お金は無いが、科学の実験・講座に参加したかったファラデー

板倉聖宣の「わたしもファラデー」、二度目の読書を終えました。人間ファラデーを感じる名著です。

そのエピソードの一つを紹介させてください。

製本の職人になるために徒弟奉公をしているうちに科学に興味が高まってきたファラデーは一枚の張り紙を目にする部分です。
スクリーンショット 2015-06-03 9.09.02「科学の実験・講座1回1シリング」という張り紙。
他の著者は、いい加減に誤魔化す部分も、板倉はそれが今のお金でいくらくらいか、という事を必ずといっていいほど書いてくれます。他の著書でもほとんどそうです。

1回1000円の科学の実験・講座。
わたしの教育研究所で月に一度オープンする「たのしい教育Cafe」の数字と一緒なのに驚きました。

それにしても、徒弟奉公というのは給料がなかったのですね。
兄に出してもらったファラデーは、その実験・講座に参加し、それがきっかけで、講師だったテータムさんの開催する研究会にも参加させてもらうこととなります。

いまでいえばノーベル賞をいくつも受賞したであろうファラデーが、科学の道へと進んでいく様が、彼の息遣いとともに伝わってくる様な作品です。

おすすめいたします。

キッチンで間に合う除虫剤の研究②/何をやるにも仮説→実験

タイトルは異なっていまが、前回の続きとなります。

朝早くから宜野湾市での会議、県庁で話し合い2件、那覇市で会議と、外での仕事が続き、研究所にもどったのは夜のこと。

昨日のヒラミレモン(シークワーサー/しかも南大東産)を見ると、どうもまた食べられている気がします。

昨日の苗は茎しか残っていないのでよくわかりませんが、お隣の鉢の苗がこうなっています。

スクリーンショット 2015-06-02 23.13.32ただし、昨日からこの様な状態で、単なる被害妄想かもしれません。
隣の鉢も写真に残しておくのでした。

が、実験がしたくてたまらない私は、さっそく前回の食酢の液をグレードアップすることにしました。

前回書いておいた選択肢の一つ、「生わさび」を加えてみたのです。
5倍に薄めて作った100mlの食酢の液が残っていて、それにおろし生わさびを4cmほど落としてしっかり振る。
スクリーンショット 2015-06-02 23.13.43 作っている私の目がチカチカします。

気のせいか、液が少し垂れた手の甲がヒリヒリします。

きっと、虫たち、かたつむりたちも、目を開けていられないでしょう。がんばって食べたとしても、彼らの脳の下の方がツーンとしてきて、けっこう苦しむことでしょう。

さっそく今夜かけてみました。
明日の観察がたのしみです。
スクリーンショット 2015-06-02 23.13.51研究所から去る時
「もしかして、ヒラミレモンが先に参ったしたらどうしよう」
と思いましたが「何をやるにも仮説→実験」です。

結果がはっきりしたら報告します。

元気でたのしい沖縄を目指してまっしぐらの「たのしい教育研究所」です。

南大東島の大切なシークワーサー(ひらみレモン)がやられた/アゲハの幼虫の裏側の研究/たのしい実験開始!

去年、南大東島に授業に行った時、いつもお世話になっている教育委員会の宮城さんが
「南大東産は本島のものより美味しいですよ」
とシークワーサー(ひらみレモン)をいただきました。
研究所に戻ってスタッフと食べると、すっぱくてほんとに美味しかったです。
育つかな?
とタネをとって植えたら、しっかり芽吹きました。

成長はゆっくりですけど、順調に育っていた苗でしたが、今日、水かけをしていたスタッフが
「葉っぱが食べられています」との報告。

やられました。

スクリーンショット 2015-06-01 11.19.25
「だれだ?」
と探すまでもなく、犯人はすぐにわかりました。
鉢のヨコをごらんください。

スクリーンショット 2015-06-01 11.19.34

アゲハチョウの幼虫です。
隠れているつもりでしょうか?
スクリーンショット 2015-06-01 20.27.02「まったくもう」
と、研究所から離れた草原に持って行こうとして、割り箸で持ち上げたところ、大発見!

アゲハの幼虫のかぎるのかどうかわかりませんが、裏側が透明でとてもきれいなのです。
しばらくみとれてしまいました。

スクリーンショット 2015-06-01 11.20.39
幼虫を移動して後、苗を守るために対策をたてなくてはいけません。

「木酢液(もくさくえき)」があったはずだと探してみたのですけど、見つからない。
そこで、
「木酢液が効くなら〈料理用の酢〉でも効くのではないか」
という実験をすることにしました。

ただし「木酢液がアゲハの幼虫などにも効く」のかどうかわかりませんから、料理用の酢が効くのかどうかもわかりません。

「何をやるにも仮説⇨実験」ですから、数日間、様子をみることにしてみます。

そのほかにも
◯ニンニクの液
◯ワサビの液など、試してみたいものがいくつもあります。

たのしみです。

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科学者ファラデーも普通の人間

教育の世界で有名な板倉聖宣ですが、教育の世界で注目される前から「科学史」で独自の研究をしていました。
現在は「日本科学史学会」の会長もしています。
子ども達向けの本をかなり書いている板倉聖宣の話は、内容が魅力的であるだけでなく、とてもわかりやすいのですよ。

最近、ガリレオやファラデーの文献をあたっているときに、板倉聖宣が「ファラデー」について講演で語った文章を読みました。

ファラデーの収入や健康状態などを読むと、さらにファラデーのことが魅力的に思えてきました。
皆さんも読んでみませんか。
1991年夏「授業科学の方法論研究会(阿蘇)」で語られた内容です。
古いコピーがあったので、それを書き起こしました。読みやすくなる様に喜友名が少しだけ手をいれました。

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ぼくは、学生時代から〈アリストテレスはどうやって生活していたのか〉ということが気になっていました。
何故そんなことが気になったかというと、ぼく自身が、大学を卒業したらどうなってしまうのか心配だったからです。

ぼくは何かをして稼がないと科学者にはなれません。
アリストテレスみたいになるにはどうしたらいいか。
ガリレオみたいになるにはどうしたらいいか。

ガリレオは大学教授になりました。
大学教授になると食べていけると普通は思います。
しかし、大学教授になるのも簡単ではありません。
ファーブルは、師範学校を出て小学校の先生になりました。
しかし,小学校の先生より中学校の先生の方が収入が良いということで、検定試験で中学校の先生になって物理と化学を教えました。
ファーブルは、書いた啓蒙書が当たってたくさん売れました。
それで校長とけんかして、学校をやめて『昆虫記』を書いたのです。

ぼくはファーブルの収入調査もしました。
ヨーロッパでは収入によって人を差別する習慣があるので、日本よりヨーロッパの方が収入調査ができます。

江戸時代でも100万石しか1万石とか5万石とかの大名がいました。
◯◯石だとわかる、というのは収入調査の一種です。
明治時代には、渡辺敏が40円校長だと新聞に出たことがありました。
戦前は校長の月給が新聞に出ていたのです。
市町村の教育委員会が「今度はいい校長をいくらで連れてこよう」という事を決めていました。

ファラデーは面白い事があったから科学をしたのです。
そしてファラデーはお金を稼ぎすぎて体を壊します。
いくら稼いだかというと今のお金で年間に2000万円ぐらい稼いでいます。
2000万円も稼いでいるのですから、これは出世です。
でも体をこわしたので彼はお金を稼ぐことをやめました。
みんなは体をこわしたファラデーを心配して、アルバイトしなくてもお金が稼げるようにいろいろ援助してくれています。

そういう歴史を見ると、人間らしいファラデーが見えてきます。
天才ファラデーではなく「人間ファラデー」です。

ぼくたちも人間です。
ファラデーやえらい人は人間じゃないみたいに思うかもしれませんが、たのしい事が好きで、つまらないことが嫌いです。
みんな同じです。
私もファラデーだし、あなたもファラデー。
みんなファラデーです。

このように「ファラデーは私と同じ人間だ」という事になると研究の仕方がぜんぜん違ってきます。
「彼は天才だから不思議なことが考えられる」と思っていると、ファラデーの書いたものをみてもまともに読まないうちに「やっぱり天才だ」とすぐ言ってしまうでしょう。
「ファラデーは天才だ」と言ったら何考えなくてすみます。
でもファラデーは私と同じだ、としたら「ファラデーってこういう時にどんな事をかんがえるのだろう?」と考えるのです。

板倉聖宣はその後「わたしもファラデー」という本を書きました。
興味のある方は、ぜひどうぞ。
わたしも、その本をまた再度読みたいと思っています。

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