星野道夫〈ジリスの自立〉、読者の方からの便りをきっかけに

 3つ前に書いた星野道夫の「ジリスの自立」を読んだ方から、便りが届きました。その人も同じエッセイを読んでいるようで、その部分の写真を送ってくれました、もしかすると高校生なのかな、そうではなくても子どものような心をもった人なのだと思います。※作成中に手違いで二日前、四時間ほど途中の記事がUPされていました、その時より写真や文章がふくらんでいます

 「もう一度中身が知りたくなって本を開きました」とありましたから、その後の展開が気になっている方もたくさんいるかもしれません、紹介しましょう。
 気に入ったらぜひ星野さんのエッセイを一冊手にしてみてください。

 星野道夫の〈ジリスの自立〉は、いくつかの本に収録されています、小学館「アラスカ 永遠なる生命」、文春文庫「果てしない旅の途上」、新潮社「星野道夫著作集4」、他にも出ているかもしれません。

 ジリスというのは、アラスカに住んでいる大きなリスで、ホッキョクジリスといいます。

 私もマッキンリーでテント生活をしている時によくみかけました、近くまで来てくれるのですけど、リスとは思えないほどの体格です。耳を別にすればうさぎくらいあるんですよ。

 鳴き声は鳥の様で、ホッキョクジリスが鳴いていると気づくまで数日かかりました。

 たまに開くサイトですけどホッキョクジリスの声もあります、よければ聞いてみてください。※ジリスの下の〈Listen〉のボタンをクリック

http://www.adfg.alaska.gov/index.cfm?adfg=arcticgroundsquirrel.printerfriendly

 

 アラスカのマッキンレー国立公園には、毎日たくさんの観光客が訪れ、ジリスたちは食べ物がもらえると知っているので、たくさん寄ってきます。


 公園のレンジャーは、ジリスたちに何とかエサをやらないようにと呼びかけているのですけど、可愛らしいジリスのしぐさに、食べ物をあげる観光客は後を絶ちません。

ここから星野さん文章・・・

ある年のこと、奇妙な立て札が立った。
何故、奇妙かというと、その立て札はわずか10センチほどの低さで、身体を曲げて
わざわざのぞき込まない限り見えないのだ。

その内容は「ジリスたちよ!」で始まる。
ジリスたちへの警告だったのだ。

「‥‥おまえたちは、そうやって人間から餌をもらってばかりいると、だんだん体重が増え、動きも鈍くなり、いつの日かイヌワシやクマの餌になってしまうんだろう‥‥」

私は笑ってしまった。

何だろうと思ってサインを読む観光客も苦笑いを浮かべている。

 

ふと、日本の動物園で見た、クマのおりの中にひっきりなしに人々が食べ物を投げ込む光景を思い出していた。

そこに書かれていた「動物に餌をあげないでください」というサインは、何と力のないメッセージだったのだろう。

 そんなことは、だれもが知っているのだ。

 思わず動物に餌をあげたくなってしまうのも人の自然な気持ちなら、餌をやってはいけないのだと感じるのも人の素直な気持ちである。

 正論に力を持たせるのは大変だ。

 余裕を持ったちょっとしたユーモアが時に人の心を大きく動かしてゆく。

 星野道夫という才能は、極北の地で大きく花開きました。今でも、その優れたエッセイを読むことができるのは豊かなたのしみです。

 写真も一緒にたのしむなら「アラスカ 風のような物語」小学館 がおすすめです。「風のような物語」というタイトルも心ときめかせてくれます。中にはまさにアラスカの風を感じる写真と文章が詰まっています。

アラスカ 風のような物語(小学館文庫)

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たのしい教育に全力投球の日々がたのしい/こども達に大人気のものづくり実験教材づくり進む

 安定した教師という仕事を辞め〈NPO法人たのしい教育研究所〉を設立してからほぼ10年、忙しい日々が続き、コロナの中では少しその忙しさも緩やかになるだろうという感じがあったのだけど、ぜんぜんそういう時は訪れません・・・

 これはワークショップルームを利用してリモートで若い先生たちに、たのしい教育を伝えているところです。

「これはねぇ、すぐれもので、子どもたちがいろいろ実験しながらたのしんでくれるんだよ・・・」

「たとえばこうやって、ほらね!」
「お~!」

 と賑やかにやっている隣の部屋では
 静かにセッセと教材づくりがすすんでいます。
 もちろん、たのしく語り合いながら。

 完成した教材がどんどん積み重なっていきます。

 その下では、できあがった教材やその遊び方、実験の仕方、資料、石鹸・マスクセットなどをパッケージする作業が続いています。

 できあがったパッケージが箱詰めされています。
 ところがこれでも1週間で使い切るものの中の1/5くらいです。

 コロナの中でも「こども未来キャラバン」の活動をやめることはないので毎週毎週、数百人分の教材をどんどん作っていく必要があります。

 それをいろいろ工夫しながらコツコツすすめてくれるスタッフはかけがえのない人たちです。

 ボランティア活動したい方がいたら、ぜひお声がけください。
 各自ですすめられる作業がいろいろあります。

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日録通信にたのしい教育研究所の紹介

 四国徳島に私が敬愛する仁木正(にき ただし)先生という方が住んでいます。2001年に開催した沖縄仮説実験授業全国大会の時、〈英訳〉でお世話になって以来ですから、もう20年くらいお付き合いさせていただいています。

 仁木先生は中学の英語の先生で、その後管理職となり、退職まで勤め上げたのですけど、仁木先生の子ども達や先生方とのたのしい様子を雑誌「たのしい授業」にも掲載されています。退職後は文字通り〈読書漬け〉の暮らしをしていて、その様子を「日録通信〈日々の読書あれこれ〉」という冊子にまとめ発行しています、本好きの私が憧れる暮らしです。

 仁木先生が校長をしていた当時「先生方が意欲をもってやれるものを一番にやってください」と語った言葉は、管理職としての理想的な言葉だと思います。

 今年初の「日録通信」に仁木先生が、たのしい教育研究所のことを書いてくださっています。※仁木先生の個人情報なども載っているので加工します

 少し書き抜いてみます。

沖縄県在住の喜友名 一さんが月刊「日録通信」の読者になってくださってから長い年月が経つ。

 喜友名さんは2012年に教師を退職し《NPO法人 たのしい教育研究所》を設立、代表を務められていて、多彩な取り組みを展開されている。

 各種教育イベント/たのしく賢い学力向上/宇宙授業/病院・デイケア等でのたのしい授業/夢と力を育てるたのしいグッジョブ・キャリア教育/カウンセリング研修/ワークショップ/教育関係者各種研修…。

 私は沖縄へ行ったことがない。

 喜友名さんが住む沖縄の本屋さんを訪ね歩いたフリーライターの記録を先月末に目にして、その土地のイメージが少しばかり浮かんできた。

▷うるま市 数学館・大庭書店・弘文堂・宮城文具店・大城書店石川店

▷沖縄市 コザすばる書房(古書店)

 沖縄がぐっと近くにやってきた感じだ・・・

たの研の紹介の時にも、読んだ本を紐解くところはさすがの流れです。

 私が教師を辞めてフリーとなってから、四国を訪ねたことがあります。仁木先生とお会いするのは、その時がはじめてなのに、それまで何度も会ってお話してきたかの様に、丸一日たくさんのことを尋ね、語り、うなずき、笑いあいました。
 たのしい教育は、いろいろな人たちを引きつけてくれる力があります。
 コロナが落ち着いたら、また訪ねたい地です。
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高校の国語の教科書はオススメです/ジリスの自立〈星野道夫〉

 星野道夫という文字を見るとツーンと冷たい感じが心臓の左上のあたりに走ります、とても憧れている写真家で文筆家だからでしょう。

 以前書いことがあるのですけど、私の愛読書の一つは〈高校国語の教科書〉です。最近、それを数冊差し入れてくれた人がいました。鉛筆やラインマーカーなどが記されているのですけど気になりません。

 まず一冊を開くと、左右見開きで星野道夫が撮ったカリブーが川を渡っている写真が目に飛び込んできました。
 次のページも星野道夫のグリズリー、そしてホッキョクグマの写真です。

 わくわくしながらページを進めると、一番最初の文章が「ジリスの自立」という星野道夫のエッセイでした、私が好きな作品の一つです。

エッセイはこうはじまります。

 アラスカのマッキンレー国立公園での話である。

 四国ほどの広さがあるこの公園の中に、たった一軒だけ観光客のためのビジターセンターがある。まさに原野の真っただ中の公園の中を一本道が通っているために、毎日たくさんの観光客がこの休憩所で過ごす。

 中はウィットをおりこんだエッセイで、私は思わず笑い顔になりました。

 文章に添えて星野道夫のマッキンレー山の写真がありました。
 私も星野道夫の歩いた道を訪ね、このビジターセンターに行きテントを背負ってこのマッキンレー山に向かってひたすら歩き続けました。

 目を閉じて顔を少し上に向けると、今でもその時の眺めが目の前いっぱいに広がります、そしてその時の風の香りも思い出すことができます。

 また星野道夫の写真集を開いてみたくなりました。

 きっと皆さんにも大切な一冊があることでしょう、子どもの頃読んだ絵本だったり、ものがたりだったり・・・

 人間のたのしさや感動を湧き起こす〈本〉は豊かな相棒です。

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