宇宙教育でアメリカで授業することになった頃、大学の先生や技術者の方たちから「いっきゅう先生、学校では3.14ではなく〈3〉で計算するんだって? そんなことでいいのかね、どんどん学力が低くなっていくと思うんだけど」というような質問を受けたことがあります。ちょうど、文科省が授業時数の削減にともなって内容の改革にも手を入れた頃でした。
自分の子どもが学校でそうならってきて驚いたという人もいました。
曰く「日本の子どもたちの学力がどんどん低下していく」
「いや逆に、生きた学力、使いたくなる知識が増えていくんですよ」
自信をもってそう答えてから時が経つと、文科省自身が元の〈3.14〉に戻してしまいました。
3.14より3の方がずっとよい、という話についてはこのサイトのどこかに書いてあります、かなり反響の大きかった記事でした、興味のある方は探してみてください。
今回はちょうど知人と話した〈雷と概数の話〉を書きたいと思います。
「雷が光ってから音が聞こ聞こえるまでの時間が長いほど、その豪雨の中心から遠いんでしょ?」
という質問に「うん、秒数に300をかける、って覚えているといいよ」と伝えて紙に書いて説明しました。
秒数 × 300 = 雷までの距離(メートル)
「たとえば、ピカッと光ってから6秒でゴロゴロ、と聞こえたら?」
「6×300だから…1800メートル。2キロ近く?」
「そう、そう」
音の速さは〈秒速340メートルほど〉です。
なので「340をかける」というのがより正確に近い数字がでます、でも正確ではありません。
気温が15℃の場合、音の速さは340mちょうどではありません、〈340.39 m/s〉です。
気温が20℃の場合は〈343.42 m/s〉です。
つまり教科書で書いてある340m/s は気温15℃の時の〈概数〉です。
しかもその数字を使って暗算しよう、計算しようという気持ちにはなかなかなりません。
だいたい300m/sという数字なら暗算しよう気持ちになります。
山でキャンプしている時、カミナリの光や音をキャッチしたら家にいる時より注意して、そのカミナリがどれくらい近いのか判断する必要があります。
光ったら時計をみて音がなるまで何秒くらいか確認します。
光の速さは秒速30万キロメートルですから、雷が光った瞬間に私たちの目に届くと考えて大丈夫です。
音が聞こえるまで1秒ならカミナリ本体まで300mくらいです。
2秒なら600mくらいです。
624m28cm というようなcmまで詳しい数字は特に必要ないでしょう。
340mという数字でも概数なわけです、しかもそれでは暗算がめんどうです。
ここで、冒頭の「3.14より3」の話とつながります。
大事なのは、細かい数字を覚えることではなく、使える形で持っていることです。概数は、いいかげんな数ではなく、使う、使える数です。
ちなみに花火も同じです。
光をみてから、ドーンという音が遅れて届きます。
その花火まで距離もおおよそつかむことができますよ。
楽しんでみませんか。
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