協調性と創造性-板倉聖宣が語ってくれたこと-道徳の内容でも取り上げられるとよいな

 最新号のメルマガに書いた〈板倉聖宣が語ったこと〉への反応が今回も上々です。このサイトの読者のみなさんに、少しだけピックアップしてお届けしましょう。1993年板倉聖宣が元気な頃語った〈創造性と強調性〉という話の中からです。
 「協調性」が強調される日本の社会についてピシッと語ってくれています。

元 仮説実験授業研究会会長 板倉聖宣

 そのいくつかを抜粋して観ましょう。

板倉聖宣

 もともと意見が違う人がいるのは当たり前のことなんです。その時に「共同歩調でいきましょう」ということは、そういう人をいじめていることにもなっているということを考えなくてはいけないのです。

 だから協調性がある世界というのは、場合によってはとっても困る世界ですよ。

 

 これからの世の中は初めからみんなが同じという素晴らしさじゃなくて、みんなばらばらの素晴らしさが大切です。

 違う意見があることが素晴らしく思えるようになるというのが肝心なんです。

 

 実はこれは科学の素晴らしさです。

 科学というのは人によって仮説が違う、意見が違うから討論があり、討論があって、実験があるから発見がある。だから、新しいことが見つかってくるんです。

 

 違う意見を言って違うことを考えて違うことをやってみる。そういういろんな人がいて、初めてどこかで誰かが当たるんです。

 

 だから少しへんなことを考えるとよいのです。すると大概、創造性が発揮できることかあるんです。

 抜粋はここまで

 道徳が今年の指導要領の改定で「特別の教科 道徳」になりました。その目標は「物事を多面的多角的に考えること」です。こういう発想は、まさに多面的多角的な考え方です。そういうことを道徳の中で伝えられる様になるとよいなと思っています。
 道徳でなくても、国語や理科や社会その他、朝の会の読み語りの時など、伝えられる場面はたくさんあります。そうやって柔軟で賢い子どもたちが育てていけたらと思っています。

 メルマガでは毎週、こういう発想もたっぷり味わっていただけます。興味のある方はお申し込みください。➡︎こちら

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たのしい働き方改革 教職員の残業問題への有効な手だて 高度プロフェッショナル制度と教職調整額の類似性

 〈たのしい働き方改革〉についてたのしい教育メールマガジンに書いたところ、「この視点はなかった」「え、そんな基準が今も生きているのですか・・・」という様な数々の反応として返ってきています。研究所の〈たのしい働き方改革〉の試みを書く前の前段の部分を抜粋します。

働き方改革

 今週、たのしい教育研究所では〈たのしい働き方改革〉の試行が始まりました。それに触れる前に国会で審議されている〈働き方改革〉の話をさせてください。

 

 社会では過労死が問題となり働き方改革が国会で審議されています。

 詳しくその内容を把握しているわけではないのでweb上で調べてみました。
 過労死の問題が「生産性向上」という名目にいつの間にか変わってしまっているのでしょうか?


 そもそも過労死の問題を含めて労働環境は〈週の労働時間〉を見直せばうまくいくような簡単なものではないと思います。

 過労に限らず、セクハラ・パワハラなども含めて労働環境の問題は、以前わたしが提唱した〈重層三権分立〉が根本的な解決に繋がると考えています。

 すぐにそういう構造を構築するのは難しくても、まず〈どうもおかしいのではないか〉と思った人が名前を秘匿されたまま第三者委員会的なところ(司法的役割を担う組織)に訴えることができ、その第三者委員会は的確な調査を実施して手を打つことができるシステムが構築されることも第一歩です。

 

 ところで働き方改革で問題だとされているのが〈高度プロフェッショナル制度〉です。〈専門業務を行う年収約1,000万円以上の労働者に年間104日(かつ月4日)の休日さえ確保すれば定額で残業させ放題となる〉という問題が指摘されています。

 実はこれは〈教師の残業時間〉ととても似ている気がしてなりません。しかし、私の知る限りマスコミその他でも議論の対象になっていないようで不思議になります。

 

 知らない人もいるかもしれませんが教員に残業手当(超過勤務手当)はありません。

 給与の4%の〈教職調整額〉を払うことで超過勤務手当は支払われた形になっているのです。

 初任の頃はきっと残業も多いことでしょう。教師の初任給が20万円だとすると〈8000円〉です。

 初任の人たちについても、月にそれだけつけてあるので、いくら残業してもらっても残業代は出したことになっています。

 これは正式な法律「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法=給特法」でそうなっていますから、日本中の教師にいくら残業してもらっても、その対価は支払っている事になっているので、法的に問題はありません。

 

 ちなみに、どうして〈一律4パーセント加算〉なのかという根拠をみると驚きます。

 導入に向けて昭和41年に教師の超過勤務時間の平均を調査しているのですが、その時の教職員の超過勤務時間の平均値が〈1週間で1時間48分〉。

 それに見合う額として給与の4%なのです。なんてのどかな牧歌的な日々だったのでしょう・・・

 

 文科省のサイトにこうあります。

http://www.mext.go.jp

 

 現在の学校で勤務時間が終わったら帰るという先生はほとんど見たことがありません。

 一週間の残業が1時間48分だという教師は、全くといっていないと思います。

 逆に10時以降まで残って仕事をしている先生たちはたくさんいます。

 

 教師の残業問題を解決するまず一歩はこの〈教職調整額〉を撤廃して残業した分に見合う額を受け取るシステムにすることだと思います。

 その分のお金が欲しいということではありません。というか私は教師辞めてますから・・・

 日本全国にいる教師の残業を正当に評価し、その仕事量にみあうだけの費用を国や都道府県が負担するとなると国の財政は持ちません。必然的に行政主導で教師の仕事の負担が減るのは確実です。

 そうやって本来の教師の使命である〈授業〉に没頭できる時間が増えていくに違いありません。

 

 しかし、残業時間は減ったけれど、子どもたちの反乱に合う教師はたくさんいるでしょう。
 ですから、そのことと並行して「たのしい教育」の哲学と方法を身につけていくことが大事です。
 ぜひ、このメルマガでその哲学と方法を学んでくださいね。

 

 さて、実はたのしい教育研究所で〈たのしい働き方改革〉を提唱した人物がいます。

 A先生です。

 

 メルマガの内容はこうやって、研究所の働き方改革の一コマを提示しているのですけど、それは機会があればいずれかきましょう。

 保護者のみなさんの中には、教師に対して、あまりよくない思いを持っている方もいることと思います。個別で見ると、たしかにいろいろあることと思います。
 しかし、教師が抱えている途方も無い仕事量のことも、頭の片隅に置いて、〈やわらぎを持って貴しとなす〉というベースで話し合いを持つとよいなと考えています。何か困りごとがあれば、研究所にスーパーバイズをご依頼ください。お役に立てると思います。

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ネコと原子論、猫と原子論-〈液体の性質〉研究 

 ネコと原子論というタイトルから、科学に興味のある方は〈シュレディンガーの猫〉をイメージするかもしれません。しかし別な話、シュレディンガーのネコについてはいずれまた。

  去年のこと、友人と語らっている時に「いっきゅう先生もネコを飼っているでしょ、〈猫は液体だ〉という話を知ってますか?」という話が出て、その説明を聞いて大笑いしたことがありました。
 フランスの科学者がジョークで言ったことらしくて、理科の授業の〈三態変化〉で使える話です。

 ちなみに、うちのネコは〈ニケ〉。
 正しくは〈ニケランジェロ〉といいます。
 「ダビデとゴリアテ」などで世界的に有名な〈ミケランジェロ〉が飼っていたネコの子孫です、というワケではありません・・・

 親バカですが、とても可愛いネコで、私が夜中帰る時でも車の音が聞こえたら窓に来て待っています。

 

  ところで、なんでネコが液体なのか・・・

  まず〈液体〉の説明から。

 液体の性質について、いくつかの辞書を見てみましょう。

goo辞書
液体
物質が示す状態の一。
一定の体積をもつが、流動性があり、どのような形の器にも入るもの

→気体 →固体

マナペディア
液体

一定の体積があるが、元の形を保つことが出来ず、さまざまな容器の形に変化するもののことです。

デジタル大辞泉
えき‐たい【液体】

物質が示す状態の一。一定の体積をもつが、流動性があり、どのような形の器にも入るもの。→気体 →固体
 
 
 表現は少しずつ違いますが、液体の性質として「さまざまな容器の形に変化するもの」「どのような形の器にも入るもの」をあげています。
 
 それを〈液体〉の性質だとすると・・・
 
 

 
うちのニケをはじめとするネコ属はさまざまな容器の形に変化します

たとえば・・・

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
なんでこんな無理して入るんでしょうね
 
 
 
 
 
 
 
 
ということで「ネコは液体だ」! ?
 
 
 もちろんネコさんたちは液体ではありません。
 個体です。
 
 液体を「いろいろな形の器にも入るもの」というだけで見分けてはいけないのですね。
 
                      ※
 
 科学が最も基本とするのは〈原子〉を元に見ることです。
 
 原子の目で見ると、個体・液体・気体のイメージはこうです。
 
 
〈個体〉とは原子同士が規則正しく並んで結びつき振動している状態
〈液体〉とはそれぞれの原子分子が接しながら位置を変えていく状態
〈気体〉とは原子分子がバラバラに離れて自由に飛び回っている状態
です。
 
 液体は、原子分子がある程度自由に位置を変えられるので、例えば容器に入れると、その容器の形状に合わせてしまうのです。
 
 ネコさんたちをきっかけにして、個体・液体・気体について整理してみることができると思います。
 それにしてもネコ属は飼っていてとてもたのしいですよ。
 見ていて笑えますし、家からネズミもいなくなります。
 

たのしい読み語り〈しましまかしてください〉-子どもたちの笑顔は宝物

 今回はたのしい教育研究所研究員Yoshiがおとどけします。
 たのしい教育研究所の読み語りのテーマの一つが〈笑顔になる絵本〉。
 今週は沖縄市の〈出前児童館〉で研究所のスタッフが授業しているので、その中で取り上げた一冊「しましまかしてください」を取り上げて、久しぶりに本の紹介をさせていただきます。

しましまかしてください
林なつこ 教育画劇 1404円

 たのしい教育研究所の出前児童館には、この写真の様に、親子で参加してくれる姿はめずらしくありません。ですから、子どもたちだけでなく大人の表情も、その場でわかります。

 

 この「しましまかしてください」のラストは大人には十分想像できると思います。確かに、その想像の通りすすむ内容ですけど、それでもほのぼのとした気持ちになると思います。

 

 ある日ゾウさんが、森にいる仲間たちから「しましまを貸してちょうだい」と、お願いして、体をシマシマにしていきます。
 貸した動物たちは、その間、シマシマがなくなります。

 ゾウさんはなぜシマシマを借り始めたのか?

  その理由は・・・

これは、読み語りの時の子どもたちの様子です。
みんなの身体がぐっと絵本に引き込まれている様子がわかりませんか?

 ゾウにシマシマを返しに来た動物たちです。

 元はどの動物だったのかわかりますか?

 

 気軽にたのしめる一冊だと思います。「しましまかしてください」図書館で借りてみるのはいかがでしょうか。一緒に〈たのしい教育〉を広げませんか→このクリックで〈応援票〉が入ります!