学び方コースで子ども達を指導している時のこと、理科の「食物連鎖」の問題で、「弱肉強食だから、強いものが生き残るの」と説明した子どもがいました。理科の先生がいっていたそうです。
それは違っているので、少し時間をとって「進化論」の話をすることにしました。
チャルズ・ダーウィンが進化論をまとめるにあたって大切にした考えは
「弱肉強食」ではありません、〈自然選択〉〈適者生存〉です。
この世界は強いものが生き残っているわけではありません、どれだけ戦闘能力が高くても絶滅した生き物はたくさんいます。
現在でも、戦闘能力は高いけれど絶滅危惧種はたくさんいます。
史上最強の生物だと言われていた肉食恐竜でさえ滅びました、しかし人間の赤ん坊の手でさえ命を奪われるほどのチョウ達は今も元気に菜の花畑を飛び回っています。もしも世界が「弱肉強食」なら逆ではないでしょうか。
シロクマは地上最強の生き物だと言われることがありますが、絶滅が危ぶまれています、こういった例はたくさんあります。百獣の王と並んで称される「トラ」にも絶滅が危惧されている種類がいます。
この世界は、強いものの住処ではないのです。
そこに適したもの達が生活の場を広げていくのです。
わたしたち人間は、弱いものを助け、周りの仲間たちと協力している生き物です。その「協力」は「適者生存」の流れに重なったものである、とも言えるのです。
子ども達が何気なく発した言葉に、哲学・思想・科学などとても深いものが横たわっていることが多々有ります。
理科で取り上げる食物連鎖が、子ども達に「この世界は弱肉強食だ」という思想を植え付けているとしたら怖いことです。
食物連鎖は単に捕食の流れを説明しただけで、どういう動物が強く生き残っていくという話をしているのではありません。
それを押し付けでなく感動をもって伝えられたら幸せなことです。それが「たのしい教育」でもあるのです。
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