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夏目漱石の英語の実力 たのしい英語教育で夏目漱石ほどの英語力を持った人が生まれるのか。

〈たのしく英語を学ぶ〉ということもたの研のテーマなので、書店どでよく英語の本を手にします。

 ところでかつての日本人は英語を学ぶことで給料をはじめ、社会的な位置もかなり上がっていったので、石にかじりついても的に苦学もいとわない学びが普通でした。

 そうやって英語を学んだ人たちの一人に文学者の夏目漱石(なつめそうせき)がいます、「吾輩は猫である」「ぼっちゃん」「草枕」etc. 日本文学史上に残る作品を数々生み出しました。

 夏目漱石は文豪として有名になる前は東京帝国大学(今の東京大学の前身)で英語の先生をしていました。

 実際かなりの実力者で、ある学生が「辞書を引くと、夏目先生の訳した◯◯の訳は違っていました」と言ったところ、即座に「そんなウソが書いてある辞書は直しておきなさい」と答えたという話も好きなエピソードです。

 もう一つ、知っている人もいると思うのですけど、本当にそうなのかはけっこう怪しい。けれど夏目漱石ならそう言ったかもしれないなと思わせるエピソードがあります。

英語の授業で、ある小説に出てきた
I love you.
という英文の訳を学生にあてたところ、その学生は
〈私は あなたを 愛しています〉と答えた。
 夏目漱石はすかさずこう語ったといいます。
「日本男児はそんなことは言わない、こういう時は〈月がきれいですね〉と訳すんだ」

 その訳にもいろいろな意見があると思うのですけど、そういうエピソードがまことしやかに伝えられるほど彼の実力は、はなはだしく高かったのだと思います。

 たのしい英語学習で、夏目漱石レベルの人たちが生まれるのか?

 石にかじりつくかの様に勉強したからそのレベルに達したのか?

 たのしい教育を人生のテーマにした以上、そういう問いを避けてはいけないでしょう。

 私は、たのしい英語教育の中から、夏目漱石を超える人たちが生まれてくるのだと思っています。
 今はまだ〈たのしい英語教育〉といえる様な体系化された英語教育はありません。たのしい教育を学んだ人たちが、そういう教育を生み出してくれるだろう、そのこともまた私のたのしみの一つです。 

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