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〈たのしい学力向上〉と〈家庭学習〉/読者の方からの質問に答えて①

 読者(沖縄県の小学校の先生)の方からこういう質問が来ました。「自分が子どもの頃は家庭学習を自分で決めてすすめていたのですけど、今、学校では〈今日の家庭学習はこれこれ〉という様に指定するのが普通になっています。いつからそうなったのですか?」という内容です。
 学校の学力向上推進の話合いの中で「先生が家庭学習の内容をちゃんと指示してくれなかったので、家庭学習をやってきませんでした」という子がいて、それが一人二人ではないということがわかったのだそうです。

「家庭学習というのは自分の力を高めるためにとりくむものであって、ここをやるようにと言われたらやる、そうでなければやらないというものでよいのか?」それが、質問してくれた先生の問題意識のようです。

 みなさんはどう考えますか?

 私は大学を卒業して1984年から小学校の教師をしてきましたから、今の若手中堅の先生たちより、学校の教育に長く関わってきています。私が大学で学んでいた頃、沖縄県の教育委員長をしていた大浜法栄(おおはま ほうえい)氏が著した「教師は学力低下の最大責任者」という本が話題になっていました、1979年の出版です。

 大浜方榮は沖縄県医師会の会長をしていたのですけど、教育に関わるようになり、教育委員長の位置につき、のちに自民党参議院議員となり、農林水産政務次官をつとめています。※写真は著書(上記)から


 教師に最大の責任があるのか、行政に責任があるのか、社会環境にあるのかなど、最大の原因を誰にもっていくのかは別にして、次第に沖縄県のこども達の学力の低さは教育界の大きなテーマとなり、1988年には沖縄県教育委員会の取り組みとして正式に「学力向上対策」がスタートすることになりました。それは現在も続いていて、数えると34年目に入ったことになります。
 学力テストの得点を〈学力の数値〉だといってよいのかどうかは別な議論として考えておく必要があるのですけど、小学校では全国学力テストの得点で全国平均を上回る位置にいます。中学校は次第に全国との差を縮めてきています。

 

 沖縄県教育委員会のデータからhttps://www.pref.okinawa.jp/edu/

 実は家庭学習の出し方についてもこの学力向上の取り組みとかかわりがあります。

 沖縄県の学力向上対策の中で「家庭学習を授業と結びつけていこう」という指導が行われ、次第に、こどもたちそれぞれの問題意識による家庭学習ではなく、学校の授業の補完という位置付けになっていきました。これも私が教師を初めて数年後のことだったと記憶しています。

 学習が進んだ子ども達はどんどん先の内容を家庭で学習したり、算数が苦手だという子が前の学年の内容に戻って家庭学習していくスタイルはなくなっていき、「国語教科書の◯ページから◯ページまで写本」とか「算数の◯ページの問題」など、教師が指定するスタイルになっていったわけです。

 質問してきてくれた先生は、これで「なるほど」と納得したわけではありません。はじめに書いたような問題意識がひかえていたからです。

「はたして、こういうやらされ型でいいのか?」
「家庭での学習が〈学校の7校時目〉として位置付けられるようなものになっていないか・・・」それを一人の教師として問いかけているのです。

 たのしい教育側の答えを書くのは簡単ですけど、読者の皆さんの意見も聞いてみたいのでワンクッションおかせてください。

 先生中心の指示・指定型の家庭学習のままでいいのか?

 みなさんはどう考えますか。意見を聞かせていただけたら幸いです。

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