予想チャレンジはたのしすぎる〈シコンノボタン〉/たのしい学力

 毎週発行しているメールマガジンのはじめの章にかるく紹介した〈シコンノボタン〉の話に手を加えて書かせてください。たのしいアウトドア、そしてたのしい学力の話です。

 インドアの仕事の多いので意識して山路を歩く様にしています、一人ですから天気の良い悪い、道のあるなしはほとんど気になりません。アラスカで遭遇したようなヒグマもいませんから安心です。とはいっても私はアウトドアに慣れているからなので、一人で突然こういうことを真似せず、興味のある方は〈アウトドア・スーパーヴィジョン〉をお申し込みください。

 この頃の沖縄のたのしみは〈ヒメツバキ/いじゅの花〉です。

 近くによると花束の様にきれいです。

 そのまま山路を歩くと〈誰かが手をくわえたのだろう〉と思わせる一角がありました、そこには鮮やかな〈ノボタン〉が花開いています。
 以前このあたりで農園などをしていた人が植えてくれたのかもしれません。

 それにしても鮮やかです、調べてみると〈シコンノボタン〉という花です、〈コートダジュール〉と呼ばれたり、この写真の真ん中あたりにある花から出ているオシベをみると感じるかもしれません、クモの脚に似ているというので〈スパイダー〉と呼ばれることもある花です。

 〈たのしい学力向上〉の教材化をすすめている『植物の再生』のプラン用に、枝先をいくつかもらって挿し木の実験をすることにしました。

 さっそく〈たの研〉にもどって水にさしてあげました、桃色の芽もついています。

 翌日みると、なんと紫色の花が顔を出しています。

 昼頃、そしてまだ明るいけれど、もうそれほどあつくない時間、と次第に前に前にと伸びている様にみえます。

 夜、帰るときにはハッキリと開花がすすんでいることがわかりました。

 

 翌朝、別な処で仕事をしている私にスタッフからメールが届きました、きれいな紫色の花が開いていると写真も添えられています。

 こんなに勢いのよい花はほとんど見たことがありません。

 水をたっぷり吸わせて根切りし、挿し木用の土に入れて丁寧に増やそうと思っていたのですけど、予想変更して、そのまま土に植えてみることにしました。

 さて、どうなると思いますか?

 無事元気に根付いていったらまた紹介したいと思います。

 生活科や理科の植物のところを学んで、たとえばこういう様にたのしんでいける子ども達が増えていく、それが本物の学力だと思います。本物の学力はたのしいのです。
 たのしくてやめられない、そういう子ども達を一緒に育てませんか。そう感じてくれた方は、まずこのサイトを身近な人にすすめてください。全国のブログランキングでもほぼ上位を維持しています。「ここいいよ」とアドレスを転送していただけたら、次第にたのしい教育に関心をもってくれる人たちも増えていきます。
 地味な取り組みですけど、こういう活動がベースになると思います。よろしくおねがいします。
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たのしい算数 順序よく並べる その前に〈教師のたのしい工夫〉の必要性を

〈たの研〉に来る保護者の方たちからの相談には、ゴールデンウィーク前後から不登校の相談が増えてきます。その中で「去年まではそういうことはなかったのだけど、新しい先生になってから〈勉強がおもしろくない〉〈授業がわからない〉という様になった」と話す方が一定割合います。

 カウンセリングの話はまたの機会にして、授業の話を書かせてください。

 公立学校の授業で扱う内容は〈学習指導要領〉に書かれていて「教えることになっている」と教師は考える、その感覚は「はい、今日は教科書の◯ページです」という言葉にも表れて、そこから伝わる〈やることになっている感〉ははっきりと子ども達の心に刻まれます。

 教師の〈やることになっているからやる〉というスタンスは「あればあるでよいけれど、〈たのしさ〉は特に無くてもかまわない」という発想にもつながります。

 しかし指導要領の根幹は「主体的・対話的で深い学び」です、〈やることになっているからやる〉というのを「主体的」とはいいません。

 この矛盾をどうしたらよいのでしょう。

 学習指導要領について編成側の〈文科省〉の説明をみてみましょう。※下線はいっきゅう

「学習指導要領」では、小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めています

 また、これとは別に、学校教育法施行規則で、例えば小・中学校の教科等の年間の標準授業時数等が定められています。

 各学校では、この「学習指導要領」や年間の標準授業時数等を踏まえ、地域や学校の実態に応じて、教育課程(カリキュラム)を編成しています。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/1304372.htm

 学習指導要領で定めているのは〈大まかな内容〉であり、各学校では〈地域や学校の実情に応じてカリキュラムを編成〉していると記しています。

 ところで学習指導要領は法律ではありません、それより遥かに拘束力の高い〈学校教育法〉には

教諭は、児童の教育をつかさどる。

学校教育法第 37 条第 11 項

とあります。

 学習指導要領に記された大まかな内容を、子ども達が主体的・対話的に深く学ぶ、その教育を先生が司るのです。

 教科書は学習指導要領の大まかな内容を具体的に例示したテキストです。そこでも〈やることになっているからやる〉という感覚は、主体的・対話的で深い学びと矛盾してきます。

 〈やることになっているから学ぶ〉VS〈主体的に学ぶ〉

 いったいこの矛盾をどうすればよいのか?

 その矛盾を解くカギが〈たのしさ〉です。

 まず自分が学ぶことをたのしむ。教師自身の個性が輝いていくことで、こども達にもたのしさが伝わっていくでしょう。
「さぁみんな、今日のさんすうは〈並べ方を考えよう〉だよ、たのしんでいこうね」
ニコニコした表情でそう伝えることができたら、これまでと違う扉が開くはずです。

 具体的な問題で考えてみましょう。

 〈たの研〉で算数の解き方入門をしていると、確率系の問題が苦手だという先生たちがたくさんいることに気づかされます。

 確率は漠然とした状況であることを予測する時などとても重要なツールになります。「こっちの危険度とこっちの危険度はどっちが高いか」などを確率的に見ていくことでより安全な状況を選ぶことができます、確率的な見方考え方で命が救われることもあるでしょう。

 重要なものを学ぶのがたのしくないわけないのです。

 確率的な見方考え方を身につけていく過程で〈並べ方・組合せ方(順列・組合せ)〉が重要なテーマの一つになります。

 たとえば1から5までのカードがあります。これをいろいろな並べ方で一列においていくと、何通りくらいの並べ方があるでしょうか?
 この四角の中に1から5までの数字を入れていくわけです、12345と並べたり、逆に54321と並べたり。
 違う並べ方はいくつなのか小学生の感覚で考えてみてください。

 たとえば1の並べ方はいくつか?

 一通りです。

 1と2の二つのカードを一列に並べる方法は?

 1・2 あるいは 2・1 の二通りです。

1と2と3の三つのカードの並べ方は・・・

 123、132、213、231、312、321 の6通りです。

 こんな風に考えていくと、12345の5枚のカードの並べ方は何通りあるのでしょう。この四角の中に数字が入ると考えてみるとよいでしょう。

 

 ア.5通りくらいうありそうだ

 イ.10通りくらいありそうだ

 ウ.20通りくらいありそうだ

 エ.50通りくらいありそうだ

 オ.その他

どうしてそう思いましたか?

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考えてみよう

⬇︎

考えてみよう

⬇︎

 5枚のカードを並べるだけで〈120通り〉の異なるパターンが出てきます、この多さは、私にとって驚きなのですけど、みなさんはどうでしょう。

 計算ができる暗算できるという人は〈答えが当たった〉というそのことで嬉しくなってしまうかもしれません。けれどじっくり考えてみてください、たった5枚のカードで120通りですよ。

 もしあと5枚増やして1~10までの10枚のカードを一列に並べようとしたら、〈352万8800通り〉の並べ方があります、全部の並べ方を終えるまでどれくらいの時間が流れていくでしょう・・・

 この爆発的な多さに驚くのか、「計算でこうなるからこう」と無感動にテストに答えて終わるのか。

 一方が〈たのしさ〉、一方が〈無感動〉です。

 指導要領に書かれた内容をたのしく教えることによって、主体的・対話的で深い学びが可能となるのです。

「今年になって勉強がたのしくないというんです」という保護者が出てくるのではなく「うちの子は去年まで学校のことというと友だちのことばかりだったんですけど、今年、先生が担任してくれる様になって、勉強の話をしてくれる様になりました」そういう保護者の方たちを増やしてみたいと思いませんか。

 興味のある方は、ぜひたのしい教育研究所で学ぶことをおすすめします。学ぶ方法はとてもたくさんありますが、まず今月は〈初夏の講座〉の受講をおすすめします。
 内容は⇨初夏の講座2022

募集が始まり、参加申込みが増えてきました。席には限りがあります、受講したい方はお早めにどうぞ⇨申込みはこちら  〈初夏の講座の申込み〉と記入し、名前・所属・緊急時の電話番号を書き入れて送ってください。お会いできることをたのしみにしています。

 

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たのしいお話 「3人娘と悪魔」 予想してみよう

 前回の「三年峠」に続きます、それぞれ独立して読んでも大丈夫です。前回と違って出典は思い出せないのですけど、内容の幹は覚えています。私の脚色で書いてみましょう。

 あるところに三人の娘とお父さんが仲良く住んでいました。

 父親が仕事にでかけたある日、悪魔がやってきて娘たちに
「お前の父親の命をもらっていくことにする」と告げました。

 一番上の娘が「何とか一年だけその日を先に伸ばしていただけませんか」と願うと、悪魔は必死にたのむ娘の姿に打たれて
「分かった、願いを聞き入れよう」
と去っていきました。

 一年後、悪魔がやってきました、季節は〈春〉です。

「約束通りお前の父親の命をもらっていく」

 すると二番目の娘がいいました。

「姉の願いを聞いてくれたのですから、私の願いもお聞き下さい。
 この季節が終わるまで、父の命を奪うのはまっていただけませんか」

 悪魔は困りましたが、それくらいならと考え
「分かった、願いを聞き入れよう」と言い、去っていきました。

 季節がハッキリ変わりました。
 時は〈夜〉、父親が眠りについた後、悪魔がやってきました。

 「約束通りお前の父親の命をもらっていく」

 すると三番目の娘がいいました。

「姉たちの願いを聞いてくれたのですから、私の願いもお聞き下さい」

 悪魔は困りましたが「まず願いを言ってみろ」と伝えました。

 三番目の娘は「このロウソクが燃え尽きるまで、父の命を奪うのは待っていただけませんか」と言いました。

 悪魔は、それくらいならと考え
「分かった、願いを聞き入れよう」と言い、去っていきました。

 それからもう二度と悪魔は現れませんでした。
 三人の娘と父親は通り仲良く幸せに過ごしていきました、とさ。

おしまい!

というお話です。

さて、この四角の中にはどういう言葉がはいるでしょう。

考えてみませんか。

こども達が出すいろいろなアイディアについて、「うん、いいねぇ~」「なるほどね」とか「当たっているといいね」という様に答えてあげてください。このお話の結末より、もっといいアイディアが出てくるかもしれませんし、違っていても、予想したそのアイディアはその子の賢さにつながります。

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予想してからね

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 四角の中にあるのはこういうワンフレーズです。

「すると三番目の娘は、フッと息をかけ、ろうそくの炎を消してしまいました」

 でうでしょうか。

 私の好きな話の一つです。

 ぜひ学校や家庭で話してあげてください。

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たのしいお話〈三年峠〉

〈三年峠〉というお話を知っているでしょうか、国語の教科書にも取り上げられるようになったと聞きましたから、読んだことのある人もいるでしょう。
 これまで読み語りで取り上げてきたたくさん絵本・ものがたりの中の心に残っている韓国のお話です。記憶の違いがあるかもしれませんけど、こういう物語です。

 そこで転ぶと三年後に死んでしまうという恐ろしい峠がありました、いつしか〈三年峠〉と呼ばれる様になりました。

 「三年峠で転ぶと三年後に死んでしまうぞ、用心用心♪」そんな歌を歌いながら、村人はみんな転ばない様に気をつけてゆっくり歩いています。

 ところがある日、あるおじいちゃんが転んでしまいました・・・

 もう大変。

 三年後に死んでしまうとなったおじいちゃんは、心配で心配でとうとう寝込んでしまいました。

 そこにある娘がやってきて、おじいちゃんにある話をします。

 それからおじいちゃんは、とても元気に過ごすようになりました。

 さて、姪っ子はおじいちゃんに何と語ったのでしょう?

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予想してみてね

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予想してみてね

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 こう語ったのです。

「おじいちゃん、三年峠で一度転ぶと三年後に死んでしまうなら、もう一度転べばさらに三年後、6年生きられるのですよ。3回転べば9年後。
さぁ、おじいちゃん、転びにいきましょう」

おじいちゃんは喜んで、ころころ転んで「これで百年でも二百年でも生きられるわい」そういいましたとさ。

 そういうお話です。

 絵本はおじいちゃんの表情もインパクト強く描かれていて、きっとこども達の心にも残る作品になると思います。「これはいい」と思える作品にたくさん出会えた分、たのしく賢くなると思います。

 実はこの〈三年峠〉を前フリにして次の話をしたかったのですけど、思っていたより長くなったので、次に回しましょう。
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