〈冬至〉の日を祝う素敵さ/読者の方のたよりから

 クリスマスはヨーロッパに古くからあった〈冬至/とうじ〉を祝う日でした、と書いた記事に心動かされた方たちが何人もいて、長いおたよりを書いてくれた方もいました。その方への返事の中に書いたものを少し紹介しましょう。

 「クリスマス」はキリスト教ができた時、その「冬至の祝いの日」をうまくとりこんだという話を書いたのですけど、キリスト教が生まれるまえから、ヨーロッパではずっと「ユール(スウェーデン語: jul、英語: yule)」というお祭りをしていた日でした、今でもクリスマスと言わず〈ユール〉と呼んでいるところもあるといいます。

ユールスウェーデン語: jul英語: yule)は、古代ヨーロッパゲルマン民族ヴァイキングの間で、冬至の頃に行われた祭りのこと。

のちにキリスト教との混交が行われたが、北欧諸国では現在でもクリスマスのことをユールと呼ぶ。

ウィキぺディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AB

 

 それにしてもどうして冬至が嬉しいのでしょう?

 一年のうちで最も〈昼の時間が長くて夜の時間が短い〉のが「夏至/げし」で、最も〈昼の時間が短く夜の時間が長い〉のが「冬至」です。
 明るい昼が短い日なのに、どうしてそういう日を祝うのか、不思議に思ったことはありませんか。

 日々長くなっていく夜の闇が底をつく日だからです。

 この日を境にして次第に昼の時間、太陽が地上を照らしてくれる時間が長くなっていくからです。

 昔の人々は、その現象にうまく説明がつかないことのほとんどを〈神様〉のせいにしてきました。日の長さは〈太陽に向ける地球の角度〉がつくりだす現象だということは分からないので「この日を境にやっと太陽神が復活してくれるぞ」と喜んだのです。一年のうちでもとても嬉しい時なので、何日もかけて祝ったといいます。

冬至前後の北極圏の国々では、日中でも暗く太陽が沈んだ状態「極夜(きょくや)polar night」が続く。

冬至の頃に昇る太陽は非常に神聖で貴重なものとされ、人々は大いに太陽の復活を祝った。これがユール祭の始まりである。

https://www.worldfolksong.com/christmas/topic/yule.html

 ヨーロッパにかぎらず、暗闇が長いことは事件や事故に巻き込まれる可能性も高くなるということです、命の危険も増えます。
 植物にとっても、エネルギーの源である〈太陽の光〉をあびる時間が増えて光合成がすすみます。

 北半球に住んでいる私たちには、冬至を境にこれからやっと太陽が姿を見せてくれます、私自身にとっても嬉しい日です。

 沖縄もめずらしくとても寒い日々が続いているのですけど、これから日照時間が長くなるぞと考えて、元気にたのしくいきましょう。

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たのしい楽しい教育プログラム-たのしく学力を高める具体的な方法-楽し教材・楽しい学習

資料の整理整頓は創造する場合にもとても大切
 たのしい教育メールマガジンも今年の最終号が近づいてきて、今年書いた記事の整理をはじめています、半年毎にはやるようにしているのですけど、一つずつの記事を開いて整理していくのは事務的な能力が低い私には大変な仕事です。
 そういうことをするより新しい記事を書いていたいと思うのですけど、メルマガの初期の頃、読者の方から「たとえば体育の教材をさがす時に、どこに出ていたのかわかると助かります」という要望があったことと、板倉先生が『月刊 たのしい授業』を創刊した時、その年の総索引がとても好評で、重要なんだと話していたこととが結びついて、メルマガにも年末にその年の記事一覧をつけることになりました。
 メルマガは電子版なので、検索の時にはキーワードを打てばすぐにどの号のどの章にある記事なのかわかります。
 もう一つ、すでに500号を超えていて、例えば〈映画の章〉で紹介した作品は1000作近くになります、書いた記事を整理しておかないと混乱の元です。
 新しい記事を書く時だけでなく、広く〈創造する〉という場合にも、これまでの記事の整理整頓はとても大切なことです。
 実施してきてよかったと思います。

2022年のたのしい教育プログラムの記事から

 まだ一部なのですけど、整理している私が「あ、こういうものも書いたんだよね」とか「これは今年書いたのか」といろいろな発見をしています。
 メルマガは四章構成なのですけど、その一つ〈たのしい教育プログラム〉の記事の一部を紹介しましょう。

490号 2022-02-02
🔵仮説実験授業「足は何本?」を
やってみませんか
 H先生の授業記録の紹介

491号 2022-02-09
🔵ペーパークラフト(図工・生活科)
 たのしいハサミ・ノリの使い方「ミニオンバッグ」

492号 2022-02-16
🔵ブックレビュー 朝の連続小説(連続読語り)で
 ミヒャエル・エンデ「モモ」がおすすめ

493号 2022-02-23
🔵人気のなぞなぞ・クイズ系
子どもにウケるたのしいクイズ 坪内忠太

494号 2022-03-02
🔵たのしく〈体力づくり〉

  三角トンネルくぐり

495号 2022-03-09
たのしいキャリア教育 読み物教材(国語・総合などで)
🔵沢木耕太郎「鉄塔を登る男」
 働くって何だろう?

498号 2022-03-30
たのしい家庭科・生活科・理科他
🔵野の花いけ花

499号 2022-04-06
🔵たのしい国語 お話めいろ

500号 2022-04-13
🔵たのしい算数 サム・ロイドさんのパズルから

501号 2022-04-20
🔵たのしい理科 植物の給水実験

502号 2022-04-27
🔵たのしいアウトドア入門 身体センサーの話

503号 2022-05-04
🔵たのしい社会 都道府県生産高ランキング

 こうやってまとめているといろいろな教科や活動の時に利用できるように、うまく分散されていると我ながら感心してしまいます。

 授業の章は特別な技能や経験は必要なく、準備0や、印刷すればOK、準備するものでも、学校や家庭にあるもの、100均で入手できるものを中心に書いているので、記事の場所を確認して読めば、明日には授業できるものがほとんどです。

 週に一度の〈たのしい教育プログラム〉からはじめて、こどもたちとの関係をよくし、講座や資料などでゆっくりたのしい時間を増やしていくという様にして、大人自身がこども達とたのしく充実した日々を過ごしている人たちが増えています。
 興味のある方は、ぜひお申込みください。
 スマホの方は記事一番下の〈サブコンテンツ〉をクリックすると、申込みのリンクが出てきます。
 また記事検索に「メールマガジン」と打つとメルマガに関わるいろいろな記事を読むこともできます。

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たのしい英語〈中級編〉ミステリーの名著「ザリガニの鳴くところ」の英訳について-楽しい学習・楽しい教材

 メルマガの授業の章に読者の方からの要望で書いた〈こどもと楽しむたのしい英語学習〉の記事が好評です。今回は大人向けの〈英語〉という視点で書かせてください。

 さて読書の時間は減ったけれど読書にかける費用はあまり減っていないと書きました、一冊の本でも紙の本と電子出版のkindleと朗読のAudibleの三つで入手するからです。

 最近読んだミステリーの名作「ザリガニの鳴くところ」は主に原初kindle版で読みました。

 最近またkindle本を探していたら、何と〈ザリガニの鳴くところ〉の原書・英語版が200円で出ていました、驚いてすぐに購入。
 

 きっと特別セールなんでしょう、必要な方は早めに購入するとよいですよ。専用のアプリで読むのですけど、それは無料です。

 さてこの原初版を読んでいて気づいたことがあります。
 紹介する英文自体はそんなに難しくないので少しつきあってください。

 毎週発行している〈たのしい教育メールマガジン〉の映画の章で〈ザリガニの鳴くところ〉を観に行ったのだけど「小説にはない表現があって感動しました」と、紹介したフレーズがあります。

 映画のこの美しい映像とともに語られた言葉です。※web上の予告画像から

Water flows into the sky.
 水は空へながれていく

 映像をみると、まさに水の流れが空に流れていくようです。

 映像も言葉による表現も素晴らしいと思いました。

 私が読んだ小説には「海に流れる」という言葉はあっても「空へ流れる」という表現はなかったので映画のそのシーンは小説家の手を離れた監督や脚本家の演出なのだろうと思っていました。
 ところが最近購入した〈ザリガニの鳴くところ〉の原書版を読んで、また驚きました。

 まずこれが日本語訳された小説のはじまりの部分です、二行目に「水蒸気が空に立ち昇っていく」とありますね。

 下の原文をみてください。
   and water flows into the sky. とあります。
 英文だらけで見辛いかもしれません、二行目の右側から三行目に出てきます。

 

 映画で私が感動した表見・言葉は原文そのままでした。

 つまり日本語訳をした人が間違ってしまったんです。
「水の流れは海に向かうのであってが〈空に向かう〉なんてないでしょ、これはきっと水蒸気が空に向かうといういみなんだ」と理解したんですね。

 水の〈 Water 〉 は手で触ると濡れてしまう様な水で、水蒸気の様に漂っている状態には〈 Vapor 〉という別な単語があります。
 当然、翻訳者は私よりはるかに英語の力はあるわけですからそういうことは重々知っている、でもそれよりも〈水は空には流れない、海に流れる〉という常識、ある意味、日常科学的な常識が優ったので、そう和訳したのでしょう。
 私も含めてアメリカのダイナミックな〈湿地〉のイメージはほとんどの日本人にはないですから、さもありなんという気がしないでもありません。

 日本語の文章と英文とを比べて読んでいくと、どんどんたのしみが広がっていくに違いありません。
 睡眠時間が消えてしまって本をたのしむ時間が増えたら、どんなに嬉しいことでしょう。

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楽しい図鑑入門〈学研LIME昆虫〉おすすめ-楽しい学習・楽しい教材

〈たのしい教育研究所〉の年末・年始の大掃除が始まっています、1ヶ月くらいかかります。〈たの研〉には本や資料が大量にあるのでこの大掃除で〈たの研に残すもの〉とそうでないものを振り分けています。

 残すものの筆頭はいろいろな本棚に分散して並んでいる〈図鑑類〉で、かなり多く開くジャンルの一つです。

 タイトルに〈図鑑〉とついていなくても、写真などが多用されているものは大抵〈索引〉がしっかりしているので調べる時にとても重宝します。
 調べる時だけでなく、大抵はパッと開いたページだけで完結するので2~3分あればたのしめます。

 
 最近〈子ども向け〉の図鑑にとても感動して購入した一冊があります、学研の図鑑LIVEシリーズ〈昆虫〉です。

 〈たの研〉のYouTube動画でも沖縄の昆虫たちの様子を紹介しているのですけど、そこには昆虫などの名前も載せています。〈この昆虫は◯◯という名前だ〉と見分けることを〈同定:どうてい〉といいます。
 図鑑を開いて昆虫などの名前の間違いがないか確認することは必須です。web上で確認することも多いのですけど、手元の図鑑で確認することもあります。

 生物は命を失うと色が変化してしまうものが少なくありません。昆虫でもコガネムシや蝶などの仲間は色の変化があまりないのですけど、トンボやバッタなどはすぐに色が変化していきます。
 数ある図鑑類は命を失った標本から写真起こししたものも少なくないのです。

 甲虫類は比較的色がそのまま残るのですけど、ルリボシカミキリなどは命を失うとすぐに色が変わってしまいます。
 
 今年の夏にリニューアルされた学研の図鑑LIVEシリーズ〈昆虫〉は、すべて生きた昆虫を集めて写真を取り直した画期的な図鑑です。

 たいていの図鑑は、こうやって羽を広げたチョウの写真がならんでいます、標本箱にピンでささって並んでいるような状態です。


 これでもいろいろなことがわかるとはいえ、たとえば腹(はら)の下側の模様や様子、足の長さなどはわかりません。

 学研の図鑑〈昆虫〉は、〈生きた状態〉の昆虫をつかまえてきて、その昆虫のすがた形、色などがわかりやすいように角度をつけて撮影してくれています。一部がこういう様に撮影されている図鑑はあるのですけど、〈全て〉を生きたままの状態で撮影し直した、ということですから、製作者の方たちの並々ならない努力に脱帽するしかありません。
 だって生きているということは〈動き回る〉ということだからです。

 本の値段というのは人によって高い安いの基準が違うかもしれません、数々の図鑑を購入してきた中でこの図鑑を位置付けた場合、このグレードで税込2420円というのはとても安いと思います、大人でも十分たのしめます。

 こういうハイレベルの図鑑がどんどん出てくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

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