな基としています。

 鍛えるとか高めるという様なものとは別な〈異常ないじめ〉というものもあるでしょう。しかし確かに、教育という名のものに、正当に横たわっている「いじめ」があります。「できない奴は運動場10周」という様なものだけでなく、精神的な苦痛を与えることがたくさんあるのです。

 一人一人が自らの知的好奇心を元に学び、家族の人たちに「そろそろ寝たら」と言われるくらい熱心に学習・研究する子ども達・大人達をどんどん増やしていく活動が「たのしい教育研究所」の本領です。

  今回、読解特訓のプリントとして取り上げたのですけど、読んだ先生達にも強く影響を与えた様です。30年前のものとはいえ、まだまだ伝えていかなくてはいけないのだと思っています。そうやっていつか、「学校には〈鍛える・高める〉と称した〈いじめ〉が横たわっていた時代があったんだ」という様に「過去形」として語られる時代をつくらなくてはいけないと思っています。

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板倉聖宣「独自性を出さずに全面的に学ぶことの重要さ」 たのしい教育メールマガジン第226号から

 毎週金曜日はたのしい教育メールマガジンの発行日です。今回は板倉聖宣が2005年に語った「独自性を出さずに全面的に学ぶことの重要さ」について語った内容を第3章でお届けしました。その板倉聖宣の発想法に関する高い評価がさっそく届いています。日本に原子論を唱えた人物がいたのかいなかったのか、という謎解きも含めて、私自身にとっても、とても興味深い内容でした。
 これが最新号の表紙の部分です。

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第2章は先週から引き続き、名作「ちはやふる」の下の句を紹介しました。たのしい古典入門としても、いろいろな方達にすすめています。わたしはすでに4回観ています。上の句・下の句セットで4回ですから、かなりの時間魅入っていることになりますね。

第3章がタイトルにもなっている板倉聖宣(仮説実験授業研究会代表/日本科学史学会会長)の「たのしい授業の発想・思想・哲学」です。

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 江戸時代の科学について語った部分ですから、それを頭に置いて読んでみてください。

 板倉聖宣
 科学史の重要なことは「がんばれば科学が生まれる」という考えを、「そうではない」と否定した上で「自分たちの民族もいろいろ努力した。しかし儚い努力だった」と認めることなんです。

 そういう努力の中で大切なことは「外国から科学を輸入することが大事だ」ということを発見することです。それが決定的です。
 それはつまり、自分の創意工夫を捨てるということです。創意工夫を主張する人はほとんどダメになっちゃう。

 ぼくが注目してる人に佐藤信淵(1767か1769-1850)という人がいます。彼はオランダ語はあんまり読めないんだけど、オランダ語が読める人と親しくして、いろんなことを勉強する。それで少し勉強すると、自分で考え始めるんです。立派でしょ。立派だけどそれがいけないんです(笑)。本当に外国の方が優れていると思ったら、外国の方を全面的に学ぶ、これが一番大事なんです。
「向こうの方が優れているかも知れないけど、オレにはおれの考えがある」というのは民族主義的な偏向なんです。だから「オレはオランダ語を勉強しよう」と決意することが、あの時代では一番まっとうな生き方であって、民族主義を捨てることが重要だったんです。

 そうしないとどうなるかというと、宇田川榕菴(1798-1846)などが「植物の〈花〉は植物の生殖器官である」と書いてある本を見て、佐藤信淵は「それは考えすぎだよ。植物は動けないじゃないか。動物は動ける。だから、生殖器官があって当然だ。だけど、植物は動けないんだから性欲を果たせない。だから植物には性欲はない。植物に生殖器官があるというのは考えすぎというものだ。うんと基本的にそう考えれば、それは自明ではないか」
と、そういうふうに独創的に考えちゃう。

 しかし明治維新の過程で欧米の方が優れていることに気づいて「欧米の方が優れている。よし、全面的に模倣しよう」ということになったのです。そして模倣して、模倣しきれなくなったときに初めてそこで独創が必要になるわけです。創造の意地があって、創造が生まれるんじゃないんです。

つづく

 この文章を読んだ東京の読者の方から
「自分は板倉聖宣の話を直接たくさん聞かせてもらったが、その頃の板倉聖宣の勢いはすごいものがあった」
ということを具体例をあげて書いてくれていました。

 その頃、沖縄に何度も来ていただいています。

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たのしい理科「レンズの魅力」の授業の様子/虫めがねはとっても楽しい

 たのしい教育研究所の画像データを整理していると2年前の夏の授業の様子が目にとまりました。地域の子ども会(子供会)に呼ばれて授業してきた時の一コマです。とても盛り上がりました。予想外に3歳くらいの子どもたちも参加していたのですけど、その子どもたちもとても満足してくれていました。

 学校では虫眼鏡(虫めがね)を教材として利用します。しかし危険なこともあるからでしょうか、授業の時に子どもたちに尋ねると、文字の拡大くらいで終わることもあるようです。もったいないことです。

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%e3%83%ac%e3%83%b3%e3%82%ba%e3%81%ae%e9%ad%85%e5%8a%9b 子ども会での授業は小学生対象のワーク中心の授業でしたが、以前、親子一緒の授業で、レンズの実験のあと、こういう画像を見てもらったことがあります。

 いろんな処から「おー」という声が上がりました。
 何をしているシーンだと思いますか?

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 「とても大きなレンズ」だと思うかもしれませんが、1mのレンズというのはそんなに大きくないので、その光でダイヤモンドが燃えることに私は驚いてしまいます。
 英語のサイトですが、興味のある方はこちらをクリックしてください。
http://www.robinsonlibrary.com/science/chemistry/biography/lavoisier.htm

  レンズ一つが科学のいろいろな魅力に広がっていきます。そういう感動を伝える授業が「たのしい教育研究所」の活動です。

 笑顔と元気と賢さを求める子ども・大人・先生たちのたのしい必読サイト
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新教材 シャトル・キャッチ(シャトルキャッチ)/研究開発も楽しくてやめられない!

「シャトルキャッチ/シャトル・キャッチ」というたのしい教材が出来上がりました。先週の宇宙の学校で取り上げた一つの教材について研究所のメンバーでさらに改良を重ねた結果です。くるくるとゆっくり回転しながら落ちて来ます。

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 くるくると回りながら落ちてくるおもちゃはいくつかありますが、素材や形、彩りなどのデザインを工夫して、さらにそれをゲーム・競技にしたところがたのしい教育研究所のオリジナルです。

 たのしい教育を学びに相談に来た先生とマクドナルドでカウンセリングしていましたが、出来上がったばかりの〈くるくるキャッチ〉を見せたところ「さっそくやってみます」と笑顔で答えてくれました。
 ちなみに、その時のマクドナルドは高校生がいっぱいでしたが、周りにいた高校生たちも不思議そうに注目してくれていました。小学生だったら「ボクもやりたい」という顔を素直に見せたことでしょう。

 来月の秋の講座でお分けできる様に準備を進めています。

 たのしい教育研究所が開発する教材は、興味がある人なら誰でも同じ様なものを作ることができて、その素材が身近なところで手に入って、しかも自分でいろいろな工夫・自由研究ができるものたちです。今回の開発にもいろいろな素材を候補にあげて、デザイン、オモリなどいくつかの実験を経て、おすすめできるものとなりました。
 教材の開発も、たのしい教育研究所の得意とするところです。
 ご期待ください。

いつも元気なたのしい教育研究所
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