仮説実験授業の生みの親 板倉聖宣は、もともと科学史の専門家で、日本科学史学会の会長を務めています。
「科学がどのようにして生まれ、どのようにして大衆のものとなっていったか」という研究の中から、その流れを定式化して提唱したのが「仮説実験授業」であるといってもよいのです。
この写真は沖縄で開催された冬の全国大会の時の板倉聖宣 です。
わたしの質問に、目の前で熱く語ってくれている様子です。
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ここまで。
仮説実験授業の生みの親 板倉聖宣は、もともと科学史の専門家で、日本科学史学会の会長を務めています。
「科学がどのようにして生まれ、どのようにして大衆のものとなっていったか」という研究の中から、その流れを定式化して提唱したのが「仮説実験授業」であるといってもよいのです。
この写真は沖縄で開催された冬の全国大会の時の板倉聖宣 です。
わたしの質問に、目の前で熱く語ってくれている様子です。
その頃の社会全体が、科学や技術の進歩にたくさんの夢と希望を重ねていたこともあったのでしょう、子どもの頃から科学・技術に大きな魅力を感じていました。
今でも科学・技術は様々な発展を見せています。
巧妙な「疑似科学」の台頭、「科学・技術に疑問を提唱する人たち」の考え方もあって、現代社会は、わたしが子どもの頃の様に両手を上げて迎えいれる様子はありません。しかし革新的という意味では、今の方が多大な成果を上げていると思います。
ところで小学校の頃から、わたしの心に宿っていた大きなテーマが、進歩によってコンピュータにも「心」が芽生えるのかということでした。
時は流れ、大学に入学した頃、やっとパーソナルコンピュータが普及し始めました。
今のiphoneの持つ処理能力の 1/1000 にも満たないコンピュータが150万円くらいした頃です。
何とかそれを手に入れ、プログラムを打ち込みながらコンピュータを学ぶうちに、
「人間が体系づけた命令系の延長にあるコンピュータに心が宿ることはない」
というのが私の一つの結論になりました。
ところで最近、画像認識に関する画期的理論ディープ・ラーニング(深層学習/多層構造学習)をきっかけに、〈人工知能〉が気になって学び始めています。
コンピュータが膨大な画像の中から「これはネコだ」「この数は1だ」と認識するプログラムは、かつてのコンピュータ技術からブレイク・スルー(画期的進歩)し、それがグーグルやカナダ トロント大学の成果ではっきりしてきました。
表面的にはわずかな変化に見えるかもしれませんが、コンピュータ自身による《教師なし学習》の可能性が見えてきたのです。
私が発行しているメールマガジンには「たのしい教育の発想法」の章があって、仮説実験授業研究会代表・日本科学史学会会長の板倉聖宣が語った内容を紹介しています。
最新号に載せたのが「あきらめる志」です。
熱意あふれる教師が「これでもか」というような勢いで、いわゆる「できない」と表現されている子ども達にいろいろなことを指導する。
それは良いことなのか?
一生懸命がんばることがよいことなのか?
そして「教育」とは誰のためのものなのか?
それらを的確に語った「たのしい教育」の根幹に触れる迫力ある内容です。
興味のある方はメルマガをご要望ください。
さて、その文章の前書きとして、こう書きました。
今回も30年ほど前の板倉聖宣のお話からお届けします。わたしが「たのしい教育」にのめりこんだ時期なので、十分に個人的バイアスがかかっている可能性がありますけど、この頃の板倉聖宣はかなりの勢いです。1986年5月28日東大阪の先生方の集まりで語った内容です。
すると、読者の方からすぐにこういうメールが届きました。
さて、前回紹介した「飛べなくなったノミと仲間の力で飛べる様になった(➡︎こちら)」という実験は本当なのでしょうか?
みなさんはどう思いますか?
二日間にまたがってweb上で検索してみましたが
「ご存じの方もいると思いますが」とか
「師匠から聞いた話ですが」とか「これは先輩から聞いた話」とか
「この話は有名な話なので聞いたことある方が多いと思いま
海外のサイトも調べてみました。
まず一つ、それらしいサイトに当たりました。
The Naked Scientists (裸の科学者)
http://www.thenakedscientists.com/forum/index.php?topic=11394.0
です。
しかしそこも
I found it on the web:(こんなwebサイトを見つけました)
という「伝聞」でした。
もともとは
Real Woman.(本物の女性)
http://www.realwomen.co.nz/content/view/43/17/
というサイトということです。
たどってみましょう。
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ノミ・トレーナーたちが観察したところによると・・・
Flea trainers have observed 〜
とありますが、いつどこで、どういう人なのかはわかりません。
しかも「ノミ・トレーナー」ってどういう仕事なのでしょう?
もっといろいろたどると
The 100 Top Inspirational Anecdotes and Stories
(高いインスピレーションを与える逸話と物語100)
https://books.google.co.jp/books
に似た内容が書かれています。
しかし、そこにも「ノミのトレーナーたちが観察したところ」と始まります。
名前も実験の日時も記されていません。
また、ノミを箱の中で閉じ込めてあと開けても外に飛び出ないという話はありますが、「仲間のノミを入れると、また高くジャンプした」という話はありませんでした。
もう一つ
LOST POTENTIAL Why Kids Give UP!
(失われた可能性 どうして子どもたちは諦めるのか)
https://books.google.co.jp/books
にも関連する記述が見つかりました。
文章上から十行目にこうあります。
I once heard about an experiment where fleas were caught, placed in a box and a lid placed on top of it. The fleas would jump again and again and again in attempt to get out.
私は以前、こういう話を聞いた事があります。閉じ込められた箱の中でノミは外に出ようと何度も何度も何度もジャンプします…
またもや『伝聞』です。
たどっていくのはここまでにしましょう。
もしもこのノミの話がきちんとした実験結果によるものだとしたら、「誰が、いつ、どこで」くらいの情報はすぐに入手できるはずですが、ここまで探してもたどることはできませんでした。
わたしの結論は
「ノミの話は〈ゆでガエル〉と同じく〈作り話〉である」
感動的な話はどんどん広まっていきます。しかしそれは本当の話ではなく「つくり話」である可能性があるのです。
もしも読んでくださっているみなさんの中で〈この実験は真実である〉という場合には連絡をください。ソースをたどって確かめてみたいと思います。
いろいろな人たちが「わからないことはわからない」と声をあげる。つまり子ども達の様に「裸の王様を、ハダカだ!」と声をあげてはじめて、一歩先にすすむことができるのです。私が板倉聖宣から学んだ重要な一つが、この事です。
長くなりました。
わたしが先生たちに初めて話した、このノミの話を「それは誰の実験ですか?」と聞いてくれたR先生に感謝しつつ、この項を閉じたいと思います。
たのしい教育で届けるのは「力」と「笑顔」と「元気」です!
たのしく実力ある教師を育てる活動も「たのしい教育研究所」の大切な仕事です。
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