たのしい教育研究所の喜友名はいろいろな処での授業や講座、講演活動、教育相談などを実施しています。
そうやって飛び回りつつも、たのしい教育に興味・関心を持ってくれる方達が実施できる授業開発、授業クリエイターとしての活動にも力を入れています。
これもたのしくてなりません。
「たのしい教育教材」を開発するにあたっては、特別な材料などを利用するのではなく、学校や家庭で普通に入手出来るもの、それは難しくても100均にいけば安価で簡単に入手出来るものを利用するなど、次の目標で作成しています。
① たのしい教育を実施しようと思う先生方なら誰でも授業することができる
② 授業を受けた人たちの「たのしさ度・わかった度」が90%レベル(85〜94%)になる
板倉聖宣「仮説実験授業ABC」の考え方をベースにしています
同時進行でいくつかの授業プランの開発が進んでいますが、この公式サイト上でも人気の「しんぶんゴマ」について、少し紹介させていただきます。
———- 科学技術の進歩 ———-
質問
みなさんは「コマ」の歴史をたどると、どれくらい前にさかのぼることができると思いますか?
どれくらい前の人たちがコマを作って遊んでいたのでしょう?
コマといっても最近のものではなく、材料も木や実などいろいろ簡単にたのしんでいたころにさかのぼって予想してみてください。予想 今から
ア.100年くらい前
イ.500年くらい前
ウ.1000年くらい前
エ.そのほかどうしてそう予想しましたか?
いろいろなところでこういう問題を出しているのですけど、子どもも大人も
「ア.100年くらい前」
が多いようです。
みなさんの予想はどうでしょうか?
予想を立てずしてたのしく賢くなることは無理です。
続けましょう。
「日本独楽博物館」のWebサイトには「世界を見渡すと2500〜3000年前のコマも見つかっている」とあります、他の資料によると5000年くらい前までたどることができることがわかります。
さて、あなたの「しんぶんゴマ」はどれくらいの時間まわすことができましたか?
30秒以上回ったという人達が何人もいました。
すごいですね。では、よくできたコマはどのくらい回すことができるのでしょう?
コマの種類は多く、傘より大きくて一人では回せないコマもあります。それらではなく、私たちが作ったコマのように、片手で回すことができるタイプのコマで調べてみましょう。「全日本製造業コマ大戦」といって、いろいろな工場がつくるコマを回して長さを競う大会があります。その記録によると、日本の「上坂精巧」という工場がつくったコマ (写真)が「12分41秒」回ったということです。とても安定したコマですね。
コマはもともとたのしみごととして出発しましたが、その後、いろいろなものに広がりました。
コマが応用されて利用されているものについて、みなさんは何か思いつきますか?
思いついた人は出してみましょう。
お話「コマの発展」
たとえば時計の中の重要な部分にもコマの形をした部品ものが利用されています。
考えてみると、扇風機も電気の力で回しているコマの様なものですね。
それだけではありません、科学者たちのいろいろな研究で、なんと私たちの地球も、コマの様に回っていることがわかりました。「自転」といいます。
ところで、科学の最先端といってよい「人工衛星」にも重要な備品としてコマが利用されているのです。「リアクションホイール」と呼ばれています。
そのコマを回すことで微妙な姿勢のコントロールをおこなっているのです。
文字通り、コマが宇宙を飛んでいるのですよ。たとえば日本がほこる惑星探査衛星「はやぶさ」の中に入っているコマを見てみましょう。
©JAXA
2010年には「小惑星イトカワ」から岩石の粒を持ち帰って世界中を驚かせました。
その「はやぶさ」の内部にも三ヶ所に「リアクションホイール」と呼ばれているコマがセットされていました。
©JAXA
はじめは単に遊びと思われていた「コマ」でしたが、人間の知恵と工夫、それをいろいろなものに発展させてきたのです。
たのしいことなら、どんどんそれに知恵と工夫を重ねていくのが人間です。
みなさんも、自分が「これはたのしい」と思っていることについては、誰に言われたわけでなくても、自然に知恵と工夫を重ねていると思うのですけど、どうでしょうか?
それはつまりわたしたち人間の素晴らしさです。
というように続いていきます。
たくさんの方達が「しんぶんゴマ」を作ってたのしんでくれています。
それはそれでとてもたのしいのです。
それに加えてチャンスがあれば、子どもたちに、こういうことを話していただけるといいなと思っています。
たのしい教育は人間のすばらしさの証です。
教育が成熟してきた証でもあります。
みなさんの応援をお待ちしています。
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