カウンセリングを学んでいるみなさんへ/カウンセリングする時にとても大切なこと②

先週のカウンセラー協会で担当した講座
「インディビジュアルサイコロジー/アドラー心理学」の反響が届いています。
うれしいことです。

後半は私が開発したLEAPカウンセリングのテキストを元に
「選択肢を一緒に考え、タイムリミットを決めて実験する」という手法で問題解決の方法にすすみました。
そこでワークした「選択肢⇨実験」という流れがとても斬新だった様です。

images2選択肢を出す、という技法に目がいきすぎると困るところもあるので、少しその前の大切なことを書かせてください。
コースの前半で丁寧に
「敵に回ってはいけない/仲良くなるという関係が基本です」
と伝えましたが、そのことと深い関係があります。

カウンセリングに興味を持っている方だけでなく、前回私のコースを受けた方たちにも読んでいただけたらと思っています。

カウンセリングをしていると
「どうしてこういうところで苦しむのだろう?」
という場面に遭遇することがあります。

「どうしてそこで怒らなくてはいけなかったのだろう?」
ということもあります。

カウンセラーとしての自分がそういう精神状態の時、こちらからのアドバイスや選択肢は、ほぼうまく相手に届かないことがほとんどです。

ですから、まだまだ一緒に選択肢を考えている段階ではないのです。

相手の心の状態が違和感なく、自分の中にはい込んだ。
わたしの好きな、古い表現で言えば
「腑に落ちた」
という状態になってはじめて選択肢を立てることが可能になります。

images-3

相手の行動を全て肯定しなくてはいけない、ということではありません。

「やってしまったね」ということだってあるわけです。
たとえば「娘の携帯を取り上げて割ってしまいました」という話がありました。
それはうなづける行動とは言いかねます。

しかし、クライエントのそれまでの長い歴史、その時の心理状態、混乱している状況が自分の中で腑に落ちた時、その人のその行動が「理解できない」ということはないのです。
もしかして、自分が同じ状況、同じ歴史を背負っていたら、こういうことがありえたかもしれない…

そういう段階になってはじめて、それを解決に向かう可能性のある「選択肢」を考えるのです。

カウンセリングというものは正に生ものです。
今ここで目の前にいる方とのダイナミックなやりとりです。

相手の敵になって成り立つものではありません。
あくまで目の前のその人の味方でいる。
その困った状況を自分ならどのように一緒に突破できるか、それをひっしに考えるのです。

以上

アドラー心理学/インディビジュアル・サイコロジーと全体論

ミュージシャン松任谷由実の「海を見ていた午後」という作品があります。

切ない歌は苦手なのですけど、なぜかこの作品は大好きです。
情景がきれいに浮かんでくることと、おそらくこの女性が、もうそんなに苦しんでいるわけではないからなのでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=0uEZ_AyFp7k

♫   
あなたを想い出す
この店に来るたび
坂をのぼって今日も
独り来てしまった…
山手のドルフィンは
静かなレストラン
晴れた午後には 遠く 三浦岬も見える

ソーダ水の中を 貨物船が通る
小さな泡も恋の様に消えていった

あの時目の前で
思い切り泣けたら
今頃二人 ここで 海を見ていたはず

窓にほほをよせて
かもめを追いかける
そんなあたなが見える 今もテーブル越しに

紙ナプキンには
インクがにじむから
「忘れないで」って
やっと書いた 遠いあの日…
♫  


映像がすぐに目に浮かんでくる様な作品です。

gogo_2

この文章も実は、のんびりとソーダ水、まあ私が大好物の単なる炭酸水なんですけど、それを飲みながら綴っています。

 

さて、先日カウンセラー協会で、個別に幾つかの質問を受けました。
その中にカウンセラーの同業者としての専門的な質問が幾つかありました。

「正対の技法についてもう少し知りたいです」
「全体論の内容が興味深いです。言葉も行動も全体としてみるということですか?」
「非支持的なカウンセリングしか知らなかったので、今日の講座はびっくりしました。喜友名先生がカウンセラーも選択肢を出す、と話していましたが、それをもっと聞きたいです」
という様な内容がいくつも上がっていました。

 講座中も話したのですけど、わたしが担当したのは、わずか3時間ですから、全部を把握しようというのは無理です。ぜひ、その3時間をきっかけにして、自分でもいろいろ学んでいただけたら、とても嬉しく思います。

 その学ぶ刺激になればと思い、今回は「全体論」について少し書かせていただきます。

「全体論」は、アルフレッド・アドラーが自らの心理学を「Individual-Psychology/個人心理学」と名づけたことと深く関係する、とても重要な理論です。

 Individual(個人)の言葉の成り立ちは、In-dividual です。
“in”は「否定」の意味です。dividualはdivide(分ける)の派生語です。

つまりindividualは「これ以上分けることができない単位」という意味で「個々の」「個人の」というイメージの言葉なのです。

スクリーンショット 2015-08-10 16.59.42スクリーンショット 2015-08-10 16.59.58
Divide(ディバイド/分ける)できない存在が個人In-dividual です。
そもそも個人を分割したら死んでしまいますからね。

  アルフレッド・アドラーは、支援する対象のその人を、「個人」つまり「分けることができない全体」として捉えました。
生命としてだけではなく、行動も考え方も全てのものにおいて、です。

「あなたはこの時はこうですよね。しかし、この時はこういう一面がありますね」
ではなく、たとえば
「職場で悲しむのも、家で怒るのも、あなたが自分のことをもっと注目してほしいという目的でとっているのではないでしょうか?」
というように、矛盾のない一本の線で解釈するようにしたのです。

 結果して、その見方・考え方をすすめることでカウンセリングはとてもうまく進むことがわかりました。
ですから Individual-Psychology は「全体として相手をみる」ことと不可欠です。

 さて、冒頭の歌詞をよく読んでみませんか。

 主人公の女性は

あの時目の前で
思い切り泣けたら
今頃二人 ここで 海を見ていたはず

とつぶやいています。

 しかしわたしのカウンセラーとしての眼でその歌詞を読むと、そのままうなづくことはありません。

あの時、その男の人の眼の前でたくさん泣いても泣かなくても、結果として別れることになったのではないか、という選択肢が浮かびます。

 少し話は外れますが、別れるということは、表面的に悲しいことに思えるかもしれませんけど、人生全体としてみると、あながち悪いことではない可能性もあるのです。
痛い思いをした結果幸せになったということは実際、いくらでもあるからです。

話を戻しましょう。
特に人間関係というものは、その時にある行動をとったからということで流れが大 きく変わるということは、あまりありません。

単にひとつの行動を観て、と思われる様なことも、実は「Individual」 つまり 一人の個人として、矛盾ないその人全体としてみて関わっているからです。
ですから、たまたまそこで泣いたとか泣かなかったという行動一つが、二人の関係に大きく影響するとは思えない。
それまでの行動、スタイルといったものの全体の中で、たとえば「思い切りなかない」という選択を、その女の人はしていることが多いのです。

ちなみに、全体論を説明しようとする時に、たまたま頭に浮かんできたものを紹介してみたでけで、わたしは、歌をいつもこんな風に分析して聴いているわけではありませんので、誤解なきように。

 興味をもっていただけた方は、またわたしの講座を受講してください。

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LEAPカウンセリング/選択肢の無い課題や問題というものがあるのでしょうか?

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サークルの仲間たちが丁寧に編集してくれたものです。

教育カウンセラー協会の「カウンセラー養成講座」で講座をすすめている時に、いろいろな方たちが興味関心を持って下さったようでした。

こういう理論編に加えて実際のワークがたくさん載っています。

スクリーンショット 2015-08-07 23.26.21   それらをバージョンアップして、たのしい教育研究所で、講座をすすめる準備に入っています。
カウンセラー要請講座で、その中から2つを試してみましたが、評価がとても高かったので、満足しています。

早めに、仕事を整理しつつ、実践的なカウンセリングができる人たち、そして自分の悩み・課題といったものとたくましく向き合っていける人たちを育てていきたいと思っています。

カウンセラーの仕事がなくなるという事は無理でも、多くの人たちが、カウンセリングを必要としない姿を目指しています。

ご期待ください。

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LEAPカウンセリングワーク「不安や悩みを整理しよう」

沖縄カウンセラー協会からの依頼で今週の金曜日、インディビジュアル・サイコロジー(アドラー心理学)の講座を担当します。

たのしい教育研究所で準備をすすめているLEAPカウンセラーコースの準備も兼ねて、以前からまとめていたシートを整理しています。

まずまとめたのは「不安や悩みを整理しよう」というワークシートです。
以前から、抑うつ的な症状に有効でしたが、さらにブラッシュUPできそうです。

体験希望の方は、
https://tanokyo.com/archives/6160にお申込みください。

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たのしい教育活動だけでなく、実践的カウンセリングを広める活動にも力を注いでいる、たのしい教育研究所です