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野田俊作先生から学んだこと@「権利」について

 12月からはじまるコース『OPTIONS』のプログラムづくりの過程で、私のカウンセリングの師の野田俊作先生から学んだことをかなり読み返しました。
 次の話はクラスなどのルールづくりのときにベースになるものだと思います。
 とはいえ、教師と子どもは別だ、教師は大人だ、子どもとは違う特権があるというように考える人たちには伝わらないでしょう。

 仮に特権があるのだとしたら子どもたちの側です。子どもたちは学校に来なくても罰則はありません。教師が学校に行かなくなったら処分されるでしょう。

野田
 人間の権利、個人の権利というものは最大限に擁護したい。

 それは生きる権利、集団に所属する権利からはじまって、たとえば自分の好みの服を着る権利、好みの髪型をする権利、それから、閉じ込もって家布団の中にもぐって寝る権利までですね、すべての権利を保証したい。
 その一方で、人間の責任というものやはり考えたい。
 およそ一つの権利を主張すれば、必ずいくつかの責任が伴うと思います。一つの権利を主張することでどれぐらいの責任が伴うかといいますとー
 まず第一に、それと同じ権利、自分が主張しているのと同じ権利を他人にも認める責任があると思いますね。
 私は大きな声で話をする権利がある、あなたは黙っていなければならない、これではとても不平等な人間関係だと思いますし、よい人間関係はとうてい保てないと思います。
「私は黙っている権利がある、けれどもあなたは黙っていてはいけない」というのもいけないと思うんですね。
 自分とまったく同じことを他人が主張できるように、それを認める責任があると思います。
 第二番目に、自分の権利を主張した結果起こるさまざまなことを、ちゃんと自分の行為の結果だと認める責任があると思いますね。
 あることを言った結果、他人を傷つけた。その人が私に対して「あなたの言い方で私はとても傷ついた」と言ったとすると、それは私が意図していなかったとしてもやはり私の責任だと思うのです。

「あなたを傷つける気はありませんでした。けれども、もしあなたが傷ついたのであればそれは申し訳ありません。これからそのようなことを言わないように気をつけます」と言わなければならない。「私はそんなつもりはないんだから、あなたは怒ることはないだろう」と相手を非難してはいけないということですね。
 第三番目に、あらゆる権利主張をするときに、共同体を破壊しないように、もっと具体的にいうと、他者を傷つけないように配慮する責任があるだろうと思います。
「共同体を破壊する、他者を傷つける権利はないのだ」ということです。
 したがって、たとえば殺人の権利というものはないのだと。
  人を殺す権利を主張する…、そのときに「私はこの権利を主張します。あなたにも認めます。あなたもどうぞ他の人を殺して下さい。私を殺して貰っても結構です。お互い殺し合いをして強い方が勝ち残りましょうよ。その結果死刑になってもいいです。その社会的責任をとります」と言われても困る。

 もしもこの権利を認めますと、共同体そのものが存在しなくなりますね。ですから、このような権利は、取り決めによって「ないことにしておこう」というふうに考えます。
 ですから人を殺す権利だとか、人の物を奪う権利、とかいうものは、これはないのだということです。
 もう少し小さなところでは、相手を意図的に傷つけるために、相手を罵倒するとか、相手が傷つくようなものの言い方をするとかいう権利はないのだということです。それは、そういうことをしない責任があるから、それはできないのだというふうに考えていただきたいと思うんです。

『続アドラー心理学トーキングセミナー』より

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