沖縄の学力についての話、「小学生の学力テスト得点が全国的に平均レベルに達してから伸び悩んでいる状況をいかに突破するか?」という話をしたことがあります。テスト得点をどうするか、というより「こども達の本質的な力をどうのばしていくか」がカギです。具体的には全国でまだ取り組んでいない〈たのしさ〉へのシフトです。「学校に行くのがたのしい」「先生ともっとこういう勉強をしたい」そういう子どもを増やしていく、そうやって子どもたちの本質的な力が高まっていくことで時間はかかっても着実に沖縄県全体の〈力〉が高まっていきます。それはたとえば政府との交渉力とか、基地の問題をどうしていくかという大きな問題の解決にもつながるでしょう。
という大きな話だけでなく、具体的にどうするかという方法論がセットなのが〈たのしい教育〉です。
たとえば海に行った時、そこでたのしむ事のできる題材をこども達にどんどん伝えていくことです、そのためにもまず大人がたのしむことです。
これは以前撮った写真です。
足を海の中に入れて食べ物を波にのせ、しばらく静かにしていると〈カニ〉がやってきました、30分くらい待つ気持ちがあれば必ずなにか生き物たちと会うことができます。
アウトドア用のナベにすくってみましょう。
みているとカニを中心に波打っているのがわかります。
この波の模様(波紋)は、カニの口から発生していることがわかります。
カニはエラ呼吸なので、水を取り入れて吐き出しているのでしょう。
そうか、陸上でカニがアワをぶくぶく吹いていることがあるけれど、それはつまり呼吸しようとがんばっているということなんだろう。特別なことではなく常日頃から口から水を吐き出しているわけだ。
ところで食事中にはこの波紋は立たないのでしょうか、どう思いますか?
食べ物を前に置いてみましょう。
ハサミをのばしてパッととり、食べ始めました。
食べながらも波紋は続いています。
私たちも食事しながら呼吸もしますから、わかってしまうとそれはそうだということなのですけど、こういうことも予想チャレンジしなくてはハッキリしません。
この波紋、吸い込んだ水を口から出しているのはわかるのですけど、水鉄砲の様にシューッと出しているわけではありません。
プップッというように断続的に出している様にみえます。
15分くらい観察していたので、そろそろ自然の中にかえしてあげることにしました。
こういう時間を、〈たの研〉の先生たちはとてもたのしんでくれました。中には「はじめてカニに触りました」という人もいました。
大人がこうやってたのしめる教材を少しずつ増やしていく、そのたのしさは子どもにかなりの確率で伝わります。
準備された答えを知ることを超えて、たとえばこの様に、出会ったカニと戯れながらいろいろなことを学んでいく先生たち、大人、そしてこども達が育っていく。そういう姿がいろいろなところでみられるように、たのしい教育研究所は今年度も元気にたのしく活動していきたいと考えています。
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