〈琉球/りゅうきゅう〉という言葉のイメージ

 たのしい教育は地域限定の動きではなく、これからの〈世界〉の教育〈日本全国〉の教育をテーマにしているのですけど、そういうときにも足元の沖縄の教育はとても気になります。今回はその〈琉球・沖縄〉の近代史の話をメルマガに書き始めています。
 そのはじまりのところに書いた「〈琉球〉という言葉」の認識について周りの人たちと随分違うものがあると発見しました、その部分を少し紹介させてください。

 「原子論者の人生論」というガリ本をまとめようと師の板倉聖宣にロングインタビューした時のことです、そこで板倉先生がこう語ってくれました。

板倉

 自分は東京の下町で育った、だから下町主義でいくんだ。下町というのは庶民の町、つまり庶民の立場にたって物事を考えて発言する。

 キミは沖縄で育って、他の人の知らないことも見て感じてきたわけだから〈沖縄主義〉でいくといい

 沖縄は地政学(地理学と政治学を組合せた学問)上センシティブなところがあるので板倉先生に言われたままに言葉を使うことは控えているのですけど、どっちみち私いっきゅうの出発点は〈琉球・沖縄〉です。

 本題に入る前に話を少し広がりますけど、文字的・音的に〈琉球/りゅうきゅう〉という昔ながらの沖縄の呼び名が好きです。

「琉」は〈宝〉や〈宝の〉という言葉で、「球」は単なる玉ではなく〈美しく整った玉〉という言葉です。石好きの私には地球から出てきた貴重な岩石を磨いてこんな風に美しい球をつくったイメージです。

 小学校の頃、社会の授業で「沖縄っていうのは〈沖にある縄〉みたいにみえるから名付けられた」と聞かされて、大好きな砂浜の島と海に漂っている縄のイメージが結びつかず困ったことがありました。しかもその意味からすると沖縄主体の言葉ではないということも重なって、それよりずっとこういう美しい宝石の様な玉というイメージが私の中にスッと入ってきたのでしょう。

 誰がいつ名付けたのか、こういうものは〈諸説ある〉というのが定番ですけど、もう少し突っ込んで調べてみると、『りゅうきゅう』という呼び方はかなり古いのですけど、その音に〈琉球〉という文字を正式に使ったのは1400年代、尚巴志によってこの島が統一された時〈明の皇帝が呼んでいた琉球という呼び名〉に従って〈琉球王 尚巴志〉と名乗ったときだといって良いでしょう。

 こういう美しい島であることを、今の子ども達にもたくさん伝えたいと思います。実はそういうことが〈社会〉の授業の出発点であってもいい、そう考えています。
 そして〈こういう美しい島にもいろいろな問題や課題がある〉だから「皆で賢くなって、そういう課題や問題を少しずつ解決していける様にしよう。それはきっとたのしくてやめられないものになると思う」、そういうものが学校の学びであってほしいと思っています。たのしい教育全力疾走RIDE(たのしい教育研究所)、みなさんの応援が元気の源です。一緒にたのしく賢く明るい未来を育てましょう。このクリックで〈応援〉の一票が入ります!

 

チベット旅行記/青空文庫・Kindleで読めます

 知人とkindle(キンドル:電子書籍サービス)の話になり私のアウトドア系の座右の書 河口慧海(かわぐち えかい)「チベット旅行記」を紹介しました。

 実際の本は講談社学術文庫と旺文社文庫の二つを持っているのですけど、講談社の本は4分冊

 旺文社文庫の本は一冊で上の四冊本の厚みがあります。もう一冊買っておこうかと調べてみたら古本で5000円近くの値がついています、いつの間にか貴重な本になっていました。

 

 河口慧海は明治期のお坊さんです。

 当時の日本にある仏教の本は、漢語つまり中国経由のものばかりでした。慧海はそれらの仏教の経典が、同じ箇所所を訳しているはずなのに本によって異なる意味になっていたり、訳されてなかったり、順序も違っていたりしているのが気になり、本来の仏典、古代インドのサンスクリット語で書かれた仏典を求めに旅立つことを決意します。

 原書はブッダのふるさと仏教の生まれたインドに渡ればよいと考えるところですけど、インドに行っても原書はほぼ手に入らないらしい。今はネパールやチベットにそういう経典が残っていて、特にチベット語に訳された経文は文法の上からも意味の上からも中国訳より確かだという。

 そこで彼はチベットに入ることにします。

 当時のチベットは鎖国していて日本から行っても捕まるに決まっています、そこでいろいろな知恵を絞って入るのですけど、その道程は並大抵のものではありません。登山の本や映画を数々手にしてきたのですけど慧海さんのチベット旅行記は、その作品の中に入れてもトップクラスに読み応えがあります。

 登山などのトレーニングなど積んでいないはずなのに、30キロほどもある重い荷物を頭の上に束ねてチベット氷河から流れ来る身が切られるほど冷たい川を渡る。

 渡ったはよいものの、あまりの冷たさに身体の震えが止まらず動かすことができない、そのまま死んでしまうのではないかというようなレベルの話が何度も出てくる、アドベンチャーものとしても優れものです。

 さてさて古本で5000円の値がつくチベット旅行記ですけど青空文庫とkindle(キンドル/電子書籍サービス)で無料で読めます。登録でお金がかかるわけでもないので、興味のある方は入手してみるのをお勧めします。ちなみにKindleも青空文庫が作成したデータを利用している様なので書きづらいのですけど、レイアウト的に読みやすいのはKindleです。

青空文庫「チベット旅行記」

https://www.aozora.gr.jp/cards/001404/files/49966_44769.html

Kindle「チベット旅行記」※この本をクリック⬇︎

 朝日新聞社の記者に語ったものを文字起こししたものなので全体は読みやすいのですけど、はじめの本人が書いた文章は読みにくいです、飛ばして良いと思います。

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たのしい教育に全力投球の日々がたのしい/こども達に大人気のものづくり実験教材づくり進む

 安定した教師という仕事を辞め〈NPO法人たのしい教育研究所〉を設立してからほぼ10年、忙しい日々が続き、コロナの中では少しその忙しさも緩やかになるだろうという感じがあったのだけど、ぜんぜんそういう時は訪れません・・・

 これはワークショップルームを利用してリモートで若い先生たちに、たのしい教育を伝えているところです。

「これはねぇ、すぐれもので、子どもたちがいろいろ実験しながらたのしんでくれるんだよ・・・」

「たとえばこうやって、ほらね!」
「お~!」

 と賑やかにやっている隣の部屋では
 静かにセッセと教材づくりがすすんでいます。
 もちろん、たのしく語り合いながら。

 完成した教材がどんどん積み重なっていきます。

 その下では、できあがった教材やその遊び方、実験の仕方、資料、石鹸・マスクセットなどをパッケージする作業が続いています。

 できあがったパッケージが箱詰めされています。
 ところがこれでも1週間で使い切るものの中の1/5くらいです。

 コロナの中でも「こども未来キャラバン」の活動をやめることはないので毎週毎週、数百人分の教材をどんどん作っていく必要があります。

 それをいろいろ工夫しながらコツコツすすめてくれるスタッフはかけがえのない人たちです。

 ボランティア活動したい方がいたら、ぜひお声がけください。
 各自ですすめられる作業がいろいろあります。

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高校の国語の教科書はオススメです/ジリスの自立〈星野道夫〉

 星野道夫という文字を見るとツーンと冷たい感じが心臓の左上のあたりに走ります、とても憧れている写真家で文筆家だからでしょう。

 以前書いことがあるのですけど、私の愛読書の一つは〈高校国語の教科書〉です。最近、それを数冊差し入れてくれた人がいました。鉛筆やラインマーカーなどが記されているのですけど気になりません。

 まず一冊を開くと、左右見開きで星野道夫が撮ったカリブーが川を渡っている写真が目に飛び込んできました。
 次のページも星野道夫のグリズリー、そしてホッキョクグマの写真です。

 わくわくしながらページを進めると、一番最初の文章が「ジリスの自立」という星野道夫のエッセイでした、私が好きな作品の一つです。

エッセイはこうはじまります。

 アラスカのマッキンレー国立公園での話である。

 四国ほどの広さがあるこの公園の中に、たった一軒だけ観光客のためのビジターセンターがある。まさに原野の真っただ中の公園の中を一本道が通っているために、毎日たくさんの観光客がこの休憩所で過ごす。

 中はウィットをおりこんだエッセイで、私は思わず笑い顔になりました。

 文章に添えて星野道夫のマッキンレー山の写真がありました。
 私も星野道夫の歩いた道を訪ね、このビジターセンターに行きテントを背負ってこのマッキンレー山に向かってひたすら歩き続けました。

 目を閉じて顔を少し上に向けると、今でもその時の眺めが目の前いっぱいに広がります、そしてその時の風の香りも思い出すことができます。

 また星野道夫の写真集を開いてみたくなりました。

 きっと皆さんにも大切な一冊があることでしょう、子どもの頃読んだ絵本だったり、ものがたりだったり・・・

 人間のたのしさや感動を湧き起こす〈本〉は豊かな相棒です。

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