沖縄の植物についてもっと詳しく知りたくなると必ず手に取る本があります。「伊波善勇著〈石川市の植物〉石川市教育委員会発行(H17)」です。石川市はすでにありませんから、この本を手にする事はもう難しいでしょう。私は伊波善勇先生から頂いた一冊と、以前勤めていた学校の同僚からもらった一冊とがあります。貴重な資料です。
石川市の植物とありますが、私がひもとくと、大抵の植物はこの図鑑にのっています。
調べた植物は、以前の記事に書いた〈サキシマスオウ〉です。
板根でないサキシマスオウが研究所の近くで見つかったので、まずそれが本当にサキシマスオウなのか伊波先生の本で調べてみることにしました。
説明の部分はこの後に書き出してみます。
サキシマスオウノキ(アオギリ科)
Heritiera littoralis Dryand. ex W.Ait
マングロープ林の背後の湿地帯に生育する常緑高木。アフリカ東岸地方から東南ジア・ポリネシアの広範囲に分布し、国頭村安和が北限となり天然記念物として県の指定を受けている。樹高20-25m・径60-80cm。
樹皮は灰色~褐色でうすくはがれる。
葉は単葉で互生し葉柄は長さ1- 3cm。葉身は15-20cm ・幅6 -8cm、楕円形~長卵形、先端は鈍形・基部は円形・全縁。
裏面は銀白色で褐色のりん片がある。
左右はわずかに非対称となる。
花は単性、淡黄緑色の小花で服生、円錐花序に多数つく。
果実は果皮が木質化し、扇平な袋状で裂開せず海流によって散布される。
西表仲間川上流の成木は巨大な板根が奇観を呈し、マングローブ林やウブンドルのヤエヤマヤシ群などの天然保護区域は景観地となっている。
また隣接する古見のサキシマスオウノキ群落は国指定天然記念物となっている。
伊波先生の解説にある〈葉の形〉も裏側が〈銀白色〉ということも一致しています。
いろいろ調べてみると、サキシマスオウは必ず板根を発達させるというわけではなく、周りの環境によって根を板根にしてバランスを取り、地盤が安定している場合は、普通の樹木の根の状態で育っていく様です。このあたりはまだ調べてみる必要がありますが、同じサキシマスオウでも、とても発達した板根からあまり目立たない板根までいろいろありますから、その育つ環境に合わせて育っていくことは間違いないでしょう。
しかも研究所近くのサキシマスオウは周りがアスファルトで固められていますから、ただでさえ頑丈な地盤である上に、板根を張り巡らせようとしてもそれを地表に出すことができないのでしょう。
さて、サキシマスオウについて手に取った本〈石川市の植物〉の著者 伊波善勇先生について紹介させて頂きます。
たのしい教育研究所の植物の師であり、明るくたのしい人物であり、応援団でもあります。
これは伊波先生がフクギについて話をしてくださっているところです。
足腰も達者で、どんぐりを探しにいく時も〈向こう側にアマミアラカシがあるぞ〉とどんどん木々の間を駆け抜けていきました。
たのしい教育研究所のメンバーは、一緒に笑い、「掘り方が浅い」と指導され、たくさんのことを学ばせて頂いています。
メンバーそれぞれいろいろなことを語りかけてもらいましたが、私は生涯忘れることができない言葉をもらいました。
名護の桜とヘゴを見に行った時のこと、山で一緒にお茶を飲んでいた時に伊波先生が突然「きゆな君、キミは本当にいい人だなぁ」と語ったのです。
わたしの何を見てくれたのか分かりませんでしたが宝物となりました。直球でそういうことを言われたのは伊波先生以外いません。
現在は体調を崩し療養中ですが、巨人 伊波善勇 先生とまた一緒に植物を見ながら歩きたいと切望しています。みなさんも〈たのしい教育〉を一緒に広げましょう➡︎ ここをクリックすることで少しずつ広がります