日常のたのしい研究のすすめ-ベートーベンスケール[後編]

「ベートーベン・スケール」に興味関心を抱いてくださっている方たちがけっこう多いので喜んでいます。
後編をお届けします。

研究というのは、どこかの実験室でやるものではありません。
日常がつまり実験場です。
「賢くなる方法がありますhttps://tanokyo.com/archives/5402」
にも書きましたが「予想を立ててそれを丁寧に確かめる過程」そのものが研究です。
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ですから、日頃、みなさんが
「これを確かめてみたい」とか「これが不思議なんだよ」というようなテーマについて
『予想をもって問いかける」
その予想は、正否がはっきりとわかるような予想でなくてはいけません。
それを丁寧に確かめるのです。

今回のわたしの
「ベートーベンが味わっていた珈琲はどういうものだったのか」
という興味関心を、はっきりと確かめていく過程です。

では「日常のたのしい研究のすすめ-ベートーベンスケール[後編]」、
いきましょう。

ベートーベンは豆60粒をきっちりと計って味わっていました。
わたしが味わってみたところ、この量はけっこういい感じなのです。
その豆の量でわたしのいつものマグカップの大きさで味わったり、エスプレッソレベルの濃さにしてミルクたっぷりで味わったりと、いろいろたのしめそうです。

さて問題は、ベートーベンの様に毎回60粒を数えているのは大変だな、ということです。

わたしは1日にマグでかなりの珈琲を呑んでいます。
研究所にくる方たちに珈琲をたててあげることもあります。
ですから、たとえば1日10回珈琲をたてるとして、そのたびに60粒数えていたり、4人分の珈琲で240粒数えるとなったら大変です。

お気づきの方もいるかと思いますが、それで珈琲のいっぱい様の「計量スプーン」が開発されたのですね。
人間って賢いのですよね。

計量スプーンが、ほぼ60粒測り取れるということなら、これはラッキーです。

これが研究所でよく利用している計量スプーンです。
使い込んでいる感じが伝わると思います。スクリーンショット 2015-05-16 8.50.14予想を立ててみました。
はっきりと正否がわかる様に選択肢は必需です。

もんだい
もしかすると計量スプーンというのはベートーベンが味わった60粒の豆を基準に作られているかもしれない

ア.ほぼ60粒でいっぱいになる…ベートーベンが味わった濃さくらい
イ.少ない粒(40〜50粒など)でいっぱいになる
…ベートーベンが味わった濃さより薄い味わい
ウ.もっとたくさんの粒を入れないといっぱいにならない
…ベートーベンが味わった濃さより濃い味わい
エ.その他

みなさんはどう思いますか?
そして、なぜそう思いましたか?

わたしは個人的に「ベートーベンが数えた60粒の豆が珈琲計量スプーンになっていたら嬉しい」ということで、アを選びました。

しかし、「音楽」で世界に影響を与えたベートーベンが、「珈琲の世界」にの基準になるほどの足跡を残したということは考えづらいかもしれません。
また、昔の人たちは濃い珈琲を飲んでいたとか、貴重だったので薄く作っていたということを考えると、イやウが正しい様にも思えます。

みなさんはどうでしょう。
しっかりと「予想」をたてたら、実験です。

 

実験
 研究所には3種類の珈琲計量スプーンがあります。
珈琲豆60粒を計ってみましょう。

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最近買った新しい計量スプーンで計るとけっこう余ります。
イです。
スクリーンショット 2015-05-16 8.33.31使い込んだ計量スプーンで計るとどうでしょうか。
押し込んでもしっかり余ってしまいます。
イです。
スクリーンショット 2015-05-16 14.52.29もう一つ、珈琲のパックを止めるストッパーと一緒になった計量スプーンがあります。
やってみると…
スクリーンショット 2015-05-16 14.52.37山盛りにしてもけっこうあります。

三つ試した結果。
今普通で入手できる珈琲計量スプーンを3つ使ってみると、ベートーベンが味わっていた60粒よりも、ずっと少量でいっぱいになります。

適当に3つくらい試してみたらある程度結論付けてよいだろうと思います。

つまり今の私たちの飲む珈琲の量は、ベートーベンよりも薄めの珈琲をたてる様になっているです。

じゃあ、どうすればよいのか?

一つは「重さ」を図るということです。
けれど、準備面倒な上に、すっきり合わせることがなかなか難しい。
やはり簡単な計量器がほしい。

そこで思いついたのが、ミルクなどを図るために買っておいたミニの計量器です。
100均で売っています。
スクリーンショット 2015-05-16 15.12.44これに入れて線を引いてしまえばよいのです。
ということでやってみましょう。

スクリーンショット 2015-05-16 8.34.03
出来上がりました。
これが珈琲をたてるの時の「ベートーベンスケール」です。スクリーンショット 2015-05-16 8.34.10
いかがでしょうか。

こういうメジャーを使うのではなく、小さな透明の入れ物があれば、それを利用して線を引けば出来上がります。
興味のある方はぜひどうぞ!

おわりに
たまたまわたしは珈琲好きなので、こういう研究をしてみたのですけど、いろいろな人がいろいろな興味関心で研究をすすめていくと、個人としてのたのしみや豊かさだけでなく、周りの人たちも笑顔や豊かさがどんどん広がっていくと思います。

以上

日常のたのしい研究のすすめ-ベートーベン・スケールの開発- 前編

たのしい教育研究所の日々は、たのしい研究の日々です。
「教育」という言葉は実に様々な内容を含むので、たとえば「Coffee」も研究対象です。
ま、個人的趣味でもあるんですけどね。
今日は、そのお話しを書かせていただきます。

たのしい研究1
「前々から試してみたかったけれど、できなかったことをやっと試してみたシリーズ」
コーヒー好きは知っている人も多いとおもうけど、ベートーベンはコーヒーが大好きで、一回のコーヒーを点てる時に必ず豆を60粒数えて、そスクリーンショット 2015-05-15 9.27.11れで点てていたとのこと。
それが彼の大切な儀式で、たとえ一粒多くても少なくても、彼にとってはNGだったとのはなし。

ちなみに、わたしが学生時代にそのことラジオで聞いた時「使用人に数えさせていた」というはなしだったので
「ベートーベンさんはとても貧しい暮らしをしていたって聞いていたけど、使用人がいたということは、けっこうしっかりした暮らしをしていたのだな。いや、コーヒーの逸話が間違いなのかな?」
と感じたことを覚えています。
またいつか疑問をといていきたいと思っていることの一つです。
たのしい謎解きの題材に事欠きません。

閑話休題。
「どんな濃さなんだろう?」その長年の個人的な謎に、今日、やっと挑戦してみました。
カップはいつものマグではなく、ヨーロッパ的なやつを選んでドリップ。
私のいつものコーヒーより濃かったけれど、これが普通のコーヒーの濃さなのだなという感じでした。
「これがベートーベンの味っていたコーヒーの味なんだな」
長年の秘密がまた一つ解けた。
ま、ベートーベンがどういう豆を使っていたのか、沸騰したての湯だったのか、湯の量はどのくらいだったのか、ということは未知の世界なので、正確なところは謎のままとはいえ、個人的な謎はしっかりと解けました。
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つづく

たのしく技巧派-ペーパークラフトのすすめ①-4歳くらいからたのしめます

今月のたのしい教育Cafeで特別支援のR先生が
「切り紙あそび」を紹介してくれました。
これにみんなのツボにはいり、みんな一斉にハサミを動かしはじめました。

子ども達だけでなく、大人、そしておじいちゃんやおばあちゃん達にもおすすめです。

1.まず折り紙を三角形に「三回」おります
スクリーンショット 2015-05-14 15.10.39
これで二回折り。スクリーンショット 2015-05-14 15.10.51
これが三回目。
それに型紙を合わせます…わたしは「ネコ」の型紙を合わせました。
型紙ではなく、こういうデザインで直接折り紙に書き込んでOKです。
型紙なしで自由にジョキジョキ切っていく方法でもたのしめます
…それは次に掲載します。スクリーンショット 2015-05-14 15.11.00
ネコの型をとって、ハサミで切り抜く!
ずれていても気にしない。スクリーンショット 2015-05-14 15.11.20 広げると、ほら!スクリーンショット 2015-05-14 15.11.31

この魅力にみんな一斉に黙々と作業に入りました。

スクリーンショット 2015-05-14 15.12.59おそらく4歳くらいからたのしめと思います。
ためしてみませんか。

たのCafe5月大いに盛り上がる その(0)「たのしい教育の発想法」

たのしい教育Cafeの5月も大いにもりあがりました。
スクリーンショット 2015-05-14 10.24.03 今回、私が「たのしい教育の発想法」を発表する予定でしたが、内容がいろいろあったので次回に回すこととなりました。

発表原稿はできています。
今週号のメールマガジンにまとめた一部をとりあげた内容の抜粋です。

それをレイアウトして印刷してみてびっくり。
A3版のびっしりと埋まった内容が2枚になりました。
メールマガジン全体はこの写真の約2倍以上になりますから、我ながら毎週毎週かなり書きこんでいるのだなぁ、と感心しています。

スクリーンショット 2015-05-13 18.01.42スクリーンショット 2015-05-13 18.05.47
今回のたのCafe用に抜粋したレポートは、板倉聖宣が30年前に書いた記事を文字起こししたものです。
今でも色あせしない、迫力に満ちた内容です。

たとえばこの一文を読んだだけでも、わたしは身が引き締まります。

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 私は子どもたちが「楽しい」と感じることの中には必ず本質的な理由があると思っているのですが,時によってはその楽しさの理由を勘違いするという可能性があります。
 子どもたちだって,
「何でこれが楽しいのかわからない」ということがたくさんあります。そしてさらに,その楽しさの結果起きるかもしれない事態についても考えておかなければなりません。
 ベッコウ飴で虫歯になるかもしれないし,火傷などのいろいろな事故が起こるかもしれない。そうなったら,ベツコウ飴を教えることによって,よりすばらしいものを教えるチャンスを逆に奪う可能性だってある。
 だから私たちは自分たちの思いに引きずられることなしいつもクールに,そして責任を持って行動できるようでありたいと願っております。
 したがって,私たちの研究の仕方そのものが仮説実験授業の形態のようでなければならないのです。
 たんに授業の中で問題を出し,予想をたて,討論し,実験するというだけでとどまるのではなし私たち自身の問題を出して予想を立て,いつもビクビクしながら実験の結果を見つめる。
そして,「ああ,自分のこの考え方でよかったんだ」と確認したり,「いや,ここは間違っていた」ということを確認したりして進んでいくのです。
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たのしい教育研究所の、その「たのしさ」が、しっかりと責任のとることができる上質なもの、教育的に重要な内容のあるものかどうか、丁寧に確かめながら、一歩ずつ歩いていきたいと思っています。
Kiyuna筆