アラン・チューリングという人物

コンピュータ研究の世界で最も権威ある賞がf7de2a35279462aca1f5fd0acc435bc7「チューリング賞」です。

賞に名を残すほどの業績を残したアラン・チューリングは、ずいぶん前からわたしの関心の強い対象です。

教師をしていた頃、教務を担当していたので、週報imagesといって1〜2週間の学校の予定を先生方に配っていました。

その週報の後ろに「樹楽庵コラム」としていろいろなことを書いていて、その週報にもチューリングのことを書いたことがあります。

 

樹楽庵コラム<ブック・レビュー> 080428記

○「皇帝の新しい心/ロジャー・ペンローズ/みすず書房」

ここ二年ばかり脳のしくみにすごく興味があって、自分なりに「なぜ人間に心が生まれたのか」っていう問題が解決ついてしまったのですけど、考えるきっかけになった本があります。
といってもこの本とわたしの結論としてはぜんぜん違うものとなったのですけど。
ロジャー・ペンローズの「皇帝の新しい心」です。 Unknown2
この本は「コンピュータに心が生まれるのか」という事をすごく真っ当に書いた本です。ちなみにペンローズという人は現代で10本の指に入るくらいの著名な科学者です。

宇宙で有名なホーキングと二人でブラック・ホールの研究をまとめた人で、彼無しにはホーキングは自分の研究を完成させる事はできませんでした。  

本の中でペンローズは「コンピュータA.I.に心が説明できるわけがない」と結論づけていて、その点はわたしの結論も同じです。

決定的に違うのは、彼は<量子論>で説明しようとしているのに対して、わたしの結論は情報処理の進化の過程で必然とした芽生えたものだということです。
説明に時間がかかるので、そこの部分は飛ばしておきますが、個人的には説得力ある説明だと思っています。

いつか論文にします。
ペンローズの量子論的な説明は歯切れが悪い上に難解です。
おそらくペンローズ自身、あまり納得できてないのではないかなと思います。
まあそういうのはおいといて、とてもおもしろかったのが、彼がこの本の中でチューリングに触れた文章です。
「壁の向こうの相手がコンピュータなのか人間なのか見分けるには、相手にどういう質問をなげかけたらよいのか?」
という問いがあります。

facom9450人間だから「声」で返ってくるからすぐにわかる、というかもしれません。
そうではなく、こちらがパソコンのキーボードに質問を書き入れて、答えもコンピュータの画面上に文章で返ってわけですよ。
その文章を読んで、「あ、こいつはコンピュータだな」と見分けることができるでしょうか?

これは、チューリング・テストと言ってコンピュータの世界では有名な問題です。
たとえば「10たす4は?」って質問を打ち込むと、相手が<人間>の場合でも<コンピュータ>の場合でも「14」って答えが返ってくる可能性はありますね。
ですからそういう類の質問では相手がコンピュータなのか人間なのか見分けることはできません。

「赤って何?」って質問を打ち込むとどうでしょう?
 コンピュータに最大規模の辞書でも丸覚えさせておけばよいわけですから。
「血液の色」とか「三原色の一つ」とかっていう言葉がどちらからも返ってくる可能性があります。
これでも、相手が人間なのかコンピュータなのか見分けるのは難しいでしょう。
何せ相手は膨大な知識を正確に蓄えるコンピュータなのです。

そういうコンピュータに対して、こういう質問をしたら明らかに「人間とは違う答えが返ってくる」。
つまり「壁の向こうにいるのは人間じゃなくてコンピュータだな」って分っちゃう質問ってなでしょう?

わたし的にはずいぶん興味深かったので、本をとじて考えてゆっくり考えてみたんですけど、やっぱりけっこうおもしろかった。

 みなさんも考えてみませんか? 

答えはいずれ書くことにしますね。正解に近い方にはチョコ一粒プレゼント。

こういう文章です。

最初に書いたように、アラン・チューリングは今あるコンピュータの基礎に確固たる位置を記した人物です。
彼の生涯を映画化した作品が今公開中です。
「イミテーション・ゲーム」です。Unknown3最近、大きな仕事を一つ終えたので観に行こうと思っています。

Kiyuna

まど・みちお の感性

まど・みちお は私にとって特別な人物です。1-3
わたしの考え方の重要な尺度となる人物です。

この人の「良心」を前に、身が引き締まる気がします。

昨年、104歳で他界しました。

まどさんは、詩が有名ですけど、エッセイもとてもよいのですよ。

まどさんの「百歳日記」にこういう文章があります。

content子どもっていうのは、生まれた直後から数年は、昔もいまも同じじゃないでしょうかね。
いまの子どもたちが違って見えるのは、周りの空気がまるきり違うから。
空気っていうのは天然のエアーもそうだけれども、周りの人たちの感じも昔とは違いますからね。でも詳しいことは私みたいな素人にはわかりません。
子どもはとにかく発想が面白です。
私なんか、どんなに頑張ってもかないません。
子どもたちの出てくるテレビの番組をときどき見ても、みんな先生のまねをしているようで、ひとりとして同じことをしていないですね。
 あさってのほうを見ている子もいますし、本当に みんなそれぞれ美しい個性を発揮している。
 ああ、さすがに子どもだなあと思います。

みごとな感性です。
こういう感覚で教育に携わることのできる先生方を育てることも、たのしい教育研究所の重要な活動の一つです。

百歳日記 (生活人新書 332)

感動を伴ったたのしい教育活動の普及に全力を注ぐ「たのしい教育研究所」です。

 

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