先に紹介した安野光雅の算私語録の「日付変更線」と同じページにこういう文章が載っていて、とても考えさせられます。
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一九七九年九月二十三日の毎日新聞にのった中尾光昭のワシントン支局からのレポートが印象的である。
「日本の数学教育のレベルが不当に高すぎるという人もいる。日本の子供たちは、詰め込み教育だからテストの成績は良いが独創的な問題解決の能力では劣っている、と言う人もいる。本当はどうなのだろうか」というのである。たまたま、教育向上の全国評価という、公共機関が行った全国のテストの結果が発表された。
対象は小学四年生、中学二年生、高校三年生で七万一千人であった。
問一(高校三年生の問題)
あるトラック運送会社はトラックの減価償却率は年二五%と見積っている。購入価格が六二〇〇ドルだったとすると一年後のトラックの値打ちはいく
らか。
問二(中学二年生の問題)一匹のウサギが毎週二ポンドのえさを食べる。 一年は五二週だ。五匹のウサギは一週間に何ポンドのえさを食べるか。
問三(小学四年生の問題)
九の三分の二はいくつか。
問一の正解者は全体の四分の一、問二の正解者は二分の一弱、問三の正解は一割強だった。
テスト全体では、一〇〇点満点で高校三年生は四八点、中学二年生は五一点、小学四年生は三七点だった。 (平均点)「遠山啓氏は子供達は落ちこぼれる”のではなく、落ちこぼされるのだ”というのが持論だったそうだ」と、このレポートは結ばれている。
安野光雅 算私語録 p241-242
結局「テストに出るから覚えるように、解けるように」と学んでいくことは、本質的な学力には結びつかないといえるでしょう。
安野さんは学校の先生をしていたこともあって教育に深く関心をもっていました。算数数学の絵本もいろいろあります。興味のある方はぜひ図書館などで手にしてみてください、〈たの研〉にも置いてあります。
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