特殊詐欺もろもろ、〈騙されない人を育てる〉ということなら、まず私たちの周りにたくさんある「占い」に騙されない人を育てることも重要だということで前回の記事を書きましたが、それは「エイプリルフールの効用」という記事とも重なります。
今回は〈騙す・騙されない〉とはいえないものの、自分の権威づけをしたくて、つまり自分はいろいろ知っているんだぞという様な立場を相手に伝えるために、周りの人たちと異なる言葉・単語を使いたがる現象について書きたいと思います。
最近またアクセス数も伸びてきています、こういう発想法を綴っているからかもしれません。このサイトは、読者のみなさんからのお便りをもとに構成することも多いので、遠慮なくご意見をお寄せください。
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YouTubeをBGMに仕事をしていたら、登場した男性が「エビデンス」という言葉を乱発していました。ここ10年くらいで目立ってきた言葉の一つだと思います。他にも〈アジェンダ〉〈コモデティ〉など日本ではあまり耳にしなかった言葉が増えてきています、前者は〈議題〉、後者は〈商品〉という意味です。
YouTubeの番組では机でマイクを握っている男性が会場にいる人たちからの質問に答えているシーンを流しています、その内容は今回のテーマではありません。
マイクを握った人物の口から
「ちゃんとエビデンスを示してください」
「エビデンスがないのに、そういう話をされても困ります」
「こちらはすでにエビデンスを示しているでしょう」etc.
という様に乱発される〈エビデンス〉という言葉についてです。
私がエビデンスという言葉を目にした最初は学生時代に海外の教育心理学系の論文を読んだ時だったと思います。そういう場合には〈物理的な証拠や科学的なデータ、過去の研究結果などをもとにして〉というニュアンスで利用されることが多かったのですけど、今は日本で使われているエビデンスという言葉は、単に〈根拠〉とか〈証拠〉という意味で使われていることが多いでしょう。
画面で反論している人物の言葉もそうでした。
「ちゃんと〈根拠〉を示して説明してください」とか「ちゃんと〈証拠〉を示して説明してください」でいいのに、あえて「エビデンス」と表現して相手の上を取りに出ている様に見えます。
〈オゾン〉とか〈インフレ〉〈アルバイト〉〈インフルエンザ〉という言葉の様に日本語に置き換えるより、そのまま外来語のまま覚えてもらった方がよいものもたくさんあります。
けれど〈エビデンス〉はそうでもないでしょう。
長い言葉を短くしているわけでもない、証拠や根拠は四音、エビデンスより短い音ですみますし、証拠や根拠という言葉の方が相手にうまく伝わります。
なのにどうしてそういう言葉を使うのでしょう?
エビデンスでなければ表現できないものならわかるのですけど、「海外では普通に使われているから」という理由なら、エビデンス意外にもアメリカで買わされる単語がどんどん使われていくことになるでしょう。しかもその理屈でいくと〈アルバイト〉はドイツ語から来ていますから、ドイツで使われている言葉もどんどん登場させていくことになります。
そうでしょうか。
「難しい言葉を使うことで相手より上の位置に立つ」という意識はないでしょうか。
母語ではうまく表現できないとか、長すぎて外国の言葉の方が明らかによいということで使うことを否定するわけではありません。
理科で普通に使っている「フラスコ」という言葉があります、元々はポルトガル語です、これを毎回日本語で表現するとなったら大変です。
私たちの母語、日本語は読みだけでなく書く場合でも、外国の言葉を柔軟に導入できる構造を持っています、たとえば中国語などでは簡単にはいきません。
そういう中でも、母語のイメージや美しさ、機能的なところ、上質な文学作品やエッセイetc.などを大切に味わってほしい。
その上で、外国の人たちが生んだ言葉のイメージや機能面、文学作品などに触れて、広く世界の優れたものに感動していくということが大切ではないか?
みなさんはどう思うでしょう。
と書いておきながら、次は逆の話になりますよ´ー`)
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