たのしい教育活動の源泉は|いっきゅうさんの書簡に答えて

いっきゅうさんへ
書簡をいただき、ありがとうございます。

いっきゅうさんの文章にある、
「たのしい教育活動の広がりは、そういうモノを拠り所にしては
いけないのではないか、そういう事を考えているのです。」

あっさり書いてしまいますが、私も強く同感します。
先駆者効果(エリート効果)などで、たのしい教育活動は継続できません。
30年にもわたり続くはずもありません。

私が仮説実験授業を実践して、サークル活動に関わり、
継続できた原動力は、先駆者効果ではありません。
また、それだけでは、続くことは不可能でしょう。
では、何が私の行動を突き動かしたのでしょうか。

継続する源泉はなんだったのでしょうか。
それは、明らかに感想文です。
子どもたちの、私の授業に対する評価なんですね。

子どもたちの笑顔です。
仮説実験授業は子どもたちに授業後、

5 とてもたのしい 4たのしい  3 たのしくもつまらなくもない
2 つまらない 1 とてもつまらない

というたのしさの評価をとります。
又、授業の感想を書いてもらいます。
初めての感想を取るときには、授業の評価の結果はどうなんだ?

たのしいと感じていくれているのか?
等、とてもドキドキでした。
最初はおそるおそるだったのをまるで昨日の事のように
思い出す事ができます。

子どもたちの評価の結果は、私の予想以上でした。
8割以上がたのしいと評価してくれたのです。

その感想を読んでいると、この授業をやって良かった、うまくいったんだ、
本に書かれていることと同じ結果がでた、と充実感でいっぱいになりました。

まずは教師である私自身が、子どもたちの感想文によって
仮説実験授業の虜になってしまったんですね。
子どもたちは、授業はたのしく、わかったと評価してくれていますが、

科学に対して劣等感の強い私が、授業をすることで理解できていくのですね。
視野が開けていくようでした。
私のその時の様子をピッタリと表現している板倉さんの文章を紹介します。

私の作り上げてきた「授業書」は
ほぼ確実に子どもの心をとらえることに成功しました。
いや、その前に「教師の心をとらえることに成功した」といった方が
よいのかもしれません。

教師自身が「これを学んではじめて力学がわかった。
目の前が開けた。使えるようになった」と感ずることができたとき、
はじめてさまざまな困難をのりこえて、
これまで見られなかったような授業の実施が
可能になったのですから。

そして、教師がそう感ずることができたとき、
子どもたちはもっとその授業を歓迎し、
「こういうやり方でこういうことを勉強するなら、
もっともっと勉強したい」
というようになることがはっきりしてきたのです。
「たのしい授業の思想」26ぺ『たのしい授業の思想』(仮説社)

授業がたのしく展開することで、子どもたちは意欲的に学んでいき、
教師は教える意欲がでてきています。

さて、私の文章は説明不足でしたけど、御陰で、いっきゅうさんと
こうやって本気の意見の交換ができたという事は、
本当に「どっちに転んでもシメタ」ですね。

一日の読者の数もかなり増えてきました。
もしかすると、またこういう形でやりとりできるといいかなと思っています。

いかがでしょうか?

琉太郎

販売用:LEAP「課題解決シート」も出来ました!

まえまえから「販売して欲しい」というリクエストをもらいながら、時間がなくてなかなか作る事ができなかった教材集が今週いろいろ完成しています。
◎「たの作」たのしい作文・日記指導
◎「パズりん」
など、早くも注文が来ています。

今回は私のLEAPカウンセリングで利用している「課題解決シート」です。
カウンセリングに行く前の段階で、課題を整理して自分にできる事を目に見える形にする事で、解決に向かうという結果も出ています。
興味のある方は手にしてみて下さい。

来週のインディビジュアル・サイコロジー講座(アドラー心理学講座)でも利用する予定です。

スクリーンショット 2014-08-07 19.11.52利用の仕方と10シート(A5厚紙)で500円(送料サービス)です。

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新教材「たの作」できました…たのしい日記・作文題材カードです

以前から発売を期待されていた教材がまた一つ完成しました。
日記や作文をたのしく綴るためのテーマ集『たの作』です。

文章を書くのが、ご飯より好きだといういっきゅうハカセこと喜友名先生が、これまで子ども達に作文・日記指導して来たテーマの中から、子ども達のノリの良さと、できあがった作品のグレードが高かったものを 44 あつめてA5の厚紙カードにしました。たの作 たのしい作文指導例えば
◯ 「朝起きたらもう一人の自分が家族と一緒に食事をしていた。」
 さあ、この続きを書いてみよう!
◯ 「幼稚園の頃、ハマっていたもの」
 このタイトルで書いてみよう!

などなど、つい書きたくなってしまうテーマがいっぱいです。
このカードを一日一枚引いて
「さぁ、書きたいテーマがみつからない人はこれで書いて来てね」と黒板に張ってあげてください。
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たのしい教育とは-書簡 琉太郎様「エリート効果の危うさについて」

りゅうたろうさんがこのサイトに書いてくださった内容を丁寧に読ませていただきました。
板倉聖宣の発想法と哲学を追いかけている私にとって刺激ある文章でした。

ところで私は、りゅうたろうさんが今回取り上げた「エリート効果」の危うさを感じている一人です。
「エリート効果」という確かにあるのでしょう。
「あの山に一番先に上りたい」という様な先駆者意識というものを大事にしている人達はたくさんいると思います。
けれど、たのしい教育活動の広がりは、そういうモノを拠り所にしてはいけないのではないか、そういう事を考えているのです。

その事を話したくて書簡として書かせていただく事にしました。

たのしい教育活動の始まりが例えば、周りの人達がやっていなかった事による「エリート効果」であったにせよ、たまたま知人がやっていて、その付き合いとして始まったにせよ、それはどういうきっかけもありだと思うのです。きっかけはいろいろあってよい。
ちなみに私は「たまたま」の組みです。

ある人が「たのしい教育活動」を続けていこうと決断する時、周りがやっていないという事による「エリート効果」で広がっていくのではなく、たのしい教育を試した事による、実験結果としての「子ども達の笑顔」であったり「自分のわくわく感」であったり、「保護者の方達からよせられるファンレター」であったり、そういう「自分の本質的な喜び」として継続していくことを目指したい。

もしかすると、あの文章の続きで、板倉聖宣はそういう趣旨の事を語っていたのではないだろうか?
語っていなかったにしても、「語りたかった」のではないだろうか、そんな事を考えています。

エリート効果というのは「周りの人達から一目置かれる」という、周りの評価を気にした行動です。
そしてりゅうたろうさんが引用していた様に、それが広まると必然的に意欲が低くなってしまうものです。

私たちが大切にしている「たのしい教育活動」が広がっていく時に、そういうものを拠り所にしていてはあぶないのではないか。
そういうものではなくて、
「これをやると自分がたのしくてたまらないんだよね〜」
という様な、個人として湧き出て来るものを大切にしていく、という事が私の活動の指針です。

さっきは、板倉聖宣はそういう事を語りたかったのではないか、と書きましたが、実はりゅうたろうさんも、そういう事を考えていたのではないか、そう予想しているところです。
いっきゅう筆
たのしい授業の思想