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学校での保護者トラブル対策の具体案(予防策)

 学校管理職の方たちを中心にいろいろなトラブル解決の具体的な相談がやってきます。保護者の数だけいろいろな要望・目標があるわけですから〈学校のトラブル解決〉というと多岐に渡ります。そういう中でなかなか解決に至らない事例について、《PEALカウンセリング》として解決や予防、つまり相手側の目標を明らかにするところから解決に至る流れや、《たのしい教育》による新しい取組みによって解決に至る流れ、《法的な整理》によって整えていく流れなど、複数の具体的な手順があるのですけど、その中でたまに提案することがある〈ワンポイントの工夫〉があります、これは結構効果があります。

 たとえば保護者から相談があり、それがクレームを伴う要望となり、さらに罵倒を伴う叱責となり、脅迫的な文言に発展することがあります。よく起こるとはいえないのですけど、私の様にいろいろな相談を受ける側の目でみると「どの学校でも起こっているだろう」と言ってよいと思います。

 保護者は《自分の子どもを何とかしたいという個別の問題》からはじまりながら、たとえば「学校はそもそも子どもが学校に行きたくなる様なところではないじゃないか」という様に《教育界全体への不満》を爆発させてしまうこともめずらしいことではありません。

「教師はもっと早く学校に来て子どもたちを迎えるべきで、朝8時過ぎに来るのでは遅すぎる」といった〈学校のブラック企業化〉を増幅させ、さらに教師不足に拍車をかける様な主張をする方も実際います。

 親がそうであるように教師にも〈個人としての暮らし〉があります、「教師ならこれこれができてあたりまえ」という要求は基本的人権の問題まで行き着くのですけど、そういう人権を考えない要求はいくらでもあります。

「教師は子どもたちよりずっと早く学校に来なさい」という問題を解決するには、私が常々考えていた〈学校の開始時間が子どもにとっても大人にとっても早いと思う、10時あたりから始まったらよいのではないだろうか〉ということを検討することになるでしょう。
 生活リズムとかいうけれど、子どもを起こして寝ぼけまなこで食事・歯磨き・着替え・トイレを急かして、ほとんど会話らしい会話なく学校に送る流れは、早すぎると思うのです。
「今日は学校でどんなことするの?」
「あ、あの宿題まだやってない、やらなきゃ!」
「友達のよしおくんは、今日、午後からおやすみして英検受けにいくんだって」
という様な対話ができる様な家族の時間が朝、生まれるくらいのゆとりが欲しいと思うのは私だけではないと思うのですけど、どうでしょう。

「じゃあ、親はどうする、会社にいけなくなるではないか」となる。
「では会社なども10時くらいから始まる様にしたらいいではないか」となる。
「コンビニとかスーパーはそうもいかないでしょう」となってしまう。
そもそも100%うまくいく方法はないので、今より少しでもよくなっていく方法を《予想⇨実験》の流れですすめていくしかありません。

 さて話をもどして〈相談〉⇨〈クレームを伴う要望〉⇨〈罵倒を伴う叱責〉⇨〈脅迫》が起こることのある学校で、それをどうしていくかという話です。
 根本的な解決ではなく、技巧的なアイディアですけど、これが結構効果的です。

「うちの子のノートに誰かが悪口を書いてある、そういうことも知らないでよく教師と言えるわね、教師失格でしょう」といった罵倒を叱責を長々と受け続けると、教師は当然落ち込み、クラスのこどもたちへ関わる元気も失っていきます。ちなみにこのケースは誇張して書いているのではなく、実際の相談事例を少し脚色して書いているだけです。教師も失敗しますから、謝罪は必要ですけど、たくさんの子どもたちとコミュニケーションをとり、学習や安全、食事、健康などをみていく一人の教師が、全ての子どもの行動、困りごとを把握することは無理です。

 親から冷静な相談がある時はよいのですけど、それが罵倒・叱責・脅迫とすすんでいく予想が立つ時に提案さてせいただいている一つが『録音』です。
 コールセンターなりに電話すると「この通話は内容の把握、再確認のために録音されております」というメッセージが流れてきます。そういう様にして学校の電話も録音できる様になるとよいと思いますし、のちのちは間違いなくそういう流れになっていくと思うのですけど、今の突出して意識の高い教育委員会でないと難しいでしょう。

 なので個別に「後で校長先生や教頭先生にお話の内容を正確に伝えるために録音させていただきますね。学校は個人情報の取り扱いが厳しいので内容がいろいろなところにもれるということはありません、ご安心ください」とお話ししてスマホの録音機能を起動させましょう。

 これは教師だけでなく相手方がどんどんエキサイティングになっていくことを抑制する作用がありますから、話合いという域を超えないようにするという意味で、相手側にもメリットがあると思います。

 学校に来てお話する時にも同様にすることをおすすめしています。「後で関係者も交えて内容を正しく把握する必要がありますので、録音させていただきます、個人情報の取り扱いには注意して取り扱いますのでご心配なく」と話して録音をとりましょう、校長先生が同席する時にも同じです。

 これだけで、相手は無茶な話をしなくなる率が圧倒的に高まります。私に相談に来た方たちで、これを実際にやってみた時の成功率は高いので、いろいろなところでもうまくいくと思います。

 悩んでいる方たちは検討してみてください。

 そう提案すると「やってよいか教育委員会に相談してみます」という管理職の方がいました。もちろんそれでよいのですけど、「録音してください」といえる教育委員会は今のところほぼいないでしょう。教育委員会だけでなく事務所系の常として〈自分たちの責任問題〉に発展しかねない危険性は徹底的に排除する方向ですすむでしょう。

  シンプルに書くつもりが、いつもの様に長くなってしまいました。

 実は〈相手が同意しなかったらどうするか〉という問題が一つ残っています、この記事への反響をみて、言及するか判断したいと思います。
 ご意見・ご感想よろしくおねがいいたします。

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