学校教育は変わらなくてはならないのか、今のままでよいのか?ー最新号のメールマガジンから

 たのしい教育メールマガジン最新号の発想法は「そもそも学校教育はかわらなくてはいけないのか?」というタイトルで書かせていただきました。その中の一つにこういう問題を入れました、一緒に考えてみませんか。

問題

小中学生の不登校児童生徒の数や比率(1000人あたり)は増加中か、増加傾向が止まったか減ってきたかについて予想してください。

 ア.増加中

 イ.増加が止まった

 ウ.減少中

 エ.その他

どうしてそう予想しましたか?

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考え中

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考え中

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 ここ20年くらいの流れをごらんください、縦軸は1000人あたりの不登校の子ども達の数です。

 点線で囲んだあたりは(1999~2014年)不登校の子どもたちの比率が横ばいで、その後また上昇しています。

 元は不登校のこどもたちの数が少なかったのに、ここ数年で上がりはじめたのでしょうか?

 その前の統計をみていきましょう。

 1966年から2014年までの流れ、数は総数です。西暦和暦という表記の違いがあるので上の点線で囲んだ年代を次のグラフにも表示しました。※私的な表記ならいいんだけど、もうそろそろ公的なデータは西暦にしてもらいたいな、ややこしすぎる

「不登校児童生徒の推移(1966年度~2014年度)」

出所:文部科学省 学校基本調査
http://www.waseda.jp/sem-fox/memb/20s/abe/abe.index.html

 二つを合わせてみると1960年代からずっと不登校の子どもたちは増え続け、2000年あたりからしばらく増加が高止まりしていたが、2015年あたりからまた上昇しはじめたことがわかります。

※ちなみに不登校の数の上昇が止まったのは〈ゆとり教育〉が実施された頃とある程度重なります

 この統計のみで〈学校は変わらなくてはならない〉と考えるのではなく、もっと多角的にみていったのが、今回の発想法の章でした。興味あるみなさんは購読をお勧めいたします。
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たのしい教育を学ぶ 真ん中の数・平均の考え方

 たのしい教育を学ぶ先生たちとの一コマです。

 いったい子ども達を高めるというのはどういうことなのか?

 それは教師自身の可能性も高めていくこととセットです。

 

 これは算数の見方・考え方の根幹について伝えているシーンです。

 指で示しているように、5人を並べると〈真ん中〉は3番目のこの子、という様にはっきりします。

 では〈1以上5未満〉という時の〈真ん中〉はどれなのか?

 1以上5以下なら〈3〉でよいのは分かる。

しかし今回は1以上で5未満、つまり5は含んでいないではないか、はじめにある様な5人並べた真ん中とは量的に違うと思う。5に達していないという数なのに、
(1+5)÷2=3
というのはどうも納得いかない。

そう思った先生がいます、みなさんはその問いをどう考えるでしょうか?

 こどもがそういうことを言ったら何と答えるでしょうか?

 こういう疑問を言葉にできる力は大切です。

 そしてその疑問と真剣に向き合う姿勢もとても大切です。

 ここに私の答えを書く紙面はありません、けれどこの問いはとても重要な問いであることは間違いありません。そして重要な問いであれば、たのしい問題に違いありません。

 たのしい教育研究所では、ものづくりや、カウンセリングなどいろいろなことを学べます。その一つが教科書の内容の根幹を伝えることです。

 興味のある皆さんは、お問い合わせください。

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たのしい算数 順序よく並べる その前に〈教師のたのしい工夫〉の必要性を

〈たの研〉に来る保護者の方たちからの相談には、ゴールデンウィーク前後から不登校の相談が増えてきます。その中で「去年まではそういうことはなかったのだけど、新しい先生になってから〈勉強がおもしろくない〉〈授業がわからない〉という様になった」と話す方が一定割合います。

 カウンセリングの話はまたの機会にして、授業の話を書かせてください。

 公立学校の授業で扱う内容は〈学習指導要領〉に書かれていて「教えることになっている」と教師は考える、その感覚は「はい、今日は教科書の◯ページです」という言葉にも表れて、そこから伝わる〈やることになっている感〉ははっきりと子ども達の心に刻まれます。

 教師の〈やることになっているからやる〉というスタンスは「あればあるでよいけれど、〈たのしさ〉は特に無くてもかまわない」という発想にもつながります。

 しかし指導要領の根幹は「主体的・対話的で深い学び」です、〈やることになっているからやる〉というのを「主体的」とはいいません。

 この矛盾をどうしたらよいのでしょう。

 学習指導要領について編成側の〈文科省〉の説明をみてみましょう。※下線はいっきゅう

「学習指導要領」では、小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めています

 また、これとは別に、学校教育法施行規則で、例えば小・中学校の教科等の年間の標準授業時数等が定められています。

 各学校では、この「学習指導要領」や年間の標準授業時数等を踏まえ、地域や学校の実態に応じて、教育課程(カリキュラム)を編成しています。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/1304372.htm

 学習指導要領で定めているのは〈大まかな内容〉であり、各学校では〈地域や学校の実情に応じてカリキュラムを編成〉していると記しています。

 ところで学習指導要領は法律ではありません、それより遥かに拘束力の高い〈学校教育法〉には

教諭は、児童の教育をつかさどる。

学校教育法第 37 条第 11 項

とあります。

 学習指導要領に記された大まかな内容を、子ども達が主体的・対話的に深く学ぶ、その教育を先生が司るのです。

 教科書は学習指導要領の大まかな内容を具体的に例示したテキストです。そこでも〈やることになっているからやる〉という感覚は、主体的・対話的で深い学びと矛盾してきます。

 〈やることになっているから学ぶ〉VS〈主体的に学ぶ〉

 いったいこの矛盾をどうすればよいのか?

 その矛盾を解くカギが〈たのしさ〉です。

 まず自分が学ぶことをたのしむ。教師自身の個性が輝いていくことで、こども達にもたのしさが伝わっていくでしょう。
「さぁみんな、今日のさんすうは〈並べ方を考えよう〉だよ、たのしんでいこうね」
ニコニコした表情でそう伝えることができたら、これまでと違う扉が開くはずです。

 具体的な問題で考えてみましょう。

 〈たの研〉で算数の解き方入門をしていると、確率系の問題が苦手だという先生たちがたくさんいることに気づかされます。

 確率は漠然とした状況であることを予測する時などとても重要なツールになります。「こっちの危険度とこっちの危険度はどっちが高いか」などを確率的に見ていくことでより安全な状況を選ぶことができます、確率的な見方考え方で命が救われることもあるでしょう。

 重要なものを学ぶのがたのしくないわけないのです。

 確率的な見方考え方を身につけていく過程で〈並べ方・組合せ方(順列・組合せ)〉が重要なテーマの一つになります。

 たとえば1から5までのカードがあります。これをいろいろな並べ方で一列においていくと、何通りくらいの並べ方があるでしょうか?
 この四角の中に1から5までの数字を入れていくわけです、12345と並べたり、逆に54321と並べたり。
 違う並べ方はいくつなのか小学生の感覚で考えてみてください。

 たとえば1の並べ方はいくつか?

 一通りです。

 1と2の二つのカードを一列に並べる方法は?

 1・2 あるいは 2・1 の二通りです。

1と2と3の三つのカードの並べ方は・・・

 123、132、213、231、312、321 の6通りです。

 こんな風に考えていくと、12345の5枚のカードの並べ方は何通りあるのでしょう。この四角の中に数字が入ると考えてみるとよいでしょう。

 

 ア.5通りくらいうありそうだ

 イ.10通りくらいありそうだ

 ウ.20通りくらいありそうだ

 エ.50通りくらいありそうだ

 オ.その他

どうしてそう思いましたか?

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考えてみよう

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考えてみよう

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 5枚のカードを並べるだけで〈120通り〉の異なるパターンが出てきます、この多さは、私にとって驚きなのですけど、みなさんはどうでしょう。

 計算ができる暗算できるという人は〈答えが当たった〉というそのことで嬉しくなってしまうかもしれません。けれどじっくり考えてみてください、たった5枚のカードで120通りですよ。

 もしあと5枚増やして1~10までの10枚のカードを一列に並べようとしたら、〈352万8800通り〉の並べ方があります、全部の並べ方を終えるまでどれくらいの時間が流れていくでしょう・・・

 この爆発的な多さに驚くのか、「計算でこうなるからこう」と無感動にテストに答えて終わるのか。

 一方が〈たのしさ〉、一方が〈無感動〉です。

 指導要領に書かれた内容をたのしく教えることによって、主体的・対話的で深い学びが可能となるのです。

「今年になって勉強がたのしくないというんです」という保護者が出てくるのではなく「うちの子は去年まで学校のことというと友だちのことばかりだったんですけど、今年、先生が担任してくれる様になって、勉強の話をしてくれる様になりました」そういう保護者の方たちを増やしてみたいと思いませんか。

 興味のある方は、ぜひたのしい教育研究所で学ぶことをおすすめします。学ぶ方法はとてもたくさんありますが、まず今月は〈初夏の講座〉の受講をおすすめします。
 内容は⇨初夏の講座2022

募集が始まり、参加申込みが増えてきました。席には限りがあります、受講したい方はお早めにどうぞ⇨申込みはこちら  〈初夏の講座の申込み〉と記入し、名前・所属・緊急時の電話番号を書き入れて送ってください。お会いできることをたのしみにしています。

 

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たのしいお話 「3人娘と悪魔」 予想してみよう

 前回の「三年峠」に続きます、それぞれ独立して読んでも大丈夫です。前回と違って出典は思い出せないのですけど、内容の幹は覚えています。私の脚色で書いてみましょう。

 あるところに三人の娘とお父さんが仲良く住んでいました。

 父親が仕事にでかけたある日、悪魔がやってきて娘たちに
「お前の父親の命をもらっていくことにする」と告げました。

 一番上の娘が「何とか一年だけその日を先に伸ばしていただけませんか」と願うと、悪魔は必死にたのむ娘の姿に打たれて
「分かった、願いを聞き入れよう」
と去っていきました。

 一年後、悪魔がやってきました、季節は〈春〉です。

「約束通りお前の父親の命をもらっていく」

 すると二番目の娘がいいました。

「姉の願いを聞いてくれたのですから、私の願いもお聞き下さい。
 この季節が終わるまで、父の命を奪うのはまっていただけませんか」

 悪魔は困りましたが、それくらいならと考え
「分かった、願いを聞き入れよう」と言い、去っていきました。

 季節がハッキリ変わりました。
 時は〈夜〉、父親が眠りについた後、悪魔がやってきました。

 「約束通りお前の父親の命をもらっていく」

 すると三番目の娘がいいました。

「姉たちの願いを聞いてくれたのですから、私の願いもお聞き下さい」

 悪魔は困りましたが「まず願いを言ってみろ」と伝えました。

 三番目の娘は「このロウソクが燃え尽きるまで、父の命を奪うのは待っていただけませんか」と言いました。

 悪魔は、それくらいならと考え
「分かった、願いを聞き入れよう」と言い、去っていきました。

 それからもう二度と悪魔は現れませんでした。
 三人の娘と父親は通り仲良く幸せに過ごしていきました、とさ。

おしまい!

というお話です。

さて、この四角の中にはどういう言葉がはいるでしょう。

考えてみませんか。

こども達が出すいろいろなアイディアについて、「うん、いいねぇ~」「なるほどね」とか「当たっているといいね」という様に答えてあげてください。このお話の結末より、もっといいアイディアが出てくるかもしれませんし、違っていても、予想したそのアイディアはその子の賢さにつながります。

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予想してからね

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 四角の中にあるのはこういうワンフレーズです。

「すると三番目の娘は、フッと息をかけ、ろうそくの炎を消してしまいました」

 でうでしょうか。

 私の好きな話の一つです。

 ぜひ学校や家庭で話してあげてください。

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