たのしい特別支援教育もりあがる/先生たちと保護者も一緒にたのしく/たのしい教育研究所の中堅・若手の力の高まり

 今日は7月の〈たのしい教育ワークショップ〉の日、テーマは「たのしい特別支援教育」。
 ワークショップは年に数回ある講座の月以外の隙間をついて開催しています。

 〈たのしい教育研究所〉で育った先生たちが、その回の講座を一人で担当してくれて、私ははじめと最後に、その月のテーマと〈たのしい教育〉についてそれぞれ5分程度語るくらい、あとは受講する側にまわっています。

 いやぁ~、今回もとてもたのしかった。
 10年たのしい教育の活動を続けていくと、こんなに力のある人たちが育ってくのだと感動してしまいました。

 今回はミムラ先生が、たのしい教材をみんなで体験しながら進めてくれました、〈楽しさ度・理解度〉の五段階評価は全て最高値でした。

 これは数処理を楽しむ新作プログラム〈ガッテン/合10〉をたのしんでもらっているシーンです。
 左側の「なぞなぞボックス」は、どの授業の導入にも使える画期的なアイディアで、研究授業や二次試験の模擬授業の時にもおすすめです。

 先生たちの感想を読むと「自分も早く授業にかけたい、夏休みが早くおわらないかな」という言葉がたくさんありました。
 次回からの教育関係者向けの評価項目は「楽しさ度」&「授業にかけたくなったか度」に変えたほうがよいかもしれないな、スタッフ会議で提案してみましょう。

 私も一緒にいろいろな授業プログラムを体験したのですけど、先生たちが授業にのめりこんでいくのが強く伝わってきました。
 中には、民間で勤めている方で〈たのしい教育に興味関心がある〉というお母さんもいたのですけど、評価感想に加えてメールで届いた便りには、スタッフが感動することばが綴られていました。

 「自分がワークショップを受けている間に、自分の子どもに、たのしい教育を体験してもらいたい」という先生たちの声にこたえて、別室で〈こどもワークショップ〉も開催しました。 自由研究としてもたのしめる内容を、ミエ先生&マッキー先生が実施してくれています。 ここも最高評価の満足度だったので、稿をわけて紹介させていただきます。

 八月はスタッフ全員が個別スーパーバイズに全力投球するので次回のワークショップは九月を予定しています。
 興味のある方、このサイトをチェックしていてください。

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自由研究をたのしくすすめる決定的要素とその具体例

 夏休みになり自由研究の相談も増えてきました。〈自由研究〉をすすめようという人たちは、たのしい教育研究所のサイトに出ている自由研究に関わる記事を読んでみることをすすめます。かるく300以上出ています。

 前回の記事の様に、理論・りくつ的な記事もあるのですけど、難しくないと思ったら、それもとばさずに読んでみてください。「大人が読んで、こどもに伝える」ということでもよいと思います。インターネット上にあるばくだいな記事の中で、たのしい教育研究所(RIDE)の記事はとてもことなっていることがわかるでしょう。単なるノウハウとしてしょうかいしているのではなく、本質的なたのしさを伝えようとしているからです。

まず一つ目の話

 学校の課題(宿題)として自由研究をする場合には「どうすれば賞がもらえるか」「独創的な研究はどうすすめればよいか」と考えている人は、すこし立ち止まった方がよいと思います。

 私いっきゅうも自由研究の審査員をしたことがあるのですけど、エントリーされたものはほぼ間違いなく、すでにあるものたちをベースにしています。

 ごくまれに「久志の海岸の釣れるポイントさがし」というオリジナルあふれる自由研究もあって、釣り雑誌でも出てこない様ないろいろな場所に足を運んでまとめた自由研究もあるのですけど、そういうものはほぼありません。そういう自由研究は普通の審査員からは支持されませんけど、本人のたのしさ度や問題意識がはるかに高いので、その子の将来への大きな一歩に確実につながります。

 自由研究は〈科学〉のたのしさとすばらしさを味わってもらうことを目標にしたい。それを味わったこどもたちは、その後の人生に確実に役立ちます。ほうびをもらうためではありません。

 私は本が好きなので、これまで一流と呼ばれる人たちのこどもの頃の話もたくさん読んできました。その中には〈こどもの頃であった本〉に強く影響をうけた話や〈星をみて、その向こうはどうなっているのか〉に強い興味を受けたという様な話はたくさん出てくるのですけど、夏休みの自由研究で賞をもらったという様な話は目にしたことがありません。

 すばらしい研究でその時代をリードしたアインシュタインやニュートンもいう様に、私たちは先人たちのすばらしい研究の肩の上にのって研究をすすめているのです。たとえばこのサイトで自分が興味関心を受けたものをみつけ自由研究していく、そして〈予想を立てて確かめる/実験する〉ことの凄さを自由研究をすすめる中で体感できるなら、それはすばらしい経験になるでしょう。

 二つ目の話

 どういう研究をすすめるにしても〈あなたの予想〉が決定的に重要だということを忘れないでください。それはこのサイトの中にたくさん書いてきましたから、サイトの「検索」窓で〈予想〉というキーワードで検索してみてください。

 ここでは、以前の書いた「進化の話」で自由研究をまとめたいという方の相談にのった時の具体例を紹介して終わろうと思います。
A3用紙6枚をはりつけて大きな紙にして、こういうスタイルでまとめてはどうかという提案に、とても喜んでいただくことができました。

 

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たのしい生物学 進化と品種改良 その②

 二つ前の記事に書いた〈品種改良と進化の違いのイメージ〉は伝わったでしょうか、まだそれに対するお便りは届く前にこの項を綴っています、ここからが書きたいところなのでお付き合いください。

 以前このサイトで「強いものが勝ち残って来たのではない、周りの環境に適合した者たちが生き残ってきたのです」と書きました。その時にたくさんお便りをいただいたのですけど、今回の話はそれとも関わる〈進化〉の話です。

〈進化〉というと、言葉のイメージからも「進んでいる」という感じがすると思います。ところが生物の歴史を調べていくと、マイナスの方向に進んでいくこともあるのです。

 この生き物をご存知でしょうか、シカの仲間で〈オオツノジカ/大角鹿〉といいます。学名は〈ギガンテウスオオツノジカ/Megaloceros giganteus 〉、こちらの方がかっこいいですね。

 かなり大型の生物です、人間と比較すると、その大きさが伝わるでしょう、ウィキペディアに〈体長3.1m、体重700kgに達した大型のシカ〉とあります。

http://www.prehistoric-wildlife.com/species/m/megaloceros.html

 こんなに大型のシカは他にはいないだろうと思うかもしれませんけど、さにあらず。アラスカでキャンプをしている時、野生のムース(ヘラジカ)と出会ったことがあります。
 恐るべき大きさでした。ウィキペディアに〈頭胴長2.4-3.1m、尾長5 – 12cm。肩高1.4-2.3m。体重 オス平均500キロ、メス平均380キロ。最大のオスは800キロに達する場合もある〉とありますから、ツノを別にすれば体の大きさではムースも負けていません。
 下の写真がムースです。

 オオツノジカはどこに住んでいるのでしょう?

 残念ながらどこにも住んでいません、約1万年くらい前に絶滅してしまいました。

 なぜか?

 こういう進化の歴史がありました。

 オオツノジカはツノが大きくて立派なオスほどメスの注目関心を集めました、モテたんです。
 今でもシカは、そういう傾向があります。
 シカのオス同士は闘うことがあります、そういう場合にはツノが大きな個体が有利でした。

 結果として大きなツノを持った個体が子孫を残しやすくなるので、大きなツノをたたえた子ども達が生まれる確率も高くなります。

 誕生した子ども達が成長していく過程でも、より大きなツノをもった方が有利です。より大きなツノをもった個体が子孫を残す確率も高くなりますね。

 そうして千年、万年、百万年・・・ とたつうちに、オオツノジカのツノはどんどん立派で大きくなっていきました。

 

 

 ところが、このツノのお陰で困ったことも起きました。

 知っている人もいるでしょう、シカは一年に一度ツノが生え変わります。
 これだけ大きなツノのためにはカルシウムやリンなどの栄養がとてもたくさん必要になります。
 シカの食べ物は〈植物〉です、当然、森などに入ることも多くなります。
 木々の間を通る時など、大きなツノがじゃまで、うまく通れません。通れないどころか、森の木々にツノが引っかかり、身動きできずにそのまま命を落とすオオツノジカ達も出て来ました。

 またオス同士の戦いの時、お互いの大きなツノガチッとはまって身動きが取れなくなり、そのまま両方とも死に至ることもありました。

 結局オオツノジカは、自分のツノが大きくなりすぎて絶滅したのです。

 進化というのは〈より進んだもの〉というイメージがあるかもしれませんけど、結果としてマイナスに作用することがあるのです。

 オオツノジカたちは、進化の過程でツノがどんどん大きくなり、結果としてそのせいで絶滅に至ったわけです。

 生物は、多様な個体が生まれ、その中で自分の生命を維持するために有利な個体つまりその時の周りの環境に適した個体が生き残っていきました。強いものが生き残ったのではありません。その時の環境に適したものたちが生き残っていったのです。最強の生物である恐竜は地球環境の変化の中で、結局生きていくことができなくなり、絶滅しました。強いものが生き残るなら、そういうことは起こりません。

 有性生殖(オスメスに分かれる生き物たちの生殖)は多様な子孫を残します。その多様な子孫たちが、周りの環境に合わせて生き残り、環境に合わないもの達は命を落としていきました。

 進化というのは、より環境に適した様な方向に、進み方が決まっている様に考えている人たちもいると思います。しかしそうではありません、動物や植物は〈多様な個性をもった子孫〉をどんどん作り出して、その中で環境に馴染んだものたちが生き残っていくという〈トライ&エラー〉で進んできたのです。生物自身が〈変化していく環境〉に適合していける様に多様な子孫を残していったと言えるでしょう。

 有性生殖(オスメスに別れた生殖)をする生物だけではありません、最も単純な生命体である〈ウイルス〉もそうです。
※ウイルスは生命ではないと主張する人たちがいます、それは〈過去の人たちがつくった定義〉にしばられてしまい、新しい状況の中にあって〈知的な進化ができなくなっている〉様に思えます。いずれそのことについても書きましょう


 ウイルスは人間の体のタンパク質を利用してどんどん自分のコピーを作り出していきます。自分のコピーを作っていても、親と少しずつ違った遺伝情報・DNAをもった個体もどんどん生まれていきます、〈変異/変異株〉といいます。

 今問題になっている新型コロナウイルス(COVID‑19)も、以前存在していたコロナウイルスから変異したウイルスです、だから〈新型〉とつけたわけです。
 新型コロナウイルスは爆発的に世界中にひろがりましたが、私たち人間もマスクや手洗い、ワクチンなど、いろいろな対策をしてきましたから、当初のコロナウイルスは次第に少なくなってきました。

 しかし新型コロナウイルスも必然的に変異したタイプ、違った性質をもったコロナウイルスがたくさん誕生していきます。

 その変異したコロナウイルスの中で、より人間に感染しやすいものたちが生き残って広がっているわけです、今はオミクロンと呼ばれている変異種が増えていますね。
 〈オミクロン株〉の前にたくさんの変異株が波の様に広がっては静まってきたわけです。

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20210921000658.html

 コロナウイルスも、オオツノジカの進化の様に、多彩な個性を生み出して、より広がりやすいものが増えていく〈トライ&エラー〉の結果として感染が拡大してきたわけです。

 パパヤの品種改良の話から、コロナのオミクロン株の話まで発展してきました。イメージづくりを優先して細かい部分にも突っ込むのではなくナタを振るう様に書いてみました。ご意見、感想お待ちしています。

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たのしい〈雲〉の見方/たのしい学力向上

 雲は強引に10種類に分類してあります、理科の教科書でもその10種類「巻雲」「巻積雲」「巻層雲」「高積雲」「高層雲」「積乱雲」「乱層雲」「積雲」「層積雲」「層雲」を取り上げていて、それぞれの特徴をとらえて分類できるとテストで良い点がもらえます。

 無料公開されているプリントがあります、感謝してその一部を参照させていただきます。こんな感じです。

 ちなみに答えは  ①エ ②イ ③ウ ④ア です。

 

 ところでこれは先日私がフィールドを歩いていた時に撮った写真です。

 思わず見とれてしまいました、手前に向かって流れているのが〈すじ雲/巻雲〉です。

 たの研の学力向上は、まずこういうシーンに心動かされることを重視しています。

 その後一時間くらい歩いているうちに陽が傾いてきました。すじ雲が左と右で形を変えています、上空の空気の流れが明らかに違っているからです。

 最近はタブレットを一人ずつ持ち帰っているようですから、〈気に入った雲を写す〉という課題を出して、それをもちょって「この雲はここがおもしろい、ここが不思議だ」というような話を出しあってから、雲の学習に入るとよいと思います。

 このサイト内の検索欄に〈雲〉と打ち込むと「鳳凰の翼なような雲」など、いろいろな雲の話が出てきます、合わせておたのしみください。

https://tanokyo.com/?s=%E9%9B%B2

 

 

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