文章技法:偽物にかぎって横文字を使いたがる/敬愛するアウトドア人〈野田知佑〉のことば

  野外での暮らしが好きで活字中毒の私はテントの中でアウトドアの本を読むことを大の楽しみにしていました。そうやって心に残っている作家が何人もいます、その一人が野田知佑(ともすけ)です。彼は彼が名付けた〈カヌー犬 ガク〉と一緒に川下りをたのしむ自由人で、自然保護の活動にも力を注いでいます。

 彼は中学の英語の教師を辞めててカヌーで日本、世界を旅してまわる暮らしをしていると記憶しているのですけど、以前読んだ本には小さな会社勤めをしていてそれを辞めてカヌー旅をしているという様なことを書いていました、どっちも本当なのかもしれません。

 多くの人が「それで、どうやって暮らしが立つの?」という疑問を持つでしょう、旅行紀、エッセイなどを書いて暮らしています。そういう暮らしは私の憧れでもあります、でもそれより今の〈たの研〉の暮らしがたのしいけど。

 彼がある著書の中で

「偽物に限って横文字を使いたがる」

とスラッと言い切っています。確か、読者からの質問に答えた本だと思うのですけど、タイトルがハッキリ思い出せません、思い出したら追記しますね。

 その言葉は文筆家としての私の心にハッキリとクイを打ちつけています。

 たとえば「ルーティーン」という横文字を使う時、それでないと表せないのか考えます。日本語より外国語の方がしっくりくるという時にはそれを使って、その言葉がピンとこない人のために( )で説明を入れたりします。

 ところで、教師の頃は研修などでたくさんの人たちの講演などを聞いてきました。フリーになってからも公的な仕事をしているので、たくさんの人たちの講演などを聞く機会があります。彼の言葉を心に刻んでいる私には、横文字を解説なく使う人たちには違和感が伴います。
 私も参加したあるシンポジウムで「ユビキタス」という言葉を多様する人物がいました、〈いつでもどこでも存在する⇨ネット上で簡単に情報を得られる〉という意味で使われる言葉です。それは私が使わない言葉の一つです、それを使わなくても一向に困らないからです。

 ある学校の校内研修で「総合的な学習」をテーマにおとづれた、ある学校の先生の言葉はその頻度がかなり高かった・・・
 研修会というのは発表会や研究会とは違うことに気づいていなかったのかな。

 人によって言葉の感覚は違うとはいえ、横文字を使うことで自分の存在価値を高く感じてもらえるだろう、自分が専門家と思ってもらえるだろうという気持ちがあったとしたら、自戒した方がいいでしょう。
 特に教育に携わる人たちは、この言葉が子どもたちに伝わっているのだろうか、腑に落ちる説明になっているだろうかと考えることは必須です、それだけに野田さんの言葉を刻んでおくことも大事だと思います。

 野田知佑の本をまた読みたくなりました。

 

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インフルエンザ・コロナ系の感染症対策は換気をベースにしよう(子ども達にも伝えたい)

 たのしい教育研究所の感染症対策は〈換気〉をベースにしてその上で〈体調チェック〉〈手洗い〉〈二重マスク〉〈除菌・殺菌〉〈距離〉etc. いろいろなものを加えていきます。※手の殺菌消毒はアルコールより石けんの方がずっと効果的だということを知らない人も多いので、それはまたいずれ書きましょう

 2年前、県外の方から数名でのサークルを開く時にどういう対策があるかという相談があった時も同じ様な話をした記憶がありますから、今回のコロナ騒動のはじめの頃から変わらない対策方法の様です。それが効果を上げているから変わらないわけです。

 室内で話し合いなどをする時の参考になると思うので、載せてみましょう、これは最近のたの研の様子です。

 室内の空気の循環を強制的につくるわけですから、この頃(冬)は外を歩く時と同じ様な格好をしていなくてはいけません。

1.まず〈たの研〉の全ての開口部を開け広げて、どの向きから風が入ってどこに抜けていくのかを見極めます。これをいいかげんにやっていると、無駄な動力(電力)を重ねることになりますから、注意しなくてはいけません。

2.「この開口部から向こう側に流れている」という様に判断したら、その向きを加速する様にファン(大きめのものを基本とする)を設置します。

 こうやって勢いよくまわるファンを設置して、外からの風を室内に送り込みます。

 抜けていく開口部にはこうやって外向きに 設置します。

  ウェルカムスペース側からはゆるやかに空気が入ってきていましたから、ここからも勢いよく外の風を吹き入れます。

 

 別な開口部は風の出入りはあまり感じません。その時々で、その近くに人がいる場合には外に向けて空気の流れを作っています。

 

3.風の流れは外の天気の移ろいなどに従って変わっていくことがありますから、〈ファン/扇風機〉から無理している音が目立つ様になってきたら、風の流れを再確認します。

 再確認する時を教えてくれるのがファンの「音」です。

 空気の流れとファンの向きが逆向きになっているとファンが回転する音に「ぶぉ~」という目立つ音が重なってきます。ファンが作る空気の流れと外からの流れがぶつかって、そういう音を出してきます。低い音なのですけど、ハッキリ聞こえると思いますから、それが聞こえてきたら、一旦ファンを止めて空気の流れを再確認して〈2〉の作業を繰り返します。

4.そういう作業をしていると必然的に〈たの研〉の中はこうやって、張り物がひるがえるほど空気が流れていきます。

 この奥は物置の部屋で、めったに人が行かない場所ですけど、のれんの動きからそこにも風が行き渡っていることが分かると思います。

 またぞろコロナ感染症が増えてきました、寒さは厚着で対策をたてられます。家庭でも、お客さんが来る時など、これを参考にして積極対策を実施してみませんか。「うちはこんな感じでコロナ対策しているからごめんなさいね」という様に話して、嫌がる人はいないと思います。

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チベット旅行記/青空文庫・Kindleで読めます

 知人とkindle(キンドル:電子書籍サービス)の話になり私のアウトドア系の座右の書 河口慧海(かわぐち えかい)「チベット旅行記」を紹介しました。

 実際の本は講談社学術文庫と旺文社文庫の二つを持っているのですけど、講談社の本は4分冊

 旺文社文庫の本は一冊で上の四冊本の厚みがあります。もう一冊買っておこうかと調べてみたら古本で5000円近くの値がついています、いつの間にか貴重な本になっていました。

 

 河口慧海は明治期のお坊さんです。

 当時の日本にある仏教の本は、漢語つまり中国経由のものばかりでした。慧海はそれらの仏教の経典が、同じ箇所所を訳しているはずなのに本によって異なる意味になっていたり、訳されてなかったり、順序も違っていたりしているのが気になり、本来の仏典、古代インドのサンスクリット語で書かれた仏典を求めに旅立つことを決意します。

 原書はブッダのふるさと仏教の生まれたインドに渡ればよいと考えるところですけど、インドに行っても原書はほぼ手に入らないらしい。今はネパールやチベットにそういう経典が残っていて、特にチベット語に訳された経文は文法の上からも意味の上からも中国訳より確かだという。

 そこで彼はチベットに入ることにします。

 当時のチベットは鎖国していて日本から行っても捕まるに決まっています、そこでいろいろな知恵を絞って入るのですけど、その道程は並大抵のものではありません。登山の本や映画を数々手にしてきたのですけど慧海さんのチベット旅行記は、その作品の中に入れてもトップクラスに読み応えがあります。

 登山などのトレーニングなど積んでいないはずなのに、30キロほどもある重い荷物を頭の上に束ねてチベット氷河から流れ来る身が切られるほど冷たい川を渡る。

 渡ったはよいものの、あまりの冷たさに身体の震えが止まらず動かすことができない、そのまま死んでしまうのではないかというようなレベルの話が何度も出てくる、アドベンチャーものとしても優れものです。

 さてさて古本で5000円の値がつくチベット旅行記ですけど青空文庫とkindle(キンドル/電子書籍サービス)で無料で読めます。登録でお金がかかるわけでもないので、興味のある方は入手してみるのをお勧めします。ちなみにKindleも青空文庫が作成したデータを利用している様なので書きづらいのですけど、レイアウト的に読みやすいのはKindleです。

青空文庫「チベット旅行記」

https://www.aozora.gr.jp/cards/001404/files/49966_44769.html

Kindle「チベット旅行記」※この本をクリック⬇︎

 朝日新聞社の記者に語ったものを文字起こししたものなので全体は読みやすいのですけど、はじめの本人が書いた文章は読みにくいです、飛ばして良いと思います。

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星野道夫〈ジリスの自立〉、読者の方からの便りをきっかけに

 3つ前に書いた星野道夫の「ジリスの自立」を読んだ方から、便りが届きました。その人も同じエッセイを読んでいるようで、その部分の写真を送ってくれました、もしかすると高校生なのかな、そうではなくても子どものような心をもった人なのだと思います。※作成中に手違いで二日前、四時間ほど途中の記事がUPされていました、その時より写真や文章がふくらんでいます

 「もう一度中身が知りたくなって本を開きました」とありましたから、その後の展開が気になっている方もたくさんいるかもしれません、紹介しましょう。
 気に入ったらぜひ星野さんのエッセイを一冊手にしてみてください。

 星野道夫の〈ジリスの自立〉は、いくつかの本に収録されています、小学館「アラスカ 永遠なる生命」、文春文庫「果てしない旅の途上」、新潮社「星野道夫著作集4」、他にも出ているかもしれません。

 ジリスというのは、アラスカに住んでいる大きなリスで、ホッキョクジリスといいます。

 私もマッキンリーでテント生活をしている時によくみかけました、近くまで来てくれるのですけど、リスとは思えないほどの体格です。耳を別にすればうさぎくらいあるんですよ。

 鳴き声は鳥の様で、ホッキョクジリスが鳴いていると気づくまで数日かかりました。

 たまに開くサイトですけどホッキョクジリスの声もあります、よければ聞いてみてください。※ジリスの下の〈Listen〉のボタンをクリック

http://www.adfg.alaska.gov/index.cfm?adfg=arcticgroundsquirrel.printerfriendly

 

 アラスカのマッキンレー国立公園には、毎日たくさんの観光客が訪れ、ジリスたちは食べ物がもらえると知っているので、たくさん寄ってきます。


 公園のレンジャーは、ジリスたちに何とかエサをやらないようにと呼びかけているのですけど、可愛らしいジリスのしぐさに、食べ物をあげる観光客は後を絶ちません。

ここから星野さん文章・・・

ある年のこと、奇妙な立て札が立った。
何故、奇妙かというと、その立て札はわずか10センチほどの低さで、身体を曲げて
わざわざのぞき込まない限り見えないのだ。

その内容は「ジリスたちよ!」で始まる。
ジリスたちへの警告だったのだ。

「‥‥おまえたちは、そうやって人間から餌をもらってばかりいると、だんだん体重が増え、動きも鈍くなり、いつの日かイヌワシやクマの餌になってしまうんだろう‥‥」

私は笑ってしまった。

何だろうと思ってサインを読む観光客も苦笑いを浮かべている。

 

ふと、日本の動物園で見た、クマのおりの中にひっきりなしに人々が食べ物を投げ込む光景を思い出していた。

そこに書かれていた「動物に餌をあげないでください」というサインは、何と力のないメッセージだったのだろう。

 そんなことは、だれもが知っているのだ。

 思わず動物に餌をあげたくなってしまうのも人の自然な気持ちなら、餌をやってはいけないのだと感じるのも人の素直な気持ちである。

 正論に力を持たせるのは大変だ。

 余裕を持ったちょっとしたユーモアが時に人の心を大きく動かしてゆく。

 星野道夫という才能は、極北の地で大きく花開きました。今でも、その優れたエッセイを読むことができるのは豊かなたのしみです。

 写真も一緒にたのしむなら「アラスカ 風のような物語」小学館 がおすすめです。「風のような物語」というタイトルも心ときめかせてくれます。中にはまさにアラスカの風を感じる写真と文章が詰まっています。

アラスカ 風のような物語(小学館文庫)

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