大学入試問題漏洩事件と夏目漱石

 今年のセンター試験中に問題が外部にもれ、その解答を手に入れようとしたという話があります。

 そもそもインターネットで答えを得られる様なものを問題にし続けているというのが時代にそぐわない。そういう明治時代的なものを続けていくのではなく、インターネッっとで検索したり〈教えてコーナー〉で答えを得ることができない高度なものを問いかけて、新しい時代を切り開く子ども達を育てていく構造にシフトしていかなくてはいけないと思う。

 そういう話を身近な人たちにしていました。

 ところで日本の誇る文学者〈夏目漱石〉はカンニングをして大学予備門(今でいえば東大の教養学部)に合格したという話を知っていますか?

 嘘だろうと思うかもしれませんけど本当のことです。夏目漱石本人の文章を書き抜いてみしまょう。

 夏目漱石のエッセイ「私の経過した学生時代」より
 青空文庫 https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/2677_6506.html

 

 大学予備門の入学試験に応じた時のことであるが、確か数学だけは隣の人に見せて貰ったのか、それともこっそり見たのか、まアそんなことをして試験はっとすましたが、可笑おかしいのは此の時のことで、私は無事に入学を許されたにもかかわらず、その見せてれた方の男は、可哀想にも不首尾に終ってしまった。

「自分で見たか見せてもらったか定かでないけれど、そんなことをして試験はやっと済ませ、自分は無事入学を許されたが、見せてくれた男の人はうまくいかなかった」というのです。「おかしいのは」と書いているのは気になるのですけど・・・

「我輩は猫である」「心」「三四郎」その他、輝かしい作品を世に送り出し、近代文学の歴史を切り開いたといえる程大きな仕事をした文章の泰斗がカンニングをして大学の教養課程に入っていた。

〈たくさんの知識を身につけているかどうかが肝心だ〉ということで問題を形成しているのが明治から今まで続く入試制度です。そういう競争で勝ち抜いていく中で、例えば夏目漱石の様に才能をもった人たちが落第させられている。数学の問題を解けるかどうかも、そういう問題の解き方という知識を持っているかどうかですから、よりたくさんの知識を持っている人たちを入学させようという今の入試制度は、これからさらに大切になる〈創造性〉とあまり関係がないことをしているのかもしれない、そういう議論が起こっても不思議はないと思うのですけど、どうでしょうか。

 教育行政の中に、そういうことを議論できる人たちがどんどん入っていく世の中は、もうすぐそこまで来ている気がします。

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たのしい教育の発想法〈たのしい仕事のすすめ〉

 私自身がたのしい教育から教えられたことがたくさんあります。その一つが「たのしい仕事をしていると、苦労は苦労ではなくなる」ということです。

 RIDE(たの研)のメンバーが地域でたのしい教育活動をしている時のこと、RIDEの活動では終わりに必ず評価感想を書いてもらうことになっているのですけど、ある子が「私も、みなさんの様な仕事がしたいです」と書いてくれたことがありました。とても嬉しい評価なので、たの研の第3研究所に張ってあります。

 ところで沖縄県のグッジョブのイベントの中でこども達にこういう話をしようと準備していたことがありました、台風でイベントが中止になり、まだしていません。

 みなさん、たのしく仕事をしているというと、どっちの絵がそれにあっていると思いますか?

ア.

イ.

 ほとんどの人がアを選ぶでしょう。

 ところがアは仕事をしているのでしょうか?

 牧場の仕事というのは、ダンスすることではありません。

 セッセとパソコンをたたいている姿をみると、つらく苦労大きな仕事をしていると感じるかもしれません。

 ところが、その人がもし「よ~し、この教材で、たくさんの子ども達がたのしく賢くなるぞ、先生たちも喜んでくれるぞ」と感じながらパソコンに向かっているとしたらどうでしょう?

 表面から見ていると〈たのしく仕事をしている〉のはどちらか、よくわからないことも多いのです。

 そういう流れで〈たのしく仕事をする〉という話につなげていきます。

 いつか、たのしい教育プランとしてまとめて、メールマガジンで発表しようと思っています。みなさんも、このさわりの部分だけでも、身近な子ども達にしてあげてほしいです。

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雨にも風にも負けず「たのしい教育」仲良し四人組@着地トラ@楽しい福祉&教育

 たの研の活動はコロナまん延防止措置の間も止むことはありませんと書いてきたのですけど、それは力あるスタッフ達のなせる技です。

 教材開発やこども達との接し方、地域の方たちとのフレンドリーな対応だけでなく、雨風の中のこの駆動力、他の組織では簡単に真似できないでしょう。

 そうやって広げている〈たの研〉の教材が、先日、那覇地区まで広がっていることが、ある先生にとどいた写真からわかりました。新春一月の教材「着地トラ」を、A小学校で実施してくれたようです。たのしさは伝染するのです。

 先日も、とてもたくさんの子ども達がやってきました、大忙しのあと、片付けを終えてホッと一息の仲良し四人組です、一人は写真を撮っています。元気で優しく力ある、私が信頼するメンバーです。

 また、ボランティアの方たちもとても明るく元気な人たちです。
 いつも感謝しています。

 この記事が公開される日(2/18金曜)は、沖縄市登川公民館を中心に、たのしい教材をたくさんの子ども達に披露することになっています。お近くの方はぜひどうぞ。こども達の学校からかえる時間に合わせて実施します。

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差別用語に敏感でありたい、そのためには学ぶ必要があるという話-楽しい教育の発想法

 魅入る内容と無駄のない文章の手本でもある〈中島敦〉、彼は才能を惜しまれつつ夭折した作家の一人です。1909年生まれ、1942年他界、33年の短い人生でした。
 彼の作品は短いエッセイを含めてもそう多くないので、ほぼ全て読んでいて、李陵や山月記、虎狩などは十回近く読んでいます。

 彼は日清・日露戦争後に生まれ、第一次世界大戦の頃、幼少期を過ごし、第二次世界大戦に向かう日本で成長していきました。

 その時の言語感覚が出てくる彼の文章にドキリとさせられる単語がいくつか出てきます。

 土人、半島人、内地人etc.

 私が「内地」という言葉に違和感を覚える様になったのは、中島敦の小説からだったと思います。

 ごく普通に「内地」という単語を発する人たちは、それが〈戦争〉という歴史的暴力を経て使われたきたことを知らない人も多いでしょう。それはそれで構わないかもしれません、しかし〈教育〉という視点でみると、こういうことを知っていた方がよいと思います。

 こういう分類を見たことがあるでしょうか。

https://social-studies33.com/2018/03/03/

 そうです、「内地」というからには「外地」がある、〈内地人〉〈外地人〉という言葉もある、つまり差別的な意味をふくんだ言葉でもあるのです。

 アメリカにはアフリカ系アメリカ人への差別、中国系の人たちへの差別、ホワイトでない人たちへの差別などいろいろあって、強い苦しみを伴いながらそれを克服していく過程が今の状況です。

 物理的な平等だけでなく、思想信条が表れる〈言葉〉によって、お互いを尊重していくことは、とても大切なことだと思います。それは、過去の歴史やことばを学んでいくことなしには克服できないものでしょう。

 たのしい教育は面白おかしいことを実施する教育ではありません。
 差別をなくし、お互いを尊重していく過程もたのしい教育が大切にしているテーマです。

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