ファラデーは小学校しか出ていない|板倉聖宣「わたしもファラデー」|読書のすすめ

嬉しいことに、このサイトを小学生も開いてくれるようになりました。
そこで、書いていく時に「漢字をできるだけ減らして」ということも考えられますが、小学生の皆さんは、わかりにくい漢字や言葉が出てきたら、ぜひ調べながら読んでくださいね。

研究所を設立してから、以前の読書量が100分の1くらいにへってしまいましたが、それでもわたしも読書が大好きです。

板倉聖宣が、著書「わたしもファラデー たのしい科学の発見物語」の「まえがき」の中で、こういうことを書いてくれています。
わたしもファラデー―たのしい科学の発見物語

書きぬいてみます。

あなたは、ファラデーという科学者を知っていますか。
この人の名は、科学者の間ではとても有名ですが、一般の人びとにはあまり知られているとは言えません。
だから、知っていなくてもかまいません。
この本を読めばわかることだからです。
じつは、フアラデーという人は、小学校しか出ていないのです。
それなのに、今なら「一人でノーベル賞をいくつも受賞する」ほどの数々の大発見をつ守つけた科学者なのです。

どうして、そんな発見ができたのでしょうか。
私は、そのことをさぐろうとして、この本を書いたのです。

その結果、つくづく、「すぐれた科学者になるには、いい科学者にめぐりあうことが大切なんだなあ」と思いました。

フアラデーさんは、「デーヴィという素晴らしい先生、大科学者にめぐりあうことができた」のです。

それは偶然でしょうか。
それは偶然ともいえますが、彼が求めた結果ともいえます。
すぐれた科学者になるためには、「どんなことを研究したらいいのか」を知ることが、何よりも大切です。

いい先生につければ、その勘どころがわかるのです。
そして、「どのように生きればたのしくなるか」ということもわかってくるのです。
みなさんの近くには、そんな素敵な先生がいますか。

いなかったら、どうすればいいのでしょう。
そのためには、「〈たのしい科学の木〉を読めばいい」と思います。いい本はすぐれた先生の代わりをしてくれるからです。
私はこの本の中で、「ファラデーさんがどのようにしてたのしく研究したか」ということを、いきいきと描き出すことができたと思っています。

そこで、この本は、みなさんが「大科学者のようにたのしく生きる土めのヒント集」にもなると思っています。
「いい本は、おもしろくなくてもがんばって読まなければいけない」という人がいます。
しかし私は、「科学は〈いやでもがんばって勉強しなければならない〉というほどつまらないものではない」と思っています。もし、難しすぎて「たのしく読めない」と思ったら、この本も途中で読むのをやめてください。いつか興味がわいてきたときに読んでくださればいいのです。自分の興味を犠牲にすると、たのしく生きることができなくなってしまいます。

 

ファラデーは、いい先生についたから、いい仕事ができた。
そういう先生が見つからないときにはどうするか?
そんな時に、いい先生の役を担えるのが「本」なのです。
わたしも、どれだけ、本から学んだか計り知れません。

きっとすばらしいことをいろいろ学べると思っていた大学で、けっきょく、高校の頃と同じ様な授業が続く日々、わたしをた助けてくれたのが「本」でした。
そして「図書館」でした。

スクリーンショット 2015-06-08 11.56.18

最近は、ゆとりが少しずつ出てきて、本を手にすることもできる様になりました。
どきどきしながら、わくわくしながら開く本の香りがうれしくてなりません。

このサイトでは、絵本をはじめとして、いろいろな本を紹介しています。
これからも、どんどん紹介していこうと思っています。
ご期待ください。

「たのしい教育」で豊かな人生を送る人たちが増えていくことをたのしみに全力投球中の「たのしい教育研究所」です。

お金は無いが、科学の実験・講座に参加したかったファラデー

板倉聖宣の「わたしもファラデー」、二度目の読書を終えました。人間ファラデーを感じる名著です。

そのエピソードの一つを紹介させてください。

製本の職人になるために徒弟奉公をしているうちに科学に興味が高まってきたファラデーは一枚の張り紙を目にする部分です。
スクリーンショット 2015-06-03 9.09.02「科学の実験・講座1回1シリング」という張り紙。
他の著者は、いい加減に誤魔化す部分も、板倉はそれが今のお金でいくらくらいか、という事を必ずといっていいほど書いてくれます。他の著書でもほとんどそうです。

1回1000円の科学の実験・講座。
わたしの教育研究所で月に一度オープンする「たのしい教育Cafe」の数字と一緒なのに驚きました。

それにしても、徒弟奉公というのは給料がなかったのですね。
兄に出してもらったファラデーは、その実験・講座に参加し、それがきっかけで、講師だったテータムさんの開催する研究会にも参加させてもらうこととなります。

いまでいえばノーベル賞をいくつも受賞したであろうファラデーが、科学の道へと進んでいく様が、彼の息遣いとともに伝わってくる様な作品です。

おすすめいたします。

科学者ファラデーも普通の人間

教育の世界で有名な板倉聖宣ですが、教育の世界で注目される前から「科学史」で独自の研究をしていました。
現在は「日本科学史学会」の会長もしています。
子ども達向けの本をかなり書いている板倉聖宣の話は、内容が魅力的であるだけでなく、とてもわかりやすいのですよ。

最近、ガリレオやファラデーの文献をあたっているときに、板倉聖宣が「ファラデー」について講演で語った文章を読みました。

ファラデーの収入や健康状態などを読むと、さらにファラデーのことが魅力的に思えてきました。
皆さんも読んでみませんか。
1991年夏「授業科学の方法論研究会(阿蘇)」で語られた内容です。
古いコピーがあったので、それを書き起こしました。読みやすくなる様に喜友名が少しだけ手をいれました。

*************

ぼくは、学生時代から〈アリストテレスはどうやって生活していたのか〉ということが気になっていました。
何故そんなことが気になったかというと、ぼく自身が、大学を卒業したらどうなってしまうのか心配だったからです。

ぼくは何かをして稼がないと科学者にはなれません。
アリストテレスみたいになるにはどうしたらいいか。
ガリレオみたいになるにはどうしたらいいか。

ガリレオは大学教授になりました。
大学教授になると食べていけると普通は思います。
しかし、大学教授になるのも簡単ではありません。
ファーブルは、師範学校を出て小学校の先生になりました。
しかし,小学校の先生より中学校の先生の方が収入が良いということで、検定試験で中学校の先生になって物理と化学を教えました。
ファーブルは、書いた啓蒙書が当たってたくさん売れました。
それで校長とけんかして、学校をやめて『昆虫記』を書いたのです。

ぼくはファーブルの収入調査もしました。
ヨーロッパでは収入によって人を差別する習慣があるので、日本よりヨーロッパの方が収入調査ができます。

江戸時代でも100万石しか1万石とか5万石とかの大名がいました。
◯◯石だとわかる、というのは収入調査の一種です。
明治時代には、渡辺敏が40円校長だと新聞に出たことがありました。
戦前は校長の月給が新聞に出ていたのです。
市町村の教育委員会が「今度はいい校長をいくらで連れてこよう」という事を決めていました。

ファラデーは面白い事があったから科学をしたのです。
そしてファラデーはお金を稼ぎすぎて体を壊します。
いくら稼いだかというと今のお金で年間に2000万円ぐらい稼いでいます。
2000万円も稼いでいるのですから、これは出世です。
でも体をこわしたので彼はお金を稼ぐことをやめました。
みんなは体をこわしたファラデーを心配して、アルバイトしなくてもお金が稼げるようにいろいろ援助してくれています。

そういう歴史を見ると、人間らしいファラデーが見えてきます。
天才ファラデーではなく「人間ファラデー」です。

ぼくたちも人間です。
ファラデーやえらい人は人間じゃないみたいに思うかもしれませんが、たのしい事が好きで、つまらないことが嫌いです。
みんな同じです。
私もファラデーだし、あなたもファラデー。
みんなファラデーです。

このように「ファラデーは私と同じ人間だ」という事になると研究の仕方がぜんぜん違ってきます。
「彼は天才だから不思議なことが考えられる」と思っていると、ファラデーの書いたものをみてもまともに読まないうちに「やっぱり天才だ」とすぐ言ってしまうでしょう。
「ファラデーは天才だ」と言ったら何考えなくてすみます。
でもファラデーは私と同じだ、としたら「ファラデーってこういう時にどんな事をかんがえるのだろう?」と考えるのです。

板倉聖宣はその後「わたしもファラデー」という本を書きました。
興味のある方は、ぜひどうぞ。
わたしも、その本をまた再度読みたいと思っています。

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たのしい読み語り実践編/『わすれもの大王』 武田美穂 作 (WAVE出版)

わすれもの大王
『わすれもの大王』 武田美穂 作 (WAVE出版)を紹介します。
つい忘れてしまうことってよくありますかが、
この絵本はあまりにも忘れ物をするので
「わすれもの大王」と呼ばれてしまう男の子のお話です。

主人公のけんたくんは、大好きな先生に呼びとめられて、
忘れものが多いことを注意されます。

それを聞いたクラスの仲間は、
けんたくんが忘れ物をしないように話し合って
「わすれものグラフ」を作ることになりました。

でも、忘れないようにがんばってもどんどん忘れるので、
「わすれもの大王」と呼ばれてしまいます。

そして、なんと、同じように、隣のクラスにも「わすれもの大社長」と
呼ばれている子がいて、いつの間にか、二人のわすれもの勝負になり、
1組と2組の忘れ物対決となります、忘れ物をするとみんなに喜ばれて、
忘れないでしっかりできるとみんながっかりするという、
なんともあべこべな子ども達の様子がとてもおもしろいです。

けんたくんが、クレヨンを忘れないように
「クレヨン、クレヨン、クレヨン・・・」と、
唱えながら帰ったり、ぞうきんを忘れないように手のひらに
「ぞうきん」と書いたり、子供たちも共感するところが
いっぱいありますがその度に・・・

子ども達の微笑ましい様子もあたたかい気持ちになってよかったです。
ラストまで笑えてとってもたのしい絵本でした。
( by hina )