学力=重要な知識・技能×意欲 その1) 学力方程式

「沖縄の子ども達は学力が低い」とか「沖縄の小学生の学力テ

スクリーンショット 2015-06-13 15.23.22ストの順位が昨年急上昇した」という言葉を耳にします。
あるいは「沖縄の子ども達の学力低下の原因は、親が夜型の生活をしているからだ」という様に、「学力」という言葉はいろいろなところで使われています。

たのしい教育研究所のサイトにはあえて
「活きた学力・生きた学力」
という様にしていますが、単に「学力」と言い換えてもよいと思っています。
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言葉を添えたのは、「学力」という言葉を「テストの結果」という様に考える人がいるかもしれないと考えてのことです。

テストの結果・テストの得点は「学力」の一部を説明することではあっても、「学力」そのものを説明するものではありません。

いろいろな考え方があって当然だと思いますが、たのしい教育研究所は「学力」をこういう公式で表しています。

 重要な知識・技能 × 意欲 = 学力
  学力方程式 by たのしい教育研究所

 

たとえば、算数の図形の問題をテストで正確に解ける子がいる。

しかしその子は、図形のごちゃごちゃした計算が嫌いである。
そういう子どもは、何か自分の人生の中で起こる課題を、図形的な力を利用して解こうとするでしょうか?

はなはだ疑問です。

自らの人生を切り開く力となるものが「学力」であるはずです。
テストでは解ける、ということだけでは、まだ学力がついたとは判断できないのです。

個人的なことでも、その例を幾つもあげることができますが、その一つ。
わたしは子どもの頃、習字のコンクールで金賞とか銀賞とかをよくもらっていました。
わたしの先生の書道の指導は
「とにかくこう書け、こう払え、ここで1秒止めてから…」
の連続でした。

結果として賞状は増えていっても、わたしは、その書道の時間が苦痛で苦痛でなりません。
ですから悲しいことに、わたしは墨汁のフタを開けた時の、その匂いすら嫌いなまま成長していったのです。

そういうわけですから、何か大きな文字を書くというときにも、筆を持とうという気持ちは全く起こりません。逆に、書道をする場面に直面するのをいかに避けるか、ということが目標であったりします。
つまり「書道」はわたしにとって、何かの課題に立ち向かうための力になりませんでした。

「賞/ほうびを与えればそのうちに好きになる」と考える人もいますが、それは、一部の人たちに当てはまるもので、一般化して考えて良いものとは思えません。

わたしが教師を始めた頃
「できるようになれば、そのうちに好きになるんだ」
と語る教育関係の方達がとてもたくさんいました。
しかし、現実はどうでしょう?

国際的な科学力・数学力を測るテストで、日本はトップクラスです。
しかし、私たちの周りに「理科はかんべんしてほしい」という人たちがどれだけ多いことでしょう。
科学の魅力を伝える活動を展開していると、そういう人たちがとても多いことを肌身で感じます。
勉強してきたであろう教師仲間でさえ、理科嫌いが多いのです。

たとえば「NHKオンラインサイト」にこうあります。

勉強への自信のなさも突出しています。「数学に自信がある」という割合はわずかに2%にとどまり、タイと並んで世界で最も低くなっています。楽しくも、好きでもなく、自信もないのに成績はよいというのは不思議な感じがします。
http://www.nhk.or.jp/school-blog/500/141363.html

 

テストに書きなさい、といえば書けるけれど、それは嫌いなのだ、という子どもたちを育てることは、学力向上にならないのではないか?
逆に、「図形の問題が好きだ」という子どもたちを育てることが、学力向上につながるのではないか? その子は、もしかすると、今はまだテストの得点がふるわないかもしれない。しかしそのうちに上昇してくる可能性は高い。
そして、何か自分の前に出てきた課題を解こうとするとき、きっと図形処理の力をどんどん発揮してくれるのだと思います。

ですから「たのしい教育」は、ゆっくりとではあっても、学力を根底から上げていくことになるだと思っています。

沖縄県の学力の問題は、日本全体の学力の問題とつながっていると思います。
沖縄の子ども達が「算数が好き」「国語が好き」「理科が好き」そういうようになっていくことで、じわじわと、生きた学力・活きた学力がつき、それがいろいろな問題や課題を突破していく力となる。
もちろん、沖縄が抱えている問題、沖縄だけでなく世界が抱える問題を解く力のある人間も、そこから間違いなく育っていくのだと、そう考えています。

Kiraku記

沖縄県の学力向上に全力投球の「たのしい教育研究所」です。

折り染め(折染め)新染料−画期的です その②| たのしい教育Cafe2015-6月

前回からの続きです。
この記事から読む方は前回にもどってお読みください。

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100均で折り染めに利用する『染料』として利用できるものがあります。
予想していただけましたか?

それはこれです。

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そう、プリンタインクです。100均のもので十分です。
このことは、たのしい教育研究所を設立する以前から何度もためしたことがありました。私自身の〈折染め・折り染め歴〉がおそらく30年近くになります。その数年後にはためして気づいていました。しかし、その頃のプリンタインクは高価で、折り染め用の染料を入手するよりお得です、ということでもありませんでした。しかし100均が簡単に利用できる様になってからは、逆に「折り染め染料よりおすすめです」という様な話もしています。

 プリンタインクは顔料(粒が大きい)と染料(粒が小さい)とがあります。
 100均のインクはほとんど染料です。
 つまり繊維にどんどん染み入ってしっかり染まるのです。

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ほんの1〜2滴で十分です。スクリーンショット 2015-06-12 20.52.41 スクリーンショット 2015-06-12 20.52.46水でかなり薄めるとパステル的な淡い色を出すことができます。
わたしはこの色合いが好きです。
これくらいだと、書道の用紙にしてもいい味を出してくれると思います。

出来上がりをごらんください。

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折り染めの新染料 画期的です その①| たのしい教育Cafe2015-6月 

「折り染め/折染め」をご存知でしょうか。「月刊 たのしい授業」の記事で有名になり、熱心な先生たちが、いろいろたのしんでいる教材です。 いろいろなサイトで紹介されています。たとえば‥‥  http://waku2.npoart.com/info/3483.html
 わたしは「たのしい授業誌」に記事の出る前に仮説実験授業の全国大会で直接授業を受けて感動し、沖縄県でも広めてきました。もしかすると、沖縄で折り染めを広めたのは私がもっとも早かったかもしれません。これまでおそらく数万枚、あるいはそれ以上、染めてきていると思います。

 たのしい教育研究所でも、パネルなどにいろいろ利用されています。 この魚の鱗が折染めで染めたものです。スクリーンショット 2015-04-27 16.45.23  先ほどのサイトを見ていただけるとわかるように、折り染めをたのしむには 「紙」と「染料」が必要です。 「紙」はもっぱら「障子紙」を利用する人が多いと思いますか(これも数年前から、もっとよいものが見つかりました。染める紙についても後日紹介させていただきます)。 破れやすいのですけど、ゆっくり広げることに注意すれば「習字紙」も利用できます。
 色付けには特別な素材が必要です。着物などを染める「染料」です。
 身近に手に入る「絵の具類」ではうまく発色しませんし、「色の重なりのおもしろさ」を味わいにくいのです。スクリーンショット 2015-06-12 8.30.01   そういった「染料」は近くの店で調達するというのは普通の場合難しいものがあります。 そして何より「高価」です。 たとえば「DYLON」というパッケージされた染料が専門店などで売られています。 これは1色600円くらい、例えば6色準備すると3600円かかります。 しかも、お湯や塩など、いろいろ準備が必要です。 スクリーンショット 2015-06-12 8.19.04スクリーンショット 2015-06-12 8.18.42 わたしが折り染めに興味を持った20年位前は、こういうものはなく、着物の染料を小さな入れ物に小分けしてもらって購入していました。 8色くらいで一万円近くしたと思います。 今は6色4000円くらいになっているようです。 さて、今月のたのしい教育Cafeに向けて、研究所の仲間と協力して「新染料」の実験をしました。 まえまえからわたしの頭にはある予想があったからです。 こういうアイディアは、しっかりしたきっかけがあると「実験」まで高めることができます。 「たのCafe」はちょうどよいきっかけです。 忙しいわたしの代わりに、研究所のメンバーが材料を準備してくれて、研究所のおろくさんが試してくれました。 思った通りです、予想どおりの色合いが出ました。 ごらんください。 「折り染めの新染料 画期的です その①| たのしい教育Cafe2015-6月 」の続きを読む…

誰のためのキャリア教育 グッジョブか?/親の仕事・子どもの夢

思えば、数年前「沖縄から宇宙飛行士をプロジェクト」を組織して活動をはじめたときが具体的に「キャリア教育」を意識したときだと思います。

スポーツ界でも芸能界でもかなり注目されている沖縄という島から「宇宙飛行士」が出たらもうその方面ではいうことないよね、という仲間との気軽な語らいから始まったプロジェクトに、たくさんの人たちが共感してくれて、JAXAだけでなくNASAを巻き込んだ3年間の巨大なプロジェクトとなりました。

手弁当で集まった仲間達で、3年間、数千人の方達に宇宙をテーマにした「たのしい教育活動」を実施してきました。

このポスターはその活動の初期の頃の一枚です。

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 そうやって活動していく中で受けた、ある種、特べつな質問があります。

 公演などが終わると、何人かの熱心な方達がわたしのところにきて、
「うちの子どもを宇宙飛行士にしたいと思っています。どうしたらよいでしょうか」
という様な内容の質問です。

 その時のわたしの答えは決まっていました。
こういう内容です。

子どもの将来の夢が宇宙飛行士でなくてもいいとおもうのですけど、お父さんとしてはどのようにお考えですか?
今は、宇宙に限らず、子どもの興味関心と可能性を伸ばしていくことに力を注ぐとよいとおもいます。
ただ、宇宙への興味関心はいろいろな夢を広げるきっかけになると思いますから、どういう仕事につくにしても、損にはならないと思いますよ。
いつか、子どもさん自身が宇宙飛行士になりたいといってきた時に、ぜひまたお話しを聞かせていただけませんか。その時には、もっと具体的なことを伝えてあげられるとおもいます。

子どもを野球選手にしたい。
子どもをプロボクサーにしたい。
親はそういう夢を強く描くことがあります。

ただし、人生は間違いなく子どものものです。
「子どもがたのしい人生を切り開く夢と力」
に貢献できたら、それが大切なキャリア教育ではないかと思います。

  Kiraku記

子ども達の夢と力を育てる活動。教師も親も楽しく豊かになる活動。生きた学力を育てる活動に全力投球の「たのしい教育研究所」です。