エリック・カールさんの〈4回目〉になります。時々いく本屋さんにもカールさんのコーナーがありました。たくさんの人たちがカールさんの作品に影響をうけたに違いありません、その一人が私です。
今回は子ども達も私も大好きな、音の出る絵本「だんまりこおろぎ」を紹介したいと思います。
手元にあるその絵本は何百回も開いたからでしょう、もうすでに音はでないのですけど、その価値は衰えません。
今はその時の半分くらいの大きさの絵本になっているのですけど、もし本屋さんにいく機会がありましたら、ぜひ音を聞いてみてください。
前回のインタビューの続きにこういう内容があります。
質問
あなたの本には、どうしてあんなに小動物が出てくるのですか?
カール
小さな生きものたちがすきだからでしょう。私の父は小さな生きのたちの中に美しさをみつけだす人でした。私は、父からそれを学んだのです。
カールさんが、幼い頃(ドイツにいたころ)のことを書いた文章もありました。
アリやカブトムシやイモリやケムシに対するこの愛情と好奇心を、私の心に芽生えさせたのは父である。父は私を野原や森につれていき、石や枯れ葉をもちあげて虫を探して歩きながら、見つけた小さな虫たちの、ときにはかなり風変わりな生活について話してくれた。そのあと必ず、父は虫たちを注意深くもとの場所にもとし、石や枯葉でおおった。・・・
カールさんが動物たちが好きなのはお父さんの影響が大きかったんですね。
では少しもどって、絵本「だんまりこおろぎ」の紹介です。
これは「だんまりこおろぎ」の絵を前にしているカールさんの写真です。
ぽかぽかあたたかいある日、こおろぎぼうやが生まれます。
大きなこおろぎが羽をこすって「コロコロ リリリ・・・元気に生まれておめでとう」とあいさつしてくれます。
こおろぎぼうやも、あいさつしたくて羽をこし・こし・こし・・でも音が出ません。
その後もばったやかまきりなど次々にいろんな虫たちがあいさつしてくれるので、こおろぎぼうやも羽をこすってあいさつしようとしますがやっぱり音が出ません。
しんとだまって、うすみどりの 蛾が、夜の空を通り過ぎました。こおろぎは、しんみりだまっているのもいいものだなと思いました。
その蛾がひらひらおともなくとおりすぎたあと、こおろぎは なかまのおんなのこを見つけました。こおろぎはそのこにあいさつしようともう一度はねをこすると・・・
ラストのページをひらくと、コオロギの鳴き声が聞こえてくるのです。
初めてこの本を読んだ時、自分がとても感動して絵本まつりには必ず子供達とたのしんだ絵本です。
今は音の出る絵本、動く絵本、飛び出す絵本、立体絵本、3D絵本、仕掛け絵本、パズル絵本、布の絵本…、本当に様々な絵本ががたくさんありますが、初めてこの本を買った頃は、あまりなかったのでとてもワクワクしながら紹介していたのを思い出しました。
文中に、蛾がしんとだまってとおりすぎるのをみて、しんみりだまっているのもいいもんだなと思いますよね。そのあと、とても静かな仲間のおんなのこをみつけていくところ、こおろぎのことを知っているからこの流れにしたのかなと思いました。
それから、こおろぎの呼び方が「こおろぎぼうや」から「こおろぎ」にかわっていきます。
カールさんの原書がそのような文章なのか、訳のくどうなおこさんの感性なのかわかりませんが、なるほど〜と思いました。
さっきの写真の下に「〈だんまりこおろぎ〉は愛についての本です」というカールさんの言葉が記されています。
とてもとてもすてきな言葉だなと思います。
子ども達そして子どもの様な大人たちにたくさんのプレゼントを残してくれたエリック・カールさん。
いっきゅう先生が「ピカソという偉大な芸術家がいるけれど、その顔を見ると、そばに寄れない感じがするんです。でもカールさんの顔を見ていると、すぐそばに行きたくなります。
きっと〈子どもが大好き〉で〈子ども達の笑顔〉がみたくて仕事をしている人は、そういう顔になるんだろうなぁ」
という話をしていました。
そういえば、たのしい教育研究所(RIDE)に来る先生たちの顔は、近づきたくなる様な顔をしています。
エリック・カールさんの記事はひとまず、今回までということで、また、機会がありましたら書こうと思います、おたのしみに。
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