読者のAさんからお便りが届きました。
「友人の家の時計が、近くに雷が落ちてから、秒針が逆まわりをはじめたそうです。こんなことが起こったというのを、どう理解したらよいでしょうか」
という内容です。

あまりにも驚いたのでしょう、スマホで写した動画もついていました、Aさんはこれまで何度かお便りを下さるので、顔は知らなくても誠実な方だということはわかります。
フェイク動画とは思えません。
トリックやフェイクでないとすると、みなさんは、こういう事が起こったことをどう理解しますか ?
ありえないことだ。
超自然的なことが起こっている etc.
本気で驚いている様子だったので、Aさんには
動画、見せていただきました。
面白いですね。
でも考えてみてください、これまで地球上で作られた何億、何十億という時計のいくつかが、何らかのショックで逆回りし始めるというのは、あり得ないことでしょうか?
〈人間が作った時計は、何がなんでも全て一つの例外もなく同じ向きに進むものだ〉
ということのほうが変だとは思えませんか?
💫 ⭐️ 💫 ⭐️ 💫
私には「これだけ何十億もの時計が、あらゆる衝撃を受けながら、一台も逆まわりにならないとしたら、そちらの方がむしろ不思議ではないか」と思います。
詭弁で言っているのではありません。
科学の歴史の中でも例えば「石ころが動くことはいろいろな理由で考えられるけれど、大陸が動くというのは考えられない」という大陸移動説に対する反論がたくさん湧き上がりました。
その原理的なものが解明されて決着がつく前に
「誕生した時から様々な変化が起こってきたこの地球の姿形が、何億何千万年という流れの中にあって、ピタリと何も動かないままだと考える方が不思議だ」
という考えがきっとあっても不思議ではない思います。
⭐️
「時計は右のまわる」というのは物理法則ではありません。
〈北半球の日時計の影が動く方向を、そのまま機械時計の設計に採用した〉というように人間が決めたわけです。
物理法則に反して、落とした卵が床に落ちず空に登っていったというなら「これはすごいことが起こった」と思えます。でも人間が作った機械が逆に回ったというのは「そういうこともあるだろう」と考えてしまいます。
ということでこの記事に続けたいと思います。
時計の仕組みをみていきましょう。
動画でみると大きな壁掛け時計で、おそらくコンセントから電源をとっているように思えます(電池式だとしても同じです)。
なぜ時計は正確に時を刻めるのでしょう。
難しいと感じたら飛ばしてラストへ進んでください。
今どきの電池式の時計は、ほぼすべて〈クォーツ時計〉です。
クォーツ(水晶)は岩石の一種です。
電気を通す・電圧をかけると「32,768」回振動するようにクオーツを加工して、時計の中に仕込んであります。
この「32,768」回振動するという数字は、コンピューターや電子回路にとって「ぴったり1秒を作るための魔法の数字」です。
2を15回かけると、その数になるからです。
この2はコンピュータ得意の二進法が処理しやすい数です。
時計の中にはIC(集積回路)があってクオーツの振動をカウントしています。
電子回路が得意とする二進法の処理で32768回の振動が起こった時にちょうど1秒だと判断してモーターがカチッと右に1秒すすめるわけです。
では雷が時計を逆まわりにしたのは、水晶の振動が狂ったためでしょうか。
おそらく違います。
水晶の振動数は物理的な大きさで決まっていて、落雷の電磁パルスくらいではほとんど変わりません、水晶はそれほど頑丈です。
狂ったのは、その先のモーターにつながる〈回路〉です。
モーターには1秒毎に右回りさせる回路があります。

モーターは「+の電気」と「−の電気」が交互に送られていて、その〈+か−か〉の順番で右か左かが決まります。
雷の電気ショックで32,768をカウントするとても短い時間の中でON➡︎OFFの切替え信号をキャッチする回路にズレが生じた。
ON➡︎OFFの切替え信号がOFF➡︎ONにずれてしまった可能性があります。「右・右・右」と指示を出していた指揮者が、雷のショックで「左・左・左」と判断しはじめた、という可能性です。
もちろん専門家が回路を詳しく調べなくては本当のところはわかりません。
とはいえ、はじめに書いたように、何億何十億とある時計に何らかの不具合が生じ、たとえば「雷で逆まわりになった」という現象あり得ないわけではない、と考えてよいでしょう。
もっと丁寧に説明したい気持ちになりつつも、ここから先は〈たのしい教育メールマガジン〉の領域だという感じがするので、ここまでにしておきます。
今日の記事の感想はどうだったでしょう。
このサイトを読んだAさんの感想もたのしみです。
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