推理小説やミステリーは大好きで、中でも宮部みゆきさんの作品は気に入りで、最近は「ペテロの葬列 上下巻/文春文庫」を手にしています。前半すぐに主人公たちがバスジャック事件に巻き込まれ、犯人が相手の心をたくみにつかんでコントロールしていく様子が描かれていきます。
このサイトに〈騙されない人になる〉ということで検索してたどりついたという人も出てくる様になるほど《特殊詐欺商法被害に遭わない》というテーマはたくさんの人たちが気にする様になってきました。「ペテロの葬列」はまさに、たくみに相手の心をコントロールして大金を手にした人たちと、その被害にあった人たち、そして被害にあった人たちが今度は加害者となっていく構造をあぶり出していきます。
女性のミステリー作家として最も有名な人はアガサ・クリスティーでしょう、私もかなり読んでいます。
アガサ・クリスティーの作品はパズルを解くかの様なミステリーです。
宮部みゆきさんの作品はそこに〈社会問題〉が深く織り込まれていて、読後、自分の生き方を深く考えさせられるものがたくさんあって、私はその意味で宮部さんの作品が大好きで、アガサ・クリスティーより高く評価しています。
主人公杉村三郎は、すでに『誰か』『名もなき毒』で活躍していて、今回が第3弾です、この『ペテロの葬列』がシリーズ中もっとも面白いと思います、過去作を読んでいなくても十分たのしめるでしょう。
ちなみに、このブックデザインは内容の重厚さ、主人公の生き方などいろいろな意味からミスマッチだと思います、このデザインから受けたイメージで本を手にした人はミスリードされたと感じるでしょう。
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そういう詐欺の手法が、かつて社会を混乱させた豊田商事事件と絡んでいきます、詐欺商法がどの様に行われていたのか、この〈ペテロの葬列〉で初めてわかりました。「豊田商事ってトヨタ車を売っているの?」というくらい、知らない人たちもいるでしょう、wikipediaから少し引用します。
豊田商事事件は、1980年代前半に発生した豊田商事による〈金の地金〉を用いた悪徳商法を手口とする組織的詐欺事件。
高齢者を中心に全国で数万人が被害に遭い、被害総額は2000億円近くと見積もられている。当時、詐欺事件としては最大の被害額。
wikipedia参照
特殊詐欺、新手の詐欺は、こういった過去の多額の詐欺事件をモデルにして進化していったものが多いので、その意味でも読む価値はあると思います。
「必ず儲かる」という原理的にありえない言葉に踊らされた人たちがたくさん被害にあっていきます。
その言葉巧みな勧誘手口に、予想を立てずに鵜呑みにした人たちがたくさん出てきます。
読みながら、私が登場人物の一人ならこう質問してみたくてたまりませんでした。
必ず儲かるというならどうして自分の様な年寄りから何十万円くらいのお金を集めるんですか?
「お年寄りの方たちを助けたいからです」
それなら福祉や医療、食生活などのサポートをしてくれたらいいのに、どうしてお金を投資しろというのです?
そうやって言葉を何回か重ねていけば、向こうがお金を儲けたいからそうするのだという結論に至るのはそんなに難しいことではありません。
それもこれも複数の選択肢を持っているものごとをみていくことが必須です、それは〈たしかに儲かる・儲からない〉というYes/No形式ではありません。
たとえばシンプルに
ア.ビジネス的に確かに儲かるはずだ
イ.私を騙す手口かもしれない
ウ.その他
という選択肢を持ってみていくことです。
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