ヒゲ根とは =秋の講座で もやし を描いた方からの質問に答えて=たくさんの人たちが間違っていること=

 最近のモヤシはつるりとした根っこです。たとえばこれがスーパーなどで普通に目にするモヤシです。

%e3%82%82%e3%82%84%e3%81%97%e3%81%ae%e3%81%b2%e3%81%91%e3%82%990 以前のモヤシ(今でも八百屋さんにいくと手にはいります)、太めの根っこのそばに細い根がたくさんありました。
 秋の講座の〈たのしく絵を描こう〉のコーナーで、講師のA先生が朝早く八百屋さんで細い根がたくさんついたモヤシを手にいれて絵の指導をしてくれました。すでにこの公式サイトでも紹介しましたが、みんなたのしく描いて、どれが本物のモヤシなのかわからないという様な作品にあふれていました。

%e3%82%82%e3%82%84%e3%81%97%e3%81%ae%e7%b5%b5 絵のコーナーが終わって休憩に入ると、受講者の方が「喜友名先生、質問があるんですけど」と、こう問いかけてきました。

「前から疑問だったのですけど、もやしの〈ヒゲ根〉っていうのは、根っこの部分全体ですか、それともまっすぐな根っこのそばに小さく出ている細い根のことですか?」

 上の絵・写真をみてください。うねってはいても茎から一本のヒモの様にのびていく、いわゆる根ね部分と、その根のそばにさらにヒゲの様に出ている細い根がありますね。「ヒゲ根」というのは、どれなのか?
 というわけです。

 みなさんはどう思いますか?

ヒゲ根というのは
ア.土に埋まっているはずの部分全体をいう
 (茎から下にのびていく部分全体)
イ.太い根のそばに出ている細い根の部分
ウ.その他
 どうしてそれを選びましたか?

⬇︎

予想してからね

⬇︎

予想してからね

⬇︎

 その方も「えっ?」と言っていましたが、実はアでもイでもないのです。
 モヤシにはヒゲ根はありません

 しかし、その方だけが勘違いしているわけではありません。
たとえばインターネット上で「もやし ヒゲ根」と検索すると8万件以上の記事がヒットします。わたしが今しがた検索した時のヒット数です。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-11-27-19-28-19 記事の中にはたとえば有名なクックパッドの記事に、「もやしのひげ根って価値あるの?」といういう言葉がみつかります。

%e3%82%82%e3%82%84%e3%81%97%e3%81%ae%e3%83%92%e3%82%b1%e3%82%99%e6%a0%b9-%e3%82%af%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%8f%e3%82%9a%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%99%e3%81%8b%e3%82%89

  他のサイトにも「ヒゲ根と栄養と美味しさ」について書いています。

%e3%81%9f%e3%81%ae%e3%81%97%e3%81%84%e7%a7%91%e5%ad%a6 これらの多くが、モヤシにひげ根があるという前提で、つまり〈間違った使い方〉をしていることになると思います。ちなみに同じ様に「もやしにヒゲ根は無い」という言葉で検索しても、そう書かれている様なサイトに行き着くことはできませんでした。意外ですが、もしかしたら、この記事が初めて書いていることなのかもしれません。

 科学的な言葉は定義がしっかりしています。
 たくさんの人たちが間違って利用しているのだから、それはそれでよい、というわけにはいきません。第一、高校入試や教員採用試験などでもよく出題される「植物の分類」に関する重要な内容の一つですから、「もやしのヒゲ根は?」という問いかけそのものが間違っていることを掴んでおく必要があります。興味ある方は続けて読んでください。

 整理してみます。

  植物は大きく分けると「単子葉植物」と「双子葉植物」に分かれます。
  葉っぱが「単体(一枚)」の植物、葉っぱが「双つ(二枚)」の植物という意味で、成長した植物ではなく、タネから発芽した時の形状で分類しています。

 これが葉っぱが単体(一枚)の単子葉植物です。イネやとうもろこしなど、たくさんの植物があります。庭や運動場の草抜きなどする時の植物は、単子葉植物が多いと思います。

%e5%8d%98%e5%ad%90%e8%91%89%e6%a4%8d%e7%89%a9

 これは葉っぱが双つ(2枚)の双子葉植物です。授業などで「植物を育てましょう」という場合、こういう芽を目にした方もいると思います。アサガオ、アブラナ、ホウセンカ、マメ類などいろいろあります。もやしはマメ類の若い時に収穫したものです。%e5%8f%8c%e5%ad%90%e8%91%89%e6%a4%8d%e7%89%a9 植物の研究をしていく中で、実は表面で見えている葉の形だけではなく、この2種類の植物には他にもいろいろな違いがあることがわかってきました。その一つが根っこの違いです。

 単子葉植物の根っこと双子葉植物の根っこはこうなっています。

 単子葉植物の根です。地面に細い根をどんどん広げていくので、草抜きなどをするときかなり力が入りますね。

%e3%81%b2%e3%81%91%e3%82%99%e6%a0%b9 双子葉植物の根はこうです。まっすぐの「主根」と、その主根から細い「側根」が生えています。単子葉植物よりは楽に抜くことができます。

%e4%b8%bb%e6%a0%b9%e3%83%bb%e5%81%b4%e6%a0%b92
 写真より絵のほうがシンプルでわかりよいこともありますから、絵でみてみましょう。コトバンクにこういう画像があります。

 %e6%a0%b9%e3%81%a8%e3%81%af「ヒゲ根」というのは単子葉植物の根のことをいう言葉です。マメ類であるモヤシの根は〈ヒゲ根〉の形状ではありません。
 モヤシの根は〈主根・側根〉からできています。

 「主根・側根」という言葉は日常生活ではあまりつかいませんが、あえてもやしの根について細かく語るとするなら「最近のモヤシは側根がなくなって、主根だけになってきたよね」という様な使い方になります。

 「最近のもやしのひげ根は減ってきたね」という様な使い方はできませんから、もし、そういう場合には「あのね、ひげ根っていうのは、草とか抜いた時に根っこが茎から根が枝分かれしていっぱい何百本も出ていたりするでしょ。ああいう根をいうみたいですよ」という様に、優しく教えてあげるといいと思います。

たのしい絵画の授業が植物の分類の話になりました。
お役に立てたら幸いです。

あなたの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉が広まります-人気ブログ!-

関連記事はこちら

良く読まれている記事