たのしい教育の実験結果 教え子Rさんからの手紙

  出世や給与ではなく、たのしい教育一本に人生をかけることができたのは幸せなことです。
 先月の授業の時にも、私の名前を見た、かつての教え子が参加してくれて、すてきな感想を残してくれました。
 以前「あの頃の授業もとてもたのしかったです。今日は自分の子どもにも先生の授業を受けてもらうことができました」と語ってくれた教え子もいました。

 嬉しいことに、たのしい教育に力を注いでくれる教え子もいます。

 そんな中、かつての教え子Rさんからこういうたよりが届きました。子どもらしく元気でのびのびした女の子でした。
「覚えているでしょうか」という前書きが続いた後の内容を引用します、もちろん本人の許可も得ています。

 先生へ

 私は◯◯年◯月、国立◯◯大学大学院理工学研究科の修士課程を修了いたします。
小学4年生の頃、先生の理科の授業で科学(特に化学分野)の面白さを知り、中学・高校へ進学してからも化学を学びたいという想いを持ち続け、◯◯大学理学部の化学系へ進学いたしました。

 そして大学院へと進み、化学センサの研究を経て、4月よりその関連の企業へ技術職として就職をすることになりました。

 また、就職後も社会人博士課程へ進むことも検討しております。

 元々理科という科目には興味がありましたが、先生の理科の授業、6年生の頃の授業から「知ること」「科学」の面白さを学び、その後の進路に繋がりました。

先生と出会いがなければ今の私はいなかったと思います。
 現在、先生は教育に関する活動をされているとHPやFacebookの投稿より拝見し、大変感銘を受けました。
 私のように、さらに多く子供たちが科学や知ることの楽しさを知ってくれたらと願っております。

 長々となってしまいましたが、大変お世話になりました。

 最後になりますが、科学の面白さを教えてくださり誠にありがとうございました。

 教師という仕事は、本当に素晴らしいものだとたくさんの人たちに語ってきました。ただし、どういうやり方をしてもよいというものではありません。
 子どもたちの心に響くたのしい教育をすることです。

 人間が洞穴で暮らしてきてDNAに刻まれた情報に多くを頼っていたいた時代から「こうあらねばならない型」の行動様式を子どもたちに伝えてきました、そうでないと命を失う危険すらあったからです。
 ファミリー内での躾も「こうあらねばならない型」でした。
 日本で明治期に確立した公教育でも、そのスタイルは変わりません。
 その時間、先生がついているわけですから、ファミリーの中で行われる教育より押し付けがきつかったでしょう。

 社会が成熟していくうちに、創造の時代に入りました。
 そういう中では、かつてのような押し付け型の教育ではなく、たのしい教育が必要とされる時代に入りました。

 押し付け型でなければ「自由にしなさい」という教育か?

 いいえ違います。

 たのしい教育は「子どもたちがもっと学びたい」という内容を提供するプログラムです。こちらが本気で構えないと、そういう内容を提供することはできません。

 Rさんも、それで自分の可能性を伸ばした一人です。

 化学分野を苦手とする人たちは多いのに、四年生でその魅力を感じたというわけですから、嬉しいことです。

この宇宙にはわずか100種類ほどの原子でできていて、それらが結びつくことでいろいろな物質、現象が起こる。人間だって特別な存在ではない。
人間を含む動物は酸素O2を吸い、食べものから得た炭素Cや水素Hと酸素が結合し、CO2やH2Oになる時に発生するエネルギーを利用して生きている。

という話を、原子分子模型を利用して、たくさんの子どもたちに語ってきました。
 理科は四年生から持っていたので、その話に目を丸くして聞き入っていた一人がRさんです。
 高校で突然こういうような図で化学を教え込まれてダウンしてしまう人たちが多いのですけど、きっとRさんは「お~、あの時の話か!」と感じてワクワクしながら向かっていったのでしょう。

A.I.作成図 イメージズとして理解してください、間違いありです

 たのしい教育が突破する世界はどんどん広がっています。
 応援してくださる方たちが一人ずつ増えていくことをたのしみにしています。

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楽しい環境教育@挿し木の実験スタート:シークワーサーを育てよう(実験開始)/自由研究の大切さ

 気に入りのシークワーサーは、読者、応援団の方たちからたくさん届いているのですけど、〈たの研〉でも育てて収穫できるようにしたいものです。

 植物の再生能力は動物たちより遥かに高いので、それを利用して増やすことができます。以前〈挿し木〉で希少種のリュウキュウイチゴを育てたことがあります、その方法で、増やしてみましょう。

挿し木の実験 リュウキュウイチゴ(貴重)

 さっそくたくさんの実がつく美味しいシークワーサーの木の枝をもらってきました。
 葉っぱを少し残して、斜めにスパンと切った枝を差し込みます。
 写真には葉がたくさん写っているのですけど、それは水分が飛んでいくのをふせぐために土の表面にかぶせたものです、枝にはカットした葉が二、三枚ついているだけです。

 今回は葉を一枚のものと

 葉が一枚もついていないものも一緒に挿し木してみました。

  

 発根したら(根っこが出てきたら)成功です。

 たのしみが増えてきました。

 〈たの研〉のたのしい環境教育のテーマ『減らして増やしてエコロジカル』の増やすの一つは「植物」です。ホームセンターなどでお金を払って植物を増やすことは、子どもたちにとってハードルが高いでしょう。

 植物の再生能力に感動してもらうプログラムはすでにできていますから、その応用編として挿し木の実験をたのしんでもらい、身近なところに気に入りの植物をどんどん増やしていく、それは、とても有効な環境教育になるでしょう。

 みなさんも、身の回りに自分が気に入った植物を増やしていきませんか。

 こういう実験だけでなく、自分の知的好奇心で自由研究をどんどんすすめていく子どもたちや先生、大人が増えていけば、環境の問題だけでなく、医学、工学(エンジニアリング)、生物学、天文学etc. いろいろな分野に新しい可能性が広がっていくでしょう。

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楽しい文学研究:『高村光太郎』が過ごした小屋

 テレビで高村光太郎の話をしていました、このサイトでも何度か書いた、好きな随筆を残してくれた作家(彫刻家であり文筆家、書家)です。

 光太郎さんのことをあまり詳しく知らない頃、光太郎さんが岩手花巻で過ごした小屋を残しているという記念館を訪ねたことがありました。

 サイトにある高村山荘はこういう建物です。「こんな立派な小屋に住んでいたのか、さぞかし村の人たちがたくさんお金を出して建ててくれたのだろう。あるいは父親の高村光雲の遺産で建てたのか・・・」

 そう思っていたら、それは実際に光太郎さんが住んでいた7坪ほどの小屋を守るために外側に兜のようにして建てられたものでした。

 「山の秋」「山の雪」「山の春」などを読んで、その小屋は山の中に建てられたものだろうと考えていたら、そこは山のふもとの平たい場所で、後ろに小山があるところでした。

 光太郎さんのことをいろいろ調べていると、不思議に思うことがいくつも出てきます。

 なぜ東京生まれ東京育ちの光太郎さんが花巻の田舎で不便な暮らしに入ったのか?

 一般に、第二次世界大戦中に戦意高揚の詩を書いたことを悔いてと言われています。こういう詩です ※ある詩の一節

天皇あやふし。

ただこの一語が

私の一切を決定した。

子供の時のおぢいさんが、

父が母がそこに居た。

少年の日の家の雲霧が

部屋一ぱいに立ちこめた。

私の耳は祖先の声でみたされ、

陛下が、陛下がと

あえぐ意識はめくるめいた。

身をすてるほか今はない。

陛下をまもらう。

 それがどうもしっくりこないのです。
 それもあったでしょう。
 けれどそういう懺悔の日々から「山の春」「山の秋」「雪の冬」といった作品が生まれてくるのだろうか・・・

 東京の空襲で住処のアトリエは焼け、花巻に疎開した光太郎は、終戦後もそのまま花巻で暮らそうと決心したというのが本当のところではないのかな。

 一般には〈1914年、光太郎31歳の時、智恵子と結婚〉と記されているけれど、その時、2人は結婚していなかったとのことを知りました。
 籍を入れたのは、それから20年後、智惠子が生を閉じるわずか4~5年前のことです。結婚というの法律で定義された言葉です、1914年には結婚していたのではなく、一緒に暮らしたということになります。
 どうしてそれをそのまま書かないのだろう・・・
 それによって2人が変な目で見られると感じた人たちの配慮からなのでしょう。
 とはいえ、法律用語を異なる解釈で記してよいのかな。
 それを知った光太郎さんは、なんというだろう?

 体感的に調べていくと、どんどんいろいろな疑問が湧いて、それなりの自分の答えが見つかってきます。もちろん、さらに別な答えを手にすることもあるでしょう。

 予想しながら調べていく光太郎さんの人生は、どきどきするほどのミステリーです。

 みなさんもまず光太郎さんの作品を朗読で味わってみませんか。

 

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銀のサナギ(蛹)と金のサナギの話

 子どもたちに授業していた頃、メタリックな蛹(さなぎ)に魅了されていました。金属光沢は金属独特の自由電子の働きの結果なのだけど、するとこの金のサナギには金属粉が含まれているのかな・・・?

オオゴマダラのさなぎ

オオゴマダラをよく知らない方は以前の記事をどうぞ⇩

オオゴマダラと言葉の力

 サナギの色がメタリックである謎がとけたのはフリーになって〈たの研〉を立ち上げてからです。

 その話は後半にもっていくとして、先日、ツマムラサキマダラを見つけました。紫に発色していないのでメスでしょう。

 タテハチョウファミリー独特の夕方飛び方をする蝶です。愛用のカメラを手にしていなかったので、飛んでいるシーンはピントボケでうまく撮ることはできませんでした。

 このツマムラサキマダラのサナギをごらんください、銀メタリックです。

 チョコボールの金のエンジェル、銀のエンジェルみたいで貴重です。

 夏の頃なら、写真を撮った場所で見つけることができたかもしれません。

 オオゴマダラやツマムラサキのサナギがメタリックに見えるのはなぜか?

 以前、軽く紹介したのですけど〈構造色〉という独特の屈折・分散・干渉によってそう見えているのです。

たのしい昆虫学ー近くから眺めてみよう〈美しいルリ色/瑠璃色〉/生きた教育・生きた学力

 私たちが普通目にするのは赤い花や紫色の花、青いカーテンや白いカーテンのように、その色素をもった色です、〈化学色〉と言ってよいでしょう。

 それに対してたとえばシャボン玉や虹は、そこで起こる屈折・分散・干渉によって発色しています。
 赤い花は見る角度によって赤が消えたり別の色に見えたりしません、でも構造色によるシャボン玉や虹などは見る角度によって消えたり見え方が異なったりします。

 タテハチョウ、ツマムラサキマダラの金や銀の色は、金属の原子が存在しているのではなく、その表面の独特な構造によってキラめいているわけです。

 なので金属のように電気を通すこともありません。

 自然の中には不思議さたのしさがいっぱいつまっています。
 それが本物の学力に繋がって、押し付けでない、自分の可能性を伸ばしていくでしょう。

 みなさんも、のんびりフィールドを歩いてみませんか。
 まず近くの公園からはじめてみましょう。

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