たのしい植物入門☆植物たちの賢さは時間をかけて現われる

 たとえばこども達は〈あいうえお〉の読み方・書き方を学んでいくうちに、「あお」とか「いえ」とかいう言葉を書ける様になっていきます。ところが植物たちをみていると周りから何かを学んで変化している様には見えません。

 ところで先日、たの研に豪華な花束のプレゼントが届きました。

 なんていう名前なのでしょう、右際にひときわ大きな花がありますね、カサブランカなどいろいろな種類のある〈ユリ〉の仲間です。

 その花の内側をよ~く眺めてみると・・・

 こういう突起がありました、これはなんでしょう?

 

予想してみましょう!

⬇︎

予想してみましょう!

⬇︎

予想してみましょう!

⬇︎

 これはミツにさそわれて来た昆虫たちが、簡単に花びらの外に出ていかないようにする工夫です。
 この〈より返し〉でジタバタするうちに、昆虫たちは自分の花粉をたくさん体につけてくれます。そして別な仲間のところにいってジタバタするうちに花粉が〈めしべの柱頭〉につく可能性が高まります。そうすると受粉が成功して、新しい生命がスタートするのです、〈タネ〉として。

 もともとは、こういう突起、より返しは無かったのですけど、世代を経ていくうちに、しだいにこういう突起が大きくなっていきました。

 植物は人間の様に人間の様に短期間での変化はみられませんけど、長い時間をかけて形や動きを変えていきます、〈進化〉という形で。

 身近な植物たちをみるとき、それがタンポポでもセンダングサでもバラでも、いろいろな工夫がぎっしり詰まっています。公園を歩く時、あるいは花屋さんの前を通る時、そういう目で眺めてみませんか。「これは何だろう、何のためにこういうものができたんだろう」そういう目でみていると、たのしい発見がいくつも出てくると思います。たのしい教育全力疾走RIDE(たのしい教育研究所)、みなさんの応援が元気の源です。一緒にたのしく賢く明るい未来を育てましょう。このクリックで〈応援〉の一票が入ります!

 

かけ算の本質(2).1/2✕1/4 を〈図〉で説明して答えを出してください(答は1/8)

 相変わらず〆切ものに追われていて日付が変わってから帰宅する日が続いています。こういう日々を強制されたら訴えられるでしょう。けれど自ら価値を感じてそういう日々を送ることができるのは幸せの形の一つです。

 さて前前回の〈たのしい学力向上〉で書いた〈かけざんの本質〉の話の反響がいくつも届いています。〈クランボルツ理論〉も好評です。

 今回は「自分で描いてみました」という人たちへの答えとして書かせていただきます。

 学校で「頭がいい」と言われている子ども達には「計算スピードの速さ」によってその評価を得ている子もたくさんいます。
 しかしそういうことで評価され日本の一流大学を受験する人たちも例えば
「1/2✕1/4 を図で説明して答えを出してください」という問題を出すと解けなかったという話を書きました。出典を思い出そうとしているのですけど、安野光雅の〈算私語録〉だったのか、森毅のエッセイだったのかなかなかはっきりしません。見つけ次第紹介します。

 それにしても優等生として育った学校の先生たちの多くも、同じ問題を出したときに、子どもが納得していくれるような答えを示すことが難しいということからも、その話信憑性が高いでしょう。

 前々回の練習問題として出した

1/2×1/4を計算ではなく図で描いて解答してください

を解いてみましょう。

 かけ算の本質については、前の項にもどって読み直してください、それがもっとも基本になります。

 まず1/2とはなにか?

1つのセットを2つに分けたその一つ分です。

これを〈1〉とすると

この左の部分が1/2です。

 それに1/4をかけるというのはどういうことか?

 4つにわけた一つ分にするということです、この赤の部分が1/2を4つに分けた一つ分です。
 

 この赤の部分は全体としてみると、どうなっているのか?
 1を8つに分けた1つ分になっていることがわかりますね。

これが 1/2×1/4=1/8 の答えです。

 分子は分子にかけて、分母は分母同士かけるから1/8だと計算するのは早いのですけど、図で説明できる子は、さらに賢くなります。
 いろいろな問題を根本的に考えて答えを導き出そうという力が高まるからです。
 計算ではこうなるけど、本当にそうなのか?
  それを答えをみて確かめるのではなく、自分で図を描いて確かめることができる、それはかなり賢い作業です。

 今度は 2/3➗1/2 を図で解く方法を考えてみませんか。

たのしい教育全力疾走RIDE(たのしい教育研究所)、みなさんの応援が元気の源です。一緒にたのしく賢く明るい未来を育てましょう。このクリックで〈応援〉の一票が入ります!

 

たのしい教育を〈原理〉としてみる−クランボルツの〈偶発性学習理論-Happenstance Learning theory /旧:計画的偶発性理論-Planned Happenstance theory〉

 計画的偶発性理論(Planned Happenstance theory)という名前を聞いたことがあるでしょうか、心理学者クランボルツが提唱した理論です。のちに〈Happenstance Learning Theory〉と名称を変えています、和訳がまだ広まっていないので〈偶発性学習理論〉と名付けておきます。「クランボルツのキャリア理論」としておいてもよいでしょう。

 沖縄県からの依頼で県内の親子向けにキャリア教育の授業を引き受けたり、予算を組んでもらって県内の学校向けのキャリア教育副読本を作成している時入手した本や資料の中で「まさに〈たのしい教育〉だ」と感じていたのが計画的偶発性理論です。

 板倉聖宣が「たのしい授業」を提唱して後、松本キミ子(故人)さんのキミ子方式と出逢い『楽しい授業』として広く紹介した様に、計画的偶発性理論はキャリア教育に関わる重要な理論で〈たのしい教育〉の原理から派生する理論だとみることができます、クランボルツの方が有名ですけど。
 とはいえ、有名さの大小が理論的順位を決めるのではありません。より原理的なものがたのしい教育なのです。

0.現在の教育は、その子の目標や夢に向かって努力し、それを成し遂げることを想定している

1.しかし、成功した人々の人生をたどってみると、その多くは〈偶然性〉に左右されていた。すてきな英語の先生に出会ったから英語が好きになった人がいたり、私の様に中学で学ぶと同時に英語が大嫌いになったり、趣味で偶然出会った人のアドバイスでその職業についたり

2.そういう偶然性によるものを〈縁〉とか〈ラッキーなこと〉にするのではなく、自然に任せるのではなく積極的に活かせるような教育が大切である。たまたま出会ったチャンスを自分の人生にプラスに活かせるのはどういう人間か?

(1)「好奇心」 ――行動を狭く限定せずいろいろなものに興味関心をもつ力
(2)「持続性」 ―― すぐに投げ出さず一定期間は継続して結果をみることができる力
(3)「楽観性」 ―― どうせダメだと考えずポジティブに捉える力
(4)「柔軟性」 ―― ある考え方等に固執せず起こるできごとや状況に柔軟に対応する力
(5)「冒険心」 ―― ある程度のリスクがあっても挑戦できる力

こういう力をもったこどもたちをそだてようではないか。

 そういう理論です。

 まさに〈たのしい教育〉が提唱する「自分の興味関心を大切にして、いろいろな予想を立て挑戦するこどもたち先生たち大人たち」を育てる活動です。〈たのしい教育〉の「キャリア教育分野」だといってもよいでしょう。

 大きな報告ものが一区切りついたので、週一度のメールマガジンにさらに詳しくまとめはじめています。

たのしい教育全力疾走RIDE(たのしい教育研究所)、みなさんの応援が元気の源です。一緒にたのしく賢く明るい未来を育てましょう。このクリックで〈応援〉の一票が入ります!

 

たのしい教育原理−たのしさから生まれるものたち

 2022年4月のはじまりの日に書いています。新しい年度の始まりの日、それはそしてたのしい教育研究所を設立して10年目の時を刻む記念の年度の始まりの日です。

「記念の時には大風呂敷を広げた話をするといい」
 師の板倉聖宣の言に従って頭の中に形作られている大きな構造の話をさせてください。

「たのしい教育」というのは〈具体的な教育内容〉を説明するだけではありません。理論的な骨子もはっきりした概念です。

 師の板倉聖宣は〈仮説実験授業〉を生み出し、独自の〈仮説実験授業研究会〉を組織しました。そしてその成果をもとに「たのしい授業」という概念を提唱しました。この3つが広い意味での板倉聖宣の功績だと私は考えています。

 私は板倉聖宣から学び、教師を辞めてフリーとなって《たのしい教育》を冠した組織をつくりました。〈たのしい授業〉という言葉を少し変えたのではありません、たのしい授業よりもっと大きな概念として提唱したのです。

 もう一つ、板倉聖宣が提唱した「たのしい授業」も私の「たのしい教育」も、それまでなかった言葉ではありません。
 もともとあったものを看板する、あらためて取り上げることに意味があるのか?

 その内容が伴ったものなら大きな意味と価値があります。

 提唱した「たのしい教育」は「たのしければよい」というものではありません。〈おもしろおかしい教育〉でもありません。学んだ人たちが「〈もうやめろよ〉と言われてもやめられないような内容を伴った教育」です、それはこども達だけでなく教育する側にとっても同じです。

 「たのしい教育」は単なる方法や一つの見方ではなく「原理」です。「原理」という言葉は科学的な用語で〈いろいろな現象の根本にあるもの〉〈そこからいろいろな現象ものごとが派生していく〉という言葉です。
 「たのしい教育」を核にいろいろなものが広がっていきます。

 逆にいうといろいろな教育が〈たのしい教育〉に帰結できるとということでもあります。

 もちろん全てではありません。民主的つまりこども達一人ひとりが主人公として主体的に生きていける教育についていえることで、〈服従による教育〉や〈点数至上主義教育〉の様なものとは相いれません。

「たのしい教育」の中にある〈予想論〉や〈実験論〉〈一人ひとの思いを大切にする思想〉〈拒否する権利〉などから必然的に派生していくものを大切に丁寧にこれからも取り組んでいきたいと考えています。たのしい教育全力疾走RIDE(たのしい教育研究所)、みなさんの応援が元気の源です。一緒にたのしく賢く明るい未来を育てましょう。このクリックで〈応援〉の一票が入ります!