ヘルモントさんの実験−自由研究〈植物のからだ〉-自分でも考えてみよう②

 仮説実験授業の授業書「空気の重さ」にわたしの大好きな読み物が入っています。今回は少しだけその内容に触れながら書いてみましょう。

 一つ前に〈ほんの小さなタネから何百倍、何千倍、何十万倍もの大きさに育っていく植物たち。その植物のからだはいったい何からできているのか?〉という内容を書いたところ「とてもおもしろいです」という反響がいくつも届きました。みなさんの〈興味関心〉をたばねて一緒に考える自由研究のテーマとしてつづらせていただきます。

 〈植物の体はいったい何からできているのか?〉
 その解明にはオランダの科学者〈ファン・ヘルモント−1577~1644年〉さんの研究が重要なカギを握りました。仮説実験授業の授業書「空気の重さ」(仮説社)の最後の部分に研究問題(自分で調べる問題)として出てきますから、近くに〈たのしい教育〉の好きそうな先生がいたらぜひ「先生、仮説実験授業の〈空気の重さ〉っていう授業やろうよ!」と話してみるとよいですよ。

 オランダにファン・へルモント(1577- 1644 年)という学者がすんでいました。
 ヘルモントさんは、いろいろな研究をした人物ですが、その1つが「〈植物のからだ〉が何によってできているのか」という研究でした。

 ヘルモントさんは、植木ばちに小さなやなぎの木をうえて,雨水だけをやって育てると,重さがどうかわるかをしらべたのです。

 まずはじめにやなぎの苗木の重さをはかっておきました。
 〈2.3㎏〉でした。

 今度は〈植木ばち〉にいれる〈土〉を火でしっかりとかわかしてから,重さをはかっておきました。

 その後5年のあいだ,〈雨水だけ〉をやって育てたのです。

 5年後、育ったやなぎの木をきって重さをはかることにしました。だって、そのまま計る様なはかりが無かったからです。

 はかってみると〈76.7㎏〉になっていることがわかりました。

 はじめ〈23㎏〉しかなかったやなぎの木が,5年間で〈76.7㎏〉。
 〈74.4㎏〉増えたのです。

 重さがふえたからには、外からものがはいったにちがいありません。

 土がやなぎにばけたのでしょうか?

 ここまで読んで、少し立ち止まって考えてみてください。

 土がやなぎの木のからだに変わったのでしょうか、どう思いますか?

 

考え中

考え中

考え中

 ヘルモント先生は、ていねいに土を取り出して、また〈火〉でかわかし、重さをはかりました。

 すると〈土〉の重さは5年前から〈60g〉減っているだけでした。
 ヘルモントさんは土が飛んでいったり、外からホコリが入ったりしないように、植木ばちにカバーをかけてありましたから、この60gが養分としてやなぎの木に入っていったのだと考えられます。

 しかし60gの土が74400gのやなぎの木になるはずはありません。

 ヘルモントさんはこう予想しました。

そうだ、やなぎの木は

〈水〉からできているのだ!

 

 みなさんは、そのヘルモントさんの予想について、どう思いますか。
 あなたも同じ考えでしょうか、それとも違う考えでしょうか?

考え中

考え中

考え中

 実は、このヘルモントさんの予想は、ある部分では正しいことを言っているのですけど、全体としては正しいとはいえませんでした。しかし、その外れた予想が〈植物の成長の研究〉を大きくすすめることとなったのです。
 〈予想は当たっていても間違っていても賢さにつながる〉という例の1つです。

 さてみなさんも、このヘルモントさんの研究について、自分でもいろいろ考えて(予想をたてて)みませんか。1日一回の「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-〈人気ブログ〉いいねクリック⬅︎ジャンプ先のページでもワンクリックお願いします

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自由研究こそ本物の研究〈植物のからだ〉ヘルモントさんの研究-自分で考えてみよう(1)

〈自由研究こそ本物の研究〉というフレーズは賢くなるためにも人生をたのしむためにも大切なフレーズです。たのしい教育研究所に足を運ぶメンバーはそれぞれがいろいろなテーマで自由研究しています。

 ある日の自由研究の様子の一コマです。

 ある植物のタネです。サヤを割った状態です。テーブルからはみ出るくらいのサヤの中にタネが入っています。

 何の植物のタネか?

 これです。ホウオウボクといいます。

  すくすく成長すると高さは2階建ての建物くらい、枝の広がりで普通の教室ほどもあります。大きく枝を伸ばして、広い木陰を作ってくれます。

 ところでみなさん、あの小さな一粒のたねが、こんなに大きく育ってしまうことに驚きませんか?

 スイカのタネよりふた回りくらい大きい感じで、長さは2cmたらずです。

 重さはどれくらいでしょう? 測ってみると1gもありません。 何個かのせてみると、5個で2gを示しました。 一個あたりの重さを計算すると 2g÷5=0.4g です。 ホウオウボクの重さはいくらあるか予測するしかありませんが、大人一人70kgくらいだとして、少なめにみても、その5人分はありそうです。何しろ木の幹は重いのです。
 そうそうホウオウボクも当然根っこが拡がっていますから、これも少なめにみて大人1人分で計算すると
・・・
大人6人分、70kg×6=420kg
と概算しておきましょう。
 この様に強引に〈概算する〉ということはとても大切な力です。
 外れていてもよいのです。
 「とりあえずこの計算でいくと、こういうことが言えそうだ」
という様に予測することができるわけですから、いろいろな研究の大事なスタートになるわけです。
 この小さなタネ、0.4gのタネが400kgくらいに成長するということは、10万倍に成長してしまうということになります。 重さでいうと 420kg−0.4g = 420000-0.4 = 419999.6g がタネ以外の物質だということです。

では、この419999.6gの重さはいったいどこから来たのでしょう?

みなさんはどう思いますか?

 今から400年ほど前にフォン・ヘルモントさんという科学者がいました。

 ヘルモントさんも、植物のからだは一体何からできているのか、にとても興味を持ちました。
 そして、ヤナギの木を使って研究(つまり自由研究)をはじめたのです。

つづく
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シロツメクサ(クローバー)の魅力② 小さくても美しい花

 前回〈合弁花・離弁花とは何か〉という話しをしました。今回は、シロツメクサは合弁花なのか離弁花なのか、です。

 たのしい教育研究所の第一研究所の近くの公園は、シロツメクサが一面に広がって、このまま地球の地表を覆い尽くすのではないかと思うほど咲き乱れています。

 ミツバチたちも、シロツメクサの蜜を求めてたくさん飛んでいます。近くで写真を撮っていると「じゃまだからどいてちょうだい」というかの様に耳元でブンブン音を立てています。

 さて、みなさんは、このシロツメクサは合弁花だと思いますか、離弁花だと思いますか?


 花びらが離れ離れだから〈離弁花〉でしょう、と思うかもしれませんが、〈その①〉のメールの方は、教員試験の中に出てきた「キク科の植物は合弁花に分類されている」ということを学んでいたので悩んだのです。

 キク科の植物は、花びらが一枚ずつ分かれている様にしか見えませんが、実はその花びら〈一枚ずつ〉が〈一つの花〉になっています。

 このキクの黄色い花びらを一枚とると、下の様に、花を構成する〈子房・雄しべ・雌しべ・花びら(花弁)〉といった、花のワンセットがしっかりそろっているのです。自分の目でも、一度確かめてみるとよいですよ。ですから、一枚の花びらの様にしか見えなくても、植物学的には〈一つの花〉だという様にみているのです。

 このことは、高校入試や公務員試験や教員採用試験の中でもよく出題されていて、間違う人たちも一定数いるので、要チェックの分類問題の一つです。

 メールを送ってくれた方は、このことを知っていたので

シロツメクサもキク科の花の様に一枚が一つの花になっているのではないか〉
⬇︎
〈合弁花の可能性がある〉という様に考えを進めたのでしょう。

 

 ということで、もう一度シロツメクサをよく見てみましょう。

 実はシロツメクサは、花びらにみえている一枚が〈花〉の構造を持っています。以前、資料としてノートに張っておいた写真があります。ちょど良いアングルで、シロツメクサの雄しべ(左からの矢印)と雌しべ(上からの矢印)を撮った写真です。

 シロツメクサはキク科の植物の様に、、花を構成する〈子房・雄しべ・雌しべ・花びら(花弁)〉といった、花のワンセットがしっかりそろっているのです。ですから、一つの花は花束の様なものです。

 するとシロツメクサもキク科の様な〈合弁花〉なのでしょうか。それとも花びらは一枚ずつ別れているのでしょう。

 この写真をごらんください。わたしが撮った写真を拡大したものです。
 シロツメクサの花びらの中にも花びらが見えています。わたしの目には、大きな葉を身体と見ると、その内側で拍手している様な愛らしい様な花に見えてしまいます。そしてその一枚一枚はそれぞれ離れ離れになる花びらです。

 数えてみましょう。矢印と花びらの数が一致します。

 シロツメクサの花びらは5枚の離弁花です。

 今度はチャンスをみて、たのしい教育Cafeで先生たちが歓喜の声をあげた、シロツメクサのタネのお話をさせていただきます。ご期待ください!
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たのしい教育研究所〈おすすめ植物本〉「おきなわ野山の花さんぽ」ボーダーインク

 たのしい教育研究所でも植物の魅力を伝える教材をいろいろそろえています。〈オキナワ ウラジロガシ〉〈マメ科の大きな実 モダマ〉〈モンシロチョウの食草〉<キッチンのたね>などなど、おそらくこのサイトでもいくつ紹介してきたと思います。

 そういう中で現在進行形で教材作りがすすんでいるのが〈おきなわ花カレンダー〉です。うれしいことに完成前から、いろいろな先生たちが心待ちにしてくれています。その作成で研究所にはたくさんの植物本が並んでいて、一ヶ所に集めると厚さは1m50cmくらい、小学生の身長ほどになります。

 それらの中から〈もっともたくさん開いた本〉が「おきなわ野山の花さんぽ(ボーダーインク1700円+Tax)」です。

 収録された植物の数でいえば他に優れたものが数々ありますし、詳しい解説などが加えられた図鑑、個性的な配列を工夫した植物本などは数々あります。
 しかし〈沖縄で身近にみることができる植物〉をそろえた、という視点で選べば今のところ、この本が一押しです。

 掲載された植物は多からず、かといって少なからず〈よい加減〉のボリュームで、作者 安里肇栄(あさと ちょうえい)さんと編集者の企画がうまくマッチした優れものです。

 書店で数ある植物の本をいくつかながめてみただけで、「これがいい!」と見分けることは難しので、研究所には「おすすめの植物の本はありませんか」という問い合わせがくることもあります。そういう皆さんは「まずはこの一冊を買っておくとよいですよ」とすすめている本です。

 身近な植物を見て「これはなんだろう?」と思った時、手近においてパラパラめくる。すると、その植物にたどりつくことができる可能性が高い本だと思ってよいと思います。この本をきっかけに、もっと詳しく書かれた本が欲しい、と思ったらそれを手にしてください。

 とりあえず学校図書館には入れてもらって、給料日には〈映画を一本観た〉という気になって、あるいは〈焼肉食べ放題〉に行った気になって、自分でも手に入れておくことをおすすめします。明日土曜日は研究所に若い先生たちが何人もやってきます。その先生たちにもおすすめしようと思っています。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!